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試験中インフル新薬、「季節性」にタミフル並み効果 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

インフルエンザ治療薬「ペラミビル」(バイオクリスト社、日本では塩野義製薬がライセンス)を、季節性インフルエンザの患者に投与すると、タミフルに匹敵する効果があることが、同社の臨床試験でわかったというニュース。

ちょっと気になったので調べて見ました。ペラミビルというのは、ノイラミニダーゼ阻害剤です。種類が異なりますが、タミフルやリレンザもノイラミニダーゼ阻害剤になります。因みに構造はこんな感じです。
ペラミビル水和物.jpg
まあ、これだけ見てもどう効くのやら分かりませんね^^;

 A型インフルエンザウィルスは、エンベロープ表面には10nm程の長さの2種類の突起がイガグリ状に生えています。それぞれ、ヘマグルチニン(血球凝集素:HA) とノイラミニダーゼ(ニューラミニダーゼ、NA)と呼ばれ、HAは9種類、HAが16種類知られています。従来新型となる危険性が指摘されていたH5N1型のようにHAとNAの種類で分類されます。今話題のメキシコ発の豚インフルエンザはH1N1という具合です。

さて、ノイラミニダーゼ阻害剤というのはこのNA(ノイラミニダーゼ)の働きを文字通り阻害する薬です。ノイラミニダーゼは、感染細胞からインフルエンザウイルスを放出するのに必要ですので、これを阻害することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑制することが出来るわけです。ノイラミニダーゼを持つA型やB型には有効ですが、C型インフルエンザにはNAが無いので効果は期待できません。

A型インフルエンザウイルスは、流行の規模や感染時の被害が大きいため、薬の開発も進んでいる訳ですね。
 
蛇足ですが、A型やB型に有効なノイラミニダーゼ阻害剤として有名なタミフルとリレンザの構造もご紹介しておきますね。
タミフル.jpgリレンザ.jpg
※図は、PowerPointで私が書いたので、間違っていたらゴメンなさい。
http://www.so-net.ne.jp/news/cgi-bin/article.cgi?gid=sci&aid=20090914-570-OYT1T01149



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北海道大好き人間

化学のことはよく分からないのですが、あるウイルスには効くが別のウイルスには全く効かないということでしょうか?>治療薬
by 北海道大好き人間 (2009-09-18 11:02) 

optimist

北海道大好き人間 さん こんばんは。
タミフルとかリレンザというよく聞く薬は、ノイラミニダーゼ阻害剤という物だそうで、こいつらはC型インフルエンザには効かないんだそうです(ノイラミニダーゼが無いから)。
耐性を得たA型にも効きませんが、この場合はノイラミニダーゼの形状にも色々あってタミフルなどで阻害されなくなるんだそうです。
私も良く分かっていませんけど^^;
by optimist (2009-09-22 23:51) 

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