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金属の鎧を身に纏う、不思議な巻貝『スケーリーフット』 [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

今日は、JAMSETCが運用している深海6500の調査結果から、深海に住む不思議な巻貝『スケーリーフット』をご紹介しようと思います。

正式名はウロコフネタマガイ(学名:Crysomallon squamiferum)。その最大の特徴は、巻貝の殻だけでなく、脚を覆うように硫化鉄製の鱗を持ている事です。その特徴的な姿から、「鱗を持つ足」スケーリーフット(scaly-foot)とも呼ばれています。

スケーリーフットの存在が確認されているのは、インド洋の深海底熱水活動域、通称「海嶺フィールド」と呼ばれるエリアだけです。ここは、アフリカプレート,オーストラリアプレート,南極プレートの3つのプレートが接するロドリゲス三重点に近くです。この海嶺フィールドの、水深2420m近辺にある熱水噴水孔。

炭酸カルシウムや珪酸を骨格や殻として用いる生物は数多くいますが、金属である硫化鉄を体の構成成分とする生物は、スケーリーフットで初めて確認されたそうです。

貝殻や鱗は共に黒色で、その姿は黒色騎兵隊(シュワルツ・ランツェンレイター@田中芳樹著:銀河英雄伝説)って感じ♪。この色は硫化鉄によるものらしく、深海から採取して飼育を続けると酸化して赤錆がでて、褐色になるそうです。要は、大涌谷の『黒たまご』ですね^^;
因みに鱗を構成する硫化鉄は単磁区構造の結晶で磁性を帯びてるそうですから磁石で釣れるかも知れませんよw

この不思議な巻貝は、新江ノ島水族館の深海コーナーでも見ることができます。残念ながら、生きた状態での展示は昨年中に終了し、今は標本のみの展示。それがこの写真です。
スケーリーフット.jpg
脚が褐色に変色しているので、生きた状態の漆黒の雰囲気がありませんね^^;
漆黒の勇姿は、先日ご紹介したサイエンスニュースオンデマンドで見ることができます。 『金属の鎧に身を包む深海の巻貝"スケーリーフット"その大群集を発見!』を是非ご覧下さい。

そうそう、素風 さんのブログ『てげてげ草紙』内でも、このスケーリーフットが紹介されていて、真っ二つに割られた標本の写真もアップされてます。 『JAMSTEC見学記【その2:深海生物を見て触って大興奮】』

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コメント 6

すうちい

っていうことは黒たまごはほうっておくと赤たまごになるんですかね。
今度やってみよう。
by すうちい (2010-02-01 13:40) 

北海道大好き人間

これ、多分水圧も関係していますね。水圧に耐えられるように金属質の殻を持つようになったのではないでしょうか?
あとは、酸素も大きく関わっていると思います。
by 北海道大好き人間 (2010-02-01 19:52) 

optimist

すうちい さん、こんばんは。
黒たまごは、袋に時間が経つと褐色になる旨が記載されていたように思いますよ。赤まで行かなくても茶色くなるはずです。
by optimist (2010-02-01 21:48) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
酸素濃度は育てるのに重要そうだとの見解があるようです。今度はもっと低酸素状態で飼育するつもりだとか。
水圧と金属の鎧の関係はどうなんでしょうね。細胞や細胞間隙が水で満たされている組織なら、水圧でつぶされることはありませんよね?

by optimist (2010-02-01 21:51) 

kaika-t

こんばんは。^^
うわぁ~、私はあまりにも無知すぎて金属の鎧を持つっていうのがそんなに不思議なんだろうか、とか思ってしまいました。^^;
>熱水噴水孔
>硫化鉄
化学進化説が浮かんで、以前のお話にあったパンスペルミア説が浮かびました。
生命の起源も進化も興味深いですね。^^

もし磁石でスケーリーフットを釣り上げたら、ペットにして名前はビッテンフェルトにしようと思います(笑)。
by kaika-t (2010-02-01 22:35) 

optimist

kaika-t さん、こんばんは。
金属の鎧をもつ生物が居ない事を知らないと、確かに何が凄いのかがイマイチ伝わり難いですね^^;
さて、磁石でつれるかもと書きましたが、実際どうなんでしょうね。ネオジム磁石で吊り上げられるのかな~。新江ノ島水族館の標本で試すって訳にもいかないだろうし・・・
by optimist (2010-02-03 22:04) 

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