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地熱発電の規制緩和へ [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

現在の日本は大型の発電所か家庭用や工場での太陽光や風力発電でしか電気を作っていません。しかし、もっと中規模・小規模な発電施設が普及すれば、送電の必要もなくなりますから、非常に魅力的だと思います。

その点では、この記事にある地熱発電に関する規制見直しの検討というのは評価できるのではないでしょうか?

さて、地熱発電と言えば、 地熱発電は、地中のマグマだまりで暖められた水蒸気を利用しますが、沸点の低い溶媒を熱交換により蒸気にして、低温でタービンを回すバイナリー発電という方法もあります。
でも、もっと単純に暖かい温泉の排水と川の水などの冷水を用い、その温度差を利用して発電する方法も検討されているんです。

このような、今まで利用されてこなかった、小さなエネルギーを電気に変換することをパワー・ハーベスト技術(Power Harvesting Technology)と呼ぶそうです。このパワー・ハーベスト技術、私の住む神奈川県央地区とは縁が深いんです。

慶應義塾大学では、武藤教授らにより、パワー・ハーベスト技術が研究されていますが、キャンパスは藤沢市にあります。同じく、藤沢市のベンチャー企業『音力発電』が開発している発電床。これは、以前『電池いらないリモコンできた ボタン押す振動で発電』でご紹介しています。
そして、温度差発電。座間市のサイエンスパーク株式会社が慶應義塾大学武藤教授、ジェイアール東日本コンサルタンツ(株)と共同研究開発しているシステムです。
昨年の9月に、TBSで放送している『夢の扉』でも紹介(『熱の温度差を利用した発電システムを作りたい』)しているので、ご覧になられたかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

実際に熱海市の日航亭大湯で温泉の排水を利用した発電実験も行なわれたそうです。今は捨てているだけの温泉排水と冷水で発電できるなんて素晴らしいでしょう?

さて、この温度差発電は、2枚のペルチェ素子の間の温度差で発電することができます。ペルチェ素子とは、電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動するというペルチェ効果を利用した素子。モーターが電流を流すと回転運動に変換され、逆に回転運動を電気に変換するように、このペルチェ素子に、温度差を与えることで発電するという訳。

実際に保冷剤で冷却させて温度差を作り、温度差発電で得た電力でソーラーモーターを回しているのがこの動画です。
Thermoelectric power generator

持ち運びが出来るくらいの小型発電機も試作されている温度差発電機。家庭用太陽光発電みたいに、温泉が出る地域の家庭で温度差発電が行なわれる日が来るのでしょうか?


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コメント 6

kaika-t

こんばんは。^^
>パワー・ハーベスト技術
初めて知りました。確かに送電の必要がなくなれば、その分の無駄は減りますよね。^^
by kaika-t (2010-02-19 20:45) 

optimist

kaika-t さん、こんばんは。
発電機の製造コストや環境負荷という懸念は出るものの、大型発電所に頼るより災害時のリスク分散と言う点も含め、価値はありそうでしょう?
振動エネルギーにせよ、温度差にせよ、結局最後は熱という形で排出している物を電気に変換できるなら、ヒートアイランド対策としてもありな気がしますし。
by optimist (2010-02-19 22:50) 

yablinsky

地熱を使わなくても、井戸の水との温度差で、夏も冬も少しは発電できるかもしれませんね。でもみんなが始めると地下水の温度が気温と同じになるのでしょうか。

地熱を極度に使いすぎると地球が冷えて、新たな環境問題が発生するかも知れません。例えば何億年後に地球の磁場がなくなるとか・・・

by yablinsky (2010-02-20 18:31) 

optimist

yablinsky さん、こんばんは。
大規模になると、眼に見える影響がでる可能性はありますよね。
太陽光発電ももっと大規模になった場合、本来反射されるべき太陽エネルギーが電力の形を通して、最後は熱として地球上に放出される訳ですから、温暖化しないの?とか、風力発電も大規模にやって地表付近の風の流れが弱くなって気候に影響は本当に無いの?とか。まあ太陽発電のエリアなんてたかが知れてるし、気候も上空の大気の影響が大なので、杞憂だとは思いますが・・・。
by optimist (2010-02-20 21:46) 

北海道大好き人間

太陽光発電は結構普及していますが、地熱発電等の場合は、発電機や発生した電気をどうするかという問題もありそうな気がします。
by 北海道大好き人間 (2010-03-09 17:11) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
地熱発電の場合は、ある程度発電量をコントロールできますが、太陽光発電や風力発電などは、大規模に作る場合、一時的に蓄電するのをいかに効率良く行うかがネックだと聞いたことがありますね。
by optimist (2010-03-09 22:11) 

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