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二日酔いの原因は、エタノールじゃない?(アルコール代謝の話#1) [科学系よもやま話]

東京でも桜が開花しましたね。いよいよお花見、そして歓迎会とお酒を飲む機会が増えるシーズンの到来です。

そこで、来月の『科学技術週間』関連のご紹介を一服して、今回から何回かに分けて、『アルコール代謝の話』をご披露したいと思います。お付き合いいただければ幸いです。
※その後は、また『科学技術週間』関連で幾つか科学館などでのイベントをご紹介したいと思います。

酔っ払いというと、赤ら顔のお父さんって印象がありますが、肌が赤くなる原因の一つがアセトアルデヒドです。また、ドキドキして脈が速くなるのもアセトアルデヒドによるものです。更には、のんべえが、肝硬変とか肝癌に罹るってイメージがありますよね。この原因もアセトアルデヒドなんです。つまり、アセトアルデヒドは、皮膚のほてりや動悸,脱力などの症状を引き起こし、肝癌の原因ともなる物質ってことになります

でも、お酒にアセトアルデヒドが入っている訳では有りません。エタノールが体内で分解される際に生成されるんです。お酒を飲んだらどうなるのか?まずは、アルコール代謝についてお話したいと思います。
体内に入ったエタノールは、まず胃や小腸から吸収され、血液中を流れます。この時中枢神経系に対して働き、酩酊状態を起こします。
血中のエタノールは、肝臓でアルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ)によって、アセトアルデヒドに分解されます。
ここで生成したアセトアルデヒドは毒性が強く、悪酔い・二日酔いの原因となるだけでなく、肝毒性も持っています。また、アセトアルデヒドは、交換神経末端や副腎髄質からカテコールアミンを遊離させることで、動悸(心悸亢進)も起こるんです。

しかし、肝臓内にはアセトアルデヒド脱水素酵素(アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ)もあり、その働きで、アセトアルデヒドは更に分解され、人体に無害な酢酸になります。酢酸は、最終的には二酸化炭素と水にまで分解されて、排出されます。

酔った状態の一因はエタノールですが、お酒の弊害の殆どは上記のように、アセトアルデヒドが原因です。つまりお酒を飲める人、飲めない人を決めているのは、アセトアルデヒド脱水素酵素の違いとも言えるんですよ。
これは、完全に体質の問題ですから気合や慣れの問題でない事は、科学的に証明されています。お酒を飲めない人に無理に勧めるのは止めましょう^^;

話が長くなるので、アセトアルデヒド脱水素酵素については、また明日続きをお話しようと思います。今しばらくお付き合い下さい。

※参考にした資料については、最終回の末尾にまとめて記載したいと思います
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コメント 5

えがみ

体質の問題だとすると、人付き合い状不便ですね。

by えがみ (2010-03-25 00:18) 

optimist

えがみ さん、こんばんは。
飲みニケーションは有効な手段ですが、全く飲めないとなかなか大変ですね^^;
by optimist (2010-03-25 22:17) 

Loby

アルコールの作用は良く分かっているようでよく分かってないところがあります><
これだけ詳しく説明していただくと覚めた頭(?)ではよく理解できます^^

by Loby (2010-03-25 23:55) 

optimist

Loby さん、こんばんは。
私は、お酒がダメなので、自己弁護的な内容になっている気がしなくもないですが・・・^^;
by optimist (2010-03-26 00:06) 

北海道大好き人間

>完全に体質の問題ですから気合や慣れの問題でない事は、科学的に証明されています。お酒を飲めない人に無理に勧めるのは止めましょう
この記事を書いた時点では、特に大学の歓迎コンパで救急車を呼ぶ騒ぎが毎年のように起こるわけですが、あれは何とかならないでしょうかねえ。
by 北海道大好き人間 (2010-06-14 22:15) 

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