まるで地球外生命? 酸素なしで生きる多細胞の動物発見 [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]
ギリシャ・クレタ島に近い地中海、L'Atalante湾の海底堆積物中から酸素無しで活動できる多細胞生物群を発見したと、イタリアとデンマークの研究チームが英オンライン生物誌BMCバイオロジーに発表したというニュースがasahi.comに載っていました。
『BMCバイオロジー誌(リンク)』
酸素を必要としない生物というと、深海のブラック・スモーカー周辺では、太陽エネルギーに依存しない生態系が存在していることが知られています。光合成に依存せず、噴出する熱水のエネルギーと熱水に含まれている硫化物やメタンから有機物を合成するバクテリアなど酸素を必要としない嫌気性生物に依存した生態系です。最初の生命もこのような場所で発生したかもしれないと考える人もいます。
しかし、これらの嫌気性生物を捕食する、周辺に見られる多細胞生物(シロウリガイ、チューブワーム、或いはスケーリーフットなど)は、酸素を代謝に使用しています。このように、嫌気性生物は細菌など単細生物が知られるのみでしたが、今回発見された多細胞生物は、酸素が全く含まれない堆積物中で生きているらしいです。ちょっと驚きですね。
Danovaro et al., 2010, The first metazoa living in permanently anoxic conditions 『Credit:BMC Biology』
もし、酸素を必要としない生態系が確立しているなら、酸素が全く無いような、地球とは全く異なる環境でも生命が繁栄している可能性が高まるという訳です。なんだかワクワクしますね。
因みに、この報告は、イタリアのMarche Polytechnic大学のRoberto Danovaro氏らによるものです。無酸素環境に生存していると報告されたのは、Loricifera-胴甲動物門-に属する1ミリ以下の3種類の生物なのですが、その内の一つは、Danovaro博士の妻の名から『Spinoloricus Cinzia』と命名されたそうです。研究者ならでわの感謝の気持ちの表し方ですね。
で、残る二つの『Rugiloricus』と『Pliciloricus』については未分類で、正式な名前はついていないそうです。著者らは、卵を無酸素状態で孵化させることも成功したそうで、これらの多細胞生物が完全に酸素の無い堆積物中で生存していると考えているようです。
投稿された原文はこちらから閲覧可能です。
『The first metazoa living in permanently anoxic conditions(BMC Biology)(リンク)』
学研 キットボックス シャボン玉ミラクル実験 (1,800円)
『BMCバイオロジー誌(リンク)』
酸素を必要としない生物というと、深海のブラック・スモーカー周辺では、太陽エネルギーに依存しない生態系が存在していることが知られています。光合成に依存せず、噴出する熱水のエネルギーと熱水に含まれている硫化物やメタンから有機物を合成するバクテリアなど酸素を必要としない嫌気性生物に依存した生態系です。最初の生命もこのような場所で発生したかもしれないと考える人もいます。
しかし、これらの嫌気性生物を捕食する、周辺に見られる多細胞生物(シロウリガイ、チューブワーム、或いはスケーリーフットなど)は、酸素を代謝に使用しています。このように、嫌気性生物は細菌など単細生物が知られるのみでしたが、今回発見された多細胞生物は、酸素が全く含まれない堆積物中で生きているらしいです。ちょっと驚きですね。
Danovaro et al., 2010, The first metazoa living in permanently anoxic conditions 『Credit:BMC Biology』
もし、酸素を必要としない生態系が確立しているなら、酸素が全く無いような、地球とは全く異なる環境でも生命が繁栄している可能性が高まるという訳です。なんだかワクワクしますね。
因みに、この報告は、イタリアのMarche Polytechnic大学のRoberto Danovaro氏らによるものです。無酸素環境に生存していると報告されたのは、Loricifera-胴甲動物門-に属する1ミリ以下の3種類の生物なのですが、その内の一つは、Danovaro博士の妻の名から『Spinoloricus Cinzia』と命名されたそうです。研究者ならでわの感謝の気持ちの表し方ですね。
で、残る二つの『Rugiloricus』と『Pliciloricus』については未分類で、正式な名前はついていないそうです。著者らは、卵を無酸素状態で孵化させることも成功したそうで、これらの多細胞生物が完全に酸素の無い堆積物中で生存していると考えているようです。
投稿された原文はこちらから閲覧可能です。
『The first metazoa living in permanently anoxic conditions(BMC Biology)(リンク)』
学研 キットボックス シャボン玉ミラクル実験 (1,800円)
これはおもしろい記事です。ところでエネルギーはどうやって作っているのでしょうね。不思議です。
by yablinsky (2010-04-15 00:18)
yablinsky さん、こんばんは。
エネルギー源として必ずしも酸素は必要ないので、何か別の代謝がおこなわれているんでしょうが、どんなものなんでしょうね?
人間でグリコーゲンを酸素を使わずに乳酸に分解する無酸素運動では、酸素は消費されですもんね。
by optimist (2010-04-15 22:27)
>もし、酸素を必要としない生態系が確立しているなら、酸素が全く無いような、地球とは全く異なる環境でも生命が繁栄している可能性が高まるという訳です。
重要なことを忘れているような気がします。それは「気圧」と「重力」です。地球の大気の80%は窒素ですから、酸素がなくても、窒素の圧力(気圧)がありますし、それに重力が適度にかかるので、生命が存在しているのだと思います。
重力は、国際宇宙ステーションに長期滞在した宇宙飛行士が骨粗鬆症になりやすいことなどが証明しています。
それも含めて、地球と全く違う環境で育つ生命は、地球のそれとは全く異なった物になっているでしょうね。
by 北海道大好き人間 (2010-06-14 23:47)