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月周回衛星「かぐや(SELENE)」が明らかにした月内部からのカンラン石の全球表面分布とその起源 [科学系よもやま話]

JAXAのプレスリリース『月周回衛星「かぐや(SELENE)」が明らかにした月内部からのカンラン石の全球表面分布とその起源
によると、英国の科学誌『Nature Geoscience(ネイチャージオサイエンス)』に、JAXAの月周回衛星『かぐや』の観測の成果が掲載されたそうです。
Possible mantle origin of olivine around lunar impact basins detected by SELENE(リンク)』

この報告の元になったデータは、宇宙航空研究開発機構の月周回衛星『かぐや』が搭載していたスペクトルプロファイラと呼ばれる月表面の鉱物組成を調べる装置によるものです。

主に報告されているのは、橄欖石(かんらん)石の分布について。この橄欖石(かんらん)石は、珪酸塩鉱物の一種で地球でも沢山見る事ができます。私のサブブログにもアップしていますので良かったらご覧になって見てください。
橄欖石(ペリドット)
橄欖石(ペリドット)
この橄欖石(かんらん)石は、月のマントルを構成する主鉱物と考えられています。比重が大きいので、通常は月の表面には現れず、月の内部構造や進化を理解するのに役立つと思われているそうです。
今回の報告では、月全球でなんと7000万点にも及ぶ月面の分光特性の観測を行い解析したところ、橄欖石(かんらん)石に富むと思われる領域を250点(内新しく発見さて他場所が31点)を発見したそうです。それと共に、過去の検出報告の多くは誤りであることも報告されています。

橄欖石(かんらん)石が検出された地点は、クレーター周囲に同心円状に露出していました。そのどれも、地殻の薄い巨大衝突盆地です。一方で、月の裏側などの地殻の厚い部分や、これまで橄欖石(かんらん)石に富むと推測されていた中程度のクレーターの中央丘には殆ど発見されませんでした。

つまり、月表面の橄欖石(かんらん)石は、100km以上の深い部分にあるマントルが、巨大天体の衝突で掘り起こされたものだと言うのです。そして、より深く掘り起こされたと思われる巨大衝突盆地の中央部で発見されなかったのは、中心部ではどろどろに溶けた比重の大きい橄欖石(かんらん)石が再び深部に沈んだと推測していました。

最後には、予定通り月面に墜落した『かぐや』。その成果は、これからもまだまだ報告されることでしょう。

そういえば、『はやふさ』のカプセルから微量の粒子を発見か?なんてニュースもありました。これからもJAXAの発表から目を離せませんね。

タグ:JAXA かぐや
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北海道大好き人間

これで、月の起源なんかも少しは解明されるといいですね。
「はやぶさ」の微粒子も気になります。
by 北海道大好き人間 (2010-07-06 23:08) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
最近は、月探査機が多数打ち上げられたので、情報が多くなりましたね。どんどん新しい発見があって、本当に面白いです。

by optimist (2010-07-10 00:08) 

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