SSブログ

NASAの太陽観測衛星がとらえた太陽の画像 [科学系よもやま話]

SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)は、1995年に打ち上げられ、NASA(米航空宇宙局)とESA(欧州宇宙機関)が共同運用している太陽観測衛星です。ラグランジュ・ポイントのL1の周りのハロー軌道で太陽を観測しています。 この観測は、全部で12種類の観測装置で行われ、最新の画像は、NASAのWeb Siteなどで見ることが出来るんです。
tricomp_prev.jpg
Credit:NASA
The Very Latest SOHO Images(リンク)』
他にも、今年打ち上げられたSDO(Solar Dynamics Observatory)を含む、太陽の観測衛星による現在の太陽画像も公開されています。
Current solar images(リンク)』

因みに、太陽観測衛星といえば、JAXAが2006年に打ち上げた『ひので(SOLAR-B)』もあります。こちらは可視光,X線,極端紫外線の3種類の望遠鏡が搭載されています。
こちらの最新画像も、運用している国立天文台のWeb Site上で公開されているので紹介しておきますね。
国立天文台『ひのでホームページ(リンク)』

このニュースにあるように、NASAが太陽観測衛星「SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)」がとらえた太陽の画像を公開したのは間違いありませんが、特別な話ではなく、何時でも更新された情報にアクセスできるので、夏休みの宿題がてら日々の太陽画像を集めて観測日記をつけるのも面白いかもしれませんね。

インターネットの普及に伴い、学者でもなんでもない我々が、こうして最新機器の観測データをほんの一部とはいえ利用できるようになったのは、本当に嬉しいことです。
『ひので』のデータは、日本語で解説があるので、大丈夫だと思います。参考までに、SOHOの画像データについて、以下に簡単に解説しておきます。
※もう少しだけ詳しい説明は、明日以降順次行いたいと思います。とても一回で、アップする量に収まらなかったので・・・^^;

SOHOの画像としてアップされているのは、12種類の観測装置の内、コロナ下部の構造や活動を観測するためのEIT(Extreme ultraviolet Imaging Telescope)、ガスの速度や磁場を測定し、表面対流層や、太陽磁場について解析するためのMDI(Michelson Doppler Imager)、太陽周囲のコロナを観測するためのLASCO(Large Angle and Spectrometric COronagraph experiment)についてです。

EITとは、極紫外線画像化望遠鏡で、撮影された画像は、波長数10nm以下の極紫外光(紫外光とX線の間の波長)によるものです。捉える波長により4種類の画像が得られ、擬似的に着色されています。その波長が、17.1nm,19.5nm,28.4nm,30.4nmで、それぞれの波長で捉えた画像には、オングストローム:Å(1Å=0.1nm)で表記した、ETI171やETI195という名前がついています。
詳しい話は、また明日お話しますが、各波長は、その部分の温度に対応しています。つまり、コロナの何度の部分がどのように分布しているかが分かるんです。

次に、MDI。この装置で得られる画像は、とっても簡単に言えば超音波診断に使われる、エコー画像と同じ原理です。太陽内部の音波の速度を測定して、その跳ね返り方から、内部の様子をマッピングしています。

MDIのデータとしてアップされている画像の内、MDI Continuumは可視光画像、MDI Magnetogramが光球磁場画像となります。磁力分布だけでなく、ガスの速度データから、太陽振動を求める事で、その内部構造を明らかにする事ができるんだそうです。この手法は、日震学と呼ばれています。詳しい説明は、『日震学研究室のホームページ(リンク)』で見る事ができます。

最後に、LASCO。この装置は、コロナグラフと呼ばれます。焦点面に太陽像と同じ直径の遮光盤を置き太陽面から直接入る光を遮り、周囲のコロナの弱い光を観測できるようにしています。LASCO C2がコロナ近景、C3は、コロナ遠景を示しています。天文マニアの間では、彗星発見のツールとしても知られているそうですよw


 天体望遠鏡工作キット コルキット KTー6cm(ハンズネット¥6300)

タグ:SOHO 太陽観測
nice!(6)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 6

コメント 2

北海道大好き人間

>各波長は、その部分の温度に対応しています。つまり、コロナの何度の部分がどのように分布しているかが分かるんです。
サーモグラフィーがこれの応用(もしくはその逆)なわけですね。
ですから、カメラの波長によって、同じ太陽でも画像が全然違ってくるということになるのでしょうか?
by 北海道大好き人間 (2010-08-07 23:59) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
カメラの波長で全然違う・・・とまでは、感じませんが、次回アップした写真の様に、ちょっとづつ雰囲気が違います。
見ていて面白いですよ。
by optimist (2010-08-11 00:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。