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食虫植物の捕虫嚢で繁殖するカエル(Nepenthes ampullaria) [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

ボルネオ島にあるクバ(Kubah)国立公園の熱帯雨林で、食虫植物の捕虫嚢で繁殖する、新種のカエルが発見されたそうです。
Zootaxa, New species of Microhyla from Sarawak(Zootaxa 2571: 37–52 (2010))(pdfファイル)』
※Full articleがオープンアクセスでは無かったので、リンク先は、Preview版です。

この新種の蛙の名前は、Microhyla nepenthicola。 ヒメアマガエル属(Microhyla)に分類され、繁殖に使用されるツボウツボカズラ(壷靫草,壷靫葛)の学名、Nepenthes ampullariaに因んで、つけられたそうです。

ウツボカズラの持つ、あの壷型をした捕虫嚢に卵を産み付け、生まれたオタマジャクシは捕虫嚢内の消化液の中で育つというのですから、なんとも面白い蛙です。そのサイズもユーラシアとアフリカに住む種としては、最小だそうで、オスの頭胴長が9.9ミリ、メスは10.5ミリと極小サイズ。

それにしても、捕虫嚢をゆりかごとするなんて、面白いでしょう?確かに外敵から身を守る場所として、確かに安全そうですよね。

実は、ウツボカズラの捕虫嚢内の液には消化酵素はそれ程含まれず、落ちた小動物の分解は、専ら細菌などが行うそうです。
野生種でpHを測定した所、蓋が開いたばかりのウツボカズラの消化液は、pH4~5で十分に消化能力があるのに対して、蓋があいて時間が経ったものでは、pH8を超えている物のあったそうです(参考:東京都市大学 知識工学部 自然科学化 生命科学研究室 Web Site(リンク)より、『ウツボカズラの魅力』)。pH8では消化酵素は殆ど働かないので、それなりに適応すれば、十分繁殖可能なのかもしれません。

実際に、カエルではありませんが、このような捕虫嚢という特異的な環境に適応し、好んで生活している生物もいます。捕虫嚢内をプカプカ漂うボウフラも居れば、袋の口に潜んでいて、捕虫嚢に捕らえられた虫を横取りするクモなんてのも・・・。いや~、皆逞しいですね。

WIRED VISION『食虫植物の中で繁殖する「旧世界最小のカエル」(リンク)』
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コメント 4

yablinsky

ほんとに生物の適応力には驚かせられます。このオタマジャクシ何を食べているのでしょうね。
by yablinsky (2010-08-28 13:30) 

北海道大好き人間

yablinskyさんの疑問ですが、思うに、成体で1cm未満なのですから、オタマジャクシに至ってはウツボカズラの消化液だけで十分なのではないでしょうか?
by 北海道大好き人間 (2010-08-30 23:04) 

optimist

yablinsky さん、こんばんは。
捕虫嚢に捕らえられた虫を横取りするクモが居る事から、捕虫嚢に落ちた生き物を食べているのかもしれませんね。
リンクの論文にはきっと書かれているのでしょうが、Full articleがオープンアクセスじゃないのが残念です。
by optimist (2010-09-02 00:26) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
おぉ~、そうですね消化液中の酵素やバクテリアなどを栄養にするだけでも十分かもしれませんね。
by optimist (2010-09-02 00:27) 

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