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レアアースについて その1 [科学系よもやま話<レアアース,レアメタル>]

最近、『レア・アース』という言葉をよく耳にします。
私などが子どもの頃は、耳にしなかった単語ですが、最近は毎日の様に耳にするのではないでしょうか?

そんな良く聞くけど、実は知らない『レア・アース』について、何回かに分けてご紹介したいと思います。

化学でレア・アースとは、希土類元素(rare earth elements)を指し、21番元素のスカンジウム、39番元素のイットリウム 、57番元素のランタンから71番元素のルテチウムまでの17元素からなるグループです。更に軽希土類(LREES)と重希土類(HREES)に大別されます。
DSC00027.JPGDSC00028.JPG
※国立科学博物館 地球館B3F展示 周期表

これらの元素は単一元素として分離し難く、自然界でも単独で産出しないので「レア」と呼ばれますが、実は地殻中に含まれる割合なら、金より遥かに多いんです。

では何故中国が生産の9割を占めるのでしょう?
究極的な答えは、「安いから」です。輸出制限されると困りますが、別に日本にだって存在している元素なんです。ただ、単一成分として抽出しようとすると、高くつくだけなんですね。
 
まあ、様々な思惑はあるのでしょうが、好意的に考えれば、自国で鉱山労働者が安い賃金で掘り出し、排出物の汚染に十分に対応しているとは言い切れない状況で成り立っている低コストな訳ですから、無理に輸出したくないってのも理解できる話です。自国内で精錬、そして製品への応用まで囲い込みたいという思惑もあるでしょうし・・・。
とはいえ、特定国への輸出だけ制限なんてのは論外ですけどね。

これに対して、政治屋や官僚、或いは商社なら、資源確保のための交渉を進めるでしょうし、新しい供給源の確保を試みるのでしょう。しかし科学者或いはエンジニアにだって打開策はあります。例えば、安価な抽出方法を考えるという方法です。別に含有率が低かったり、抽出が容易でないから採算が合わないだけで、我々の足元にはレア・アースが眠ってる訳です。
もし、安価に抽出できれば、一気にブレイクスルーとなるでしょう。





タグ:レアアース
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モッズパンツ

中国はレアアースを戦略的に使って来ましたね。w (;^ω^)b
日本はレアアースについて、モンゴルなどと接触しておりますし、割高でも、今後はオーストラリアなどでも採掘されるようなので、長期的には心配ありませんね。その気になれば、リサイクルを高めれば良いし。w (´∀`)ノ

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2010-10-07 00:46) 

北海道大好き人間

日本国内に精錬施設があり、リサイクルが徹底されれば別に問題はないのでしょうけれど、あとはおそらく殆どが未採掘であろう国内の埋蔵量がどのくらいあるかも関わってきますね。
by 北海道大好き人間 (2010-10-07 16:47) 

optimist

モッズパンツ さん、こんばんは。
そうですね、レアアースについては、問題は各国とも認識しているので、なんとかなるとは思います。
まあ、あまり混乱が無いに越した事はありませんけど。
by optimist (2010-10-07 22:24) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
リサイクルや、日本での採掘の可能性など、この後触れていこうと思います。
このレアアースの問題って結構根が深いし、様々な問題が絡んでいるので、なかなか纏まらないのですが、とりあえず6回に分けて書いてみました。
良かったらお付き合い下さい。
by optimist (2010-10-07 22:26) 

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