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体長2メートル超?ペルーで巨大ペンギンの化石発見 [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

今日ご紹介するのは、9月30日発行の『Science(サイエンス)』に投稿された論文に関するニュースです。
Fossil Evidence for Evolution of the Shape and Color of Penguin Feathers(Abstractへのリンク)』
※Full Text (PDF)は、有料です。

この論文では、南米ペルーのパラカス国立自然保護区で発見された3600万年前のペンギンの羽の化石についての研究が報告されています。そのペンギンは、現存する最大のペンギンであるコウテイペンギン(100~130cm)の倍近くであった可能性もある新種の大型ペンギン種で、「ウォーターキング:Water King(学名:Inkayacu paracasensis)」と名付けられました。

勿論、『でっかいよ~。凄いでしょう?』という報告ではありません。ペンギンの体色が白黒に変化した時期など、ペンギンの羽の進化について、新たな知見が得られたという報告です。

この化石は、極めて状態の良い羽が残ったものでした。実は、2007年発見当時には気が付かなかったのですが、最近になって翼にウロコ状の小さな羽に気が付き、そこから化石化したメラノソームを発見したんだそうです。メラノソームは、分かり易く説明するとメラニン色素を合成したり貯蔵したりする小胞で、今回発見された物の大きさは1μm程しかない非常に小さいもの。現在のペンギンは他の鳥類と異なり、もっと大きくて丸みがある上、葡萄の房のようにぎっしりと詰まった構造を持っています。

ところが、このメラノソームの形状は、現在のペンギンとは異なり、コマドリやキンカチョウなど赤茶や灰色の羽を持つ現生鳥類で見られるものに類似していたんだそうです。
得られた化石の翼や羽は、外見上、現在のペンギンと変わりなかったそうですから、形状が先に現在の形に進化して、その後メラノソームが変化したと考えられるという訳です。
 
著者らは、翼の先端が灰色、翼の裏面が赤茶色だったと推測していますが、全身骨格に羽根がついていたならともかく、ほんの一部に小さな羽根が得られているにすぎないので、全身の配色は分かりません。ただ、現在の白黒の配色とは異なるものだったのは確かなのでしょう。

となると、ペンギンが白黒になった時期は、比較的最近なのかもしれない。だとすると、今のような寒さへの対応や、力強い泳ぎを獲得したのも最近かもしれないと考えているようです。というのは、ペンギンの羽はメラノソームの変質で強化されたのではないかと著者らはは推測しているからです。

いずれにしても、ペンギンの進化を考える上で、重要な発見かもしれないのは確かなようです。


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北海道大好き人間

これからの季節、北海道旭川にある旭山動物園では、冬の名物となっている「ペンギンの散歩」が行われますが、その遠いご先祖がどんな色の羽根をしていたのか、興味があります。
by 北海道大好き人間 (2010-10-21 14:00) 

optimist

ペンギンの散歩、有名ですよね。
旭山動物園もいつかは行って見たいのですが、近場のズーラシアや八景島シーパラダイスでも行動展示が増えてきています。
とってもありがたいです。
by optimist (2010-10-25 22:12) 

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