神岡の新しい地下施設XMASS [科学系よもやま話]
神岡鉱山跡に建設された、カミオカンデとスーパーカミオカンデについては、昨日までにご紹介しました。
今日ご紹介するのは、神岡鉱山跡に建設が進められている新しい地下施設XMASSです。
XMASS実験は、東京大学宇宙線研究所、東京大学数物連携宇宙研究機構、岐阜大学、神戸大学、佐賀大学、東海大学、名古屋大学、宮城教育大学、横浜国立大学、早稲田大学、韓国標準科学研究院、セジョン大学、ソウル国立大学等による共同研究です。
XMASSは、Xenon MASSive detector for Dark Matter の略で、文字通り、暗黒物質を検出する事を目的としたものです。どんな風に検出するのかは、下で解説しますが、詳しく知りたいという方は、『XMASS・HP実験概(リンク)』をご覧になることをお勧めします。
因みに、スーパーカミオカンデやXMASSといった神岡鉱山跡地にある施設は、『東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 Web Site(リンク)』でご覧になれます。
さて、上で「建設が進められている」と書きましたが、装置の建設が最終段階に入り、2010年10月8日に、XMASS実験装置の水槽内部が、報道関係者へ公開されたんです。
『XMASS実験について(報道公開資料)(pdfファイル)』
いよいよ来春から本格的に観測が始まります。う~ん、楽しみです♪
カミオカンデやスーパーカミオカンデでは、ニュートリノの検出に大量の超純水を用いましたが、XMASSは、液体キセノン(約-100℃)を用いてダークマターを検出しようとしています。
装置は、まず外部からの放射線バックグラウンドを遮蔽するために、純水を溜める事ができる直径10m、高さ10mのタンクが作られました。その中に、検出器本体を低温に冷やすため、魔法瓶構造をした1.5m程の容器が設置されています。その中に、低温で保存された液体キセノンを貯めた検出器が置かれているんです。
では、どうやってダークマターを検出するのでしょう?それは、ダークマターがキセノン原子核と弾性散乱する際の微弱な光を検出するそうです。この光の検出は、球体の内壁の642本の光検出器が担うのですが、カミオカンデが純水とニュートリノが反応した時のチェレンコフ光を捉えるのと似ていますね。
実際、検出に使う光電子増倍管は、カミオカンデの時にも活躍した浜松ホトニクスと共同で開発したものです。従来品より効率が良いだけでなく、光電子増倍管自身に含まれるウランやトリウムも2桁以上少ないんだそうです。
ところで、わざわざ液体キセノンを使うのは何故でしょう?それには、以下の理由があるそうです。
1.発光量が多い
2.1トンクラスの大型化が容易
3.体、気体、固体の各相が利用できるため内部のバックグラウンドのもとであるウランやトリウムなどを極端に少なく出来る
4.キセノンは原子番号が54と大きいため、“自己遮蔽”が有効で、外部からのガンマ線バックグランドを大幅に減らせる。
さて、ダークマター直接探索実験って、実は激しい国際競争の真っ只中なんです。そんな中、XMASS実験は、既存のダークマター探索実験の約50倍の感度があり、超対称理論で予想されるパラメータ領域に大きく踏み込むため、非常に期待されているんですよ。
来春以降、「ダークマター発見か!?」なんて見出しが新聞を飾る日が来るかもしれませんね。
今日ご紹介するのは、神岡鉱山跡に建設が進められている新しい地下施設XMASSです。
XMASS実験は、東京大学宇宙線研究所、東京大学数物連携宇宙研究機構、岐阜大学、神戸大学、佐賀大学、東海大学、名古屋大学、宮城教育大学、横浜国立大学、早稲田大学、韓国標準科学研究院、セジョン大学、ソウル国立大学等による共同研究です。
XMASSは、Xenon MASSive detector for Dark Matter の略で、文字通り、暗黒物質を検出する事を目的としたものです。どんな風に検出するのかは、下で解説しますが、詳しく知りたいという方は、『XMASS・HP実験概(リンク)』をご覧になることをお勧めします。
因みに、スーパーカミオカンデやXMASSといった神岡鉱山跡地にある施設は、『東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 Web Site(リンク)』でご覧になれます。
さて、上で「建設が進められている」と書きましたが、装置の建設が最終段階に入り、2010年10月8日に、XMASS実験装置の水槽内部が、報道関係者へ公開されたんです。
『XMASS実験について(報道公開資料)(pdfファイル)』
いよいよ来春から本格的に観測が始まります。う~ん、楽しみです♪
カミオカンデやスーパーカミオカンデでは、ニュートリノの検出に大量の超純水を用いましたが、XMASSは、液体キセノン(約-100℃)を用いてダークマターを検出しようとしています。
装置は、まず外部からの放射線バックグラウンドを遮蔽するために、純水を溜める事ができる直径10m、高さ10mのタンクが作られました。その中に、検出器本体を低温に冷やすため、魔法瓶構造をした1.5m程の容器が設置されています。その中に、低温で保存された液体キセノンを貯めた検出器が置かれているんです。
では、どうやってダークマターを検出するのでしょう?それは、ダークマターがキセノン原子核と弾性散乱する際の微弱な光を検出するそうです。この光の検出は、球体の内壁の642本の光検出器が担うのですが、カミオカンデが純水とニュートリノが反応した時のチェレンコフ光を捉えるのと似ていますね。
実際、検出に使う光電子増倍管は、カミオカンデの時にも活躍した浜松ホトニクスと共同で開発したものです。従来品より効率が良いだけでなく、光電子増倍管自身に含まれるウランやトリウムも2桁以上少ないんだそうです。
ところで、わざわざ液体キセノンを使うのは何故でしょう?それには、以下の理由があるそうです。
1.発光量が多い
2.1トンクラスの大型化が容易
3.体、気体、固体の各相が利用できるため内部のバックグラウンドのもとであるウランやトリウムなどを極端に少なく出来る
4.キセノンは原子番号が54と大きいため、“自己遮蔽”が有効で、外部からのガンマ線バックグランドを大幅に減らせる。
さて、ダークマター直接探索実験って、実は激しい国際競争の真っ只中なんです。そんな中、XMASS実験は、既存のダークマター探索実験の約50倍の感度があり、超対称理論で予想されるパラメータ領域に大きく踏み込むため、非常に期待されているんですよ。
来春以降、「ダークマター発見か!?」なんて見出しが新聞を飾る日が来るかもしれませんね。
総じて理系に疎いので、いまいち内容が把握できないのですが、そうそうたる大学が名を連ねているのですね。
これはもはや、物理学と化学とが融合していますね。
by 北海道大好き人間 (2010-10-25 13:07)
北海道大好き人間 さん、こんばんは。
なるべく簡単にと思っているのですが、力不足で申し訳ありません。
まあ、もしかしたら宇宙にあるけど、知覚出来てないだけと思われている暗黒物質を発見できるかも知れない検出器が、もう直ぐ稼動し始めるってニュースだと理解頂ければ宜しいかと思います。
by optimist (2010-10-25 22:36)
_ ∩
( ゚∀゚)彡 ダークマター!ダークマター!
( ⊂彡 暗黒物質ハケーン、はやく!はやく!
| |
し ⌒J
by モッズパンツ (2010-10-26 22:38)
モッズパンツ さん、コメントありがとうございます。
もし、暗黒物質の発見ともなれば、はやぶさに引き続き、世界的なニュースになること間違い無しですね。
by optimist (2010-10-30 21:34)