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はやぶさの微粒子はイトカワの砂 1500個、成分一致 [科学系よもやま話]

JAXA(宇宙航空研究開発機構)のプレスリリースで、小惑星探査機『はやぶさ』の帰還カプセル内から採取された微粒子が、小惑星『イトカワ』の砂であると発表しました。
JAXAプレスリリース『はやぶさカプセル内の微粒子の起源の判明について(リンク)』
はやぶさ#1.JPG
国立科学博物館「空と宇宙展-飛べ!100年の夢」展示中の模型
これまでに、約1500個の微粒子(ほとんどが10μm以下)を調べた結果、成分が地球のものと明らかに違い、イトカワを撮影して判明していた成分と一致したことから、判断したそうです。髪の毛の直径の10分の1以下の大きさの粒子を調べて、その組成が分かるのですから、分析技術の進歩は凄いですね。

添付資料に、何故イトカワ由来と言えるのかについての科学的根拠の詳しい説明もありましたので、少し触れたいと思います。

今回採取されたサンプルの多くは橄欖石です。橄欖石は、マグネシウムや鉄の珪酸塩鉱物ですが、このマグネシウムと鉄の比率が地球上の物と異なり、はやぶさのリモートセンシング機器(NIRS,XRS)で推定した表面組成と一致していたんです。

具体的には、採取された橄欖石中の鉄/(鉄+マグネシウム)比の平均値が、30%前後でした。そして輝石中の鉄/(鉄+マグネシウム)比の平均値が、25%前後。対して、地球の平均的な組成ではどちらも10%。明らかに分布が異なるというわけです。

これで『はやぶさ』が、イトカワのサンプル採取に成功したことが証明されました。サンプル回収の機構は、十分機能したとは言えないかもしれませんが、着陸時に巻き上げられたとみられる微粒子を持ち帰ったのですから、十分な成果でしょう。サンプラーが全く作動しなかったわけでも無いし、ちゃんとサンプルを持ち帰ってこれたんですからね。

この辺りは、はやぶさ特集記事にも詳しく書いてありますので、是非ご覧下さい。
JAXA 特集『はやぶさ、地球への旅に出発 ~最後のチャレンジを達成するために~(リンク)』
サンプラーの回は『サンプル採取の成功を信じて(リンク)』

そもそも、その質量はともかく、天体に着陸して、サンプルを持ち帰ったのは、月からのサンプル回収以来の事(のはず)です。宇宙からサンプルリターンを行った例としては、アポロ計画や旧ソ連のルナ16号などの月からのサンプル回収があげられます。国立科学博物館でも展示されている月の石というやつですね。
国立科学博物館~ミニ企画展『月の石』~

その後となると、NASAのジェネシスが、太陽風の粒子を採集して、2004年に地球に帰還しましたが、パラシュートが開かず、地上に激突。壊れたカプセルから資料を採取しました。
そして、同じくNASAのスターダストが2006年に、ヴィルト第2彗星のコマから噴出した粒子地球に持ち帰り、グリシンを発見したりしています。

はやぶさは、これらの計画のどれよりも遠くへ行き、サンプル回収に成功したのですから、アポロ以来の偉業と呼ばれるのも納得です。



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yablinsky

このニュース、大きなニュースのなって、マスコミでも取り上げられていますね。いずれにしても科学に関して国民全体が関心を持ってくれるのはうれしいことです。
by yablinsky (2010-11-17 07:43) 

北海道大好き人間

月よりも遙かに遠い宇宙から持ち帰ったというだけでも凄いですが、その成分まで正確に解析できるんですね。

オークション、何故か鉄道関連の物も出ていますね。そういえば、あと半月くらいで東北新幹線が全線開通ですね。

by 北海道大好き人間 (2010-11-17 15:37) 

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