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スカトール( 3‐メチルインドール) [科学系よもやま話<香りの話>]

臭覚検査の基準臭も今日で最後です。長々とお付き合い頂きありがとうございました。

3‐メチルインドール(スカトール)は、天然では、哺乳類の消化管内でトリプトファンから合成され、単離すると、強い糞臭を持つ物質です。
動物の生理的に糞臭に敏感なのでしょうか?この 3‐メチルインドールは、実に6ppt(100万分の1を表すppmの更に100万分の1がpptです)という濃度でも、人は検知できちゃううんですよ~。

糞臭を言われる臭いも、ppbオーダーではジャスミンにも似た臭いとなる事が知られています。
しかし、ネット上の情報でも見かける、ジャスミンの香気成分がスカトールであるという記述は間違っていると思います。ジャスミンの香気成分で濃度が高いと糞臭がするのはインドール。

3‐メチルインドール(スカトール)はその誘導体であり、あくまでジャスミンの花の特徴的な匂い(の一端)を担っているのは、インドールです。

因みに、ジャスミンの特徴的な香気成分とされるのは、インドールの他、ジャスモンなどで、主成分はリナロールやαファルネセン。
なんとなく、同じく糞便匂がするインドールとゴッチャにされて記述されれいる印象を受けます。

因みにインドールとスカトールの構造は、こんな感じ。
スカトール.jpg
どちらも、消化管内で発生しているので、オナラの成分です。オナラの悪臭の原因となる成分は、 インドール、 スカトールの他、先日ご紹介したイソ吉草酸の異性体ペンタン酸(別名:吉草酸)の他、硫化水素、 メチル・メルカブタン、 ジメチル・サルファイド、 アンモニア、トリプタミンなどが知られています。

さて、そんな3‐メチルインドールは、上で述べたように、希釈すると花の香りになります。実際にに日本で食品添加物に使用できる香料としても登録されていて、様々な商品に使用されています。

香水の霊猫香(シベット)の主成分は、シベトン( (z)-9-cycloheptadecen-1-on)だというお話を『動物性香料の主成分』で、しましたが、この他にスカトールなどのインドール誘導体も含まれ、その香りに影響を与えているんです。

強すぎる薬は、毒にもなる。毒も薄めれば薬になる。匂いの世界も同じような物なのかもしれませんね。
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北海道大好き人間

>動物は生理的に糞臭に敏感なのでしょうか?
これを利用した例を一つあげます。
山間を走る線路で、野生の鹿が電車に轢かれる事故が多発した区間に、動物園から譲り受けたライオンの糞尿を散布したところ、たちどころに事故がなくなったそうです。
日本にいる鹿は、アフリカにいるライオンの糞尿のにおいなど知らないはずですが、本能的に察するのでしょうね。

by 北海道大好き人間 (2010-11-23 16:50) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
その話は、目から鱗ですね。
サルやイノシシ、鹿などの食害に合っている農家でも利用できそうですね。
by optimist (2010-11-27 22:22) 

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