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金星探査機『あかつき』金星軌道投入ならず・・・ [科学系よもやま話]

皆さん既にご存知だとは思いますが、残念ながら金星探査機『あかつき』の金星周回軌道への投入は失敗だったようです。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、昨日発表した内容は以下の通り。
金星探査機「あかつき」の金星周回観測軌道投入(VOI-1)の結果について(リンク)』
より詳しい内容は、8日の宇宙開発委員会の資料に見る事が出来ます。
金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入結果について(pdfファイル)』

セラミックスラスターエンジンによる逆噴射時間が大幅に短かったために、減速が不十分で、金星を周回する軌道には乗らなかったようです。残念・・・。

これから詳細が明らかになるのと平行して、今後の運用計画が見直される訳ですが、金星への再接近が6年後。あかつきには、困難な6年が待っていそうです。

楽観的に考えれば、噴射時間が短かっただけなので、まだ十分な推進剤は残っている可能性が高いでしょう。既に三軸姿勢制御に移行、高利得アンテナによる通信
も確立され、オールグリーン。金星周回軌道に無いだけでバリバリ元気みたいです。機会さえ与えられれば、軌道投入を再び試みる事は十分可能かもしれません。

問題は、各種機器類の耐用年数や、内惑星軌道で太陽光に晒され続ける影響などでしょうか?
打上げから金星到着までのクルージング期間は、ノミナル軌道で半年、バックアップ軌道でも2.5年だったのが、一気に7年間にもなるのですから、大変だと思います。

他にも、軌道投入失敗の直接原因となった噴射開始の2分23秒後に大きく姿勢を崩した理由によっては、困難が予想されます。
個人的に可能性が高い気がするのが、やはりリンクの記事にもあるように、新開発のセラミックスラスターエンジンの破損が原因だった場合(現時点では、破損しているという発表はありません)。
噴射口が割れたりしている場合は、次に噴射した際にも回転運動を始めてしまうため、軌道投入は厳しいものとなるでしょう。

いずれにしても、専門の方々が様々な検証を行い、最善と思われる対策を打つ事になるでしょうから、それを見守るしかありません。まずは、金星周回軌道投入失敗調査・対策チームが設置され、第1回会合で以下の対応方針が設定されています。
・金星軌道投入過程の探査機の状態に関する情報を取得する。
・軌道投入失敗の原因究明を進める。
・6年余り後の金星再会合時での軌道投入の可能性を追求する。

またぞろ、批判も出るでしょうし、色々大変だと思いますが、関係者の方々には、頑張って頂きたいと思います。


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北海道大好き人間

化学に失敗はつきものなのですが、どこかの大臣は、これを引き合いに出して再度「仕分け」を行いそうな気がします。
それにしても、遠隔操作というものは難しいですよね。

by 北海道大好き人間 (2010-12-10 00:29) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
結局、残念な結果になってしまいましたが、あまりあげつらって欲しくはないですよね。
by optimist (2010-12-13 21:56) 

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