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クローンとは? [科学系よもやま話<クローンの話>]

今日からは、先日の『ゾウの「代理母」を使ったマンモス復活計画、近畿大』で、お約束した通り、クローン技術の現状を私なりにまとめてみようと思います。
あくまで素人目線での話となる点は、ご容赦下さい。

そもそもクローンとはなんでしょう?
本来クローン(Clone)とは、挿し木を意味します。挿し木で増えた植物って、元の木と増えた木は、全く同一の遺伝子型なんです。

生物学用語としては、1903年にウェッバー(H. J. Webber)が最初に使い、 栄養生殖によって増殖した個体集団として定義されます。ようは、同一の遺伝子型をもった個体群です。
今では、細胞や遺伝子についても用いられます。例えば、DNAのクローニングという使い方です。DNAのクローニングは、染色体中や細胞質中から特定のDNA断片をベクターに組み込み、宿主細胞(大腸菌など)へ導入することで、特定のDNAだけを大量に増やす事を意味します。

そして、最近よく耳にするクローンが体細胞クローンです。単にクローン羊やクローン牛、クローンマウスと表記されますが、厳密には体細胞クローン。これは、成長した個体の体から遺伝情報を得て、別の卵子に移植することで生まれます。
体細胞クローンは、自然界では存在しないクローンです。
 
ところで、自然界でと書きましたが、実は自然界でクローンは結構ありふれた存在なのをご存知でしょうか?
 
無性生殖による生物は、原則的にクローンを作ります。単細胞生物の細胞分裂では、同じ遺伝子を持つので、当然クローンとなるわけです。

また、三倍体の生物は、一見種子や胞子を作って繁殖しているように見えますが、遺伝的には、減数分裂・融合を経ない無融合生殖なので、子は親と同一の遺伝子型を持つクローンです。代表的な例は、セイヨウタンポポ。セイヨウタンポポが群生しているのをみかけますが、あれってクローンなんです。

双子はどうでしょう?一卵性の双生児の場合、何らかのきっかけで、卵子が2つに分かれ、それぞれに成長して生まれます。クローンとは、同じ遺伝子をもった個体群を指しますから、同一遺伝子を持つ一卵性双生児は(あくまで生物学的に)クローンと言えます。

これらは、自然界でみられるクローンです。
では、人為的なクローンには、どんな物があるのでしょう?

それについては、次回お話したいと思います。

タグ:クローン
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北海道大好き人間

>三倍体の生物
生物ではないですが、種なしスイカをどうやって増やすのかというのも、クローンの一種なのでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2011-01-25 16:05) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
実は、種なしスイカも三倍体ですが、種子を作らないので一台限りなんです。
普通のスイカ(二倍体)の発芽直後に、コルヒチン処理で四倍体の苗が得られます。これを育てて、雌しべに二倍体の花粉を受粉させると、種子は三倍体となるって仕組みなんですよ。
by optimist (2011-01-28 00:04) 

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