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渋皮がポロッと剥けるニホングリ、『ぽろたん』 [科学系よもやま話]

『ぽろたん』は、農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所で育成されたクリの新品種です。平成19年度から苗木の販売が開始されているそうです。系統的には、((森早生×改良豊多摩)×国見)×丹沢という掛け合わせなのですが、素人が見てもさっぱりどんな特徴が出るのか判りませんね^^;

この品種の最大の特徴は、渋川が簡単に剥離するという事。
勿論、加熱しないと剥けませんが、鬼皮に果肉まで達する傷をつけて、電子レンジで加熱したり茹でたりすると、渋皮ごとポロッと取れるんです。
栗が大好物な私には朗報です。

さて、一般に栗にはチュウゴクグリとニホングリの二種類があります。中国栗は天津甘栗として売られている様に、加熱すると渋皮が剥けるのですが、小粒です。対して私の好きなニホングリは、風味が強く大粒ですが、渋皮がなかなか剥けないという特徴があります。
栗ご飯や、甘露煮を作る時も鬼皮を剥く際に、渋皮ごと包丁で剥いてしまうのが普通ですが、これがなかなかの手間。ところが『ぽろたん』なら切れ目を入れて、茹でてやれば、簡単に渋皮ごと剥く事が出来るそうです。素晴らしい!
 
果肉と渋皮は、ポリフェノールの1種で接着されています。下のリンクにあるように、そのポリフェノールは、栗の粘性接着物質「カスタヘジョン(Castahesion)」と名付けられ、分子量1500程の(+)-カテキンのポリマー(図中のOHが脱水反応で結合したもの)だと推定されています。因みに、このようなカテキンのポリマーは、プロアントシアニジンと呼ばれ、抗酸化剤として着目されています。
園芸学会雑誌67(1)『人為的処理によるニホングリの渋皮と果肉の接着過程におけるフェノール物質の役割(リンク)』
園芸学会雑誌67(1)『ニホングリの渋皮と果肉との接着物質'カスタヘジョン'の部分精製, 推定構造, 性質について(リンク)』
catechin.jpg

この辺りは、『くだもの・科学・健康ジャーナル(リンク)』の
ニホングリの渋皮はどうして剥けないか(リンク)』
続・ニホングリの渋皮はどうして剥けないか(リンク)』
に詳しく説明されていますので、興味がある方はご覧になってみては如何でしょう?

まあ、理由はともかく、渋皮が剥き易い『ぽろたん』の昨年辺りから出荷が始まっているようです。見かけた際には、試しに購入してみるのも良いかもしれません。


タグ:ぽろたん
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コメント 2

北海道大好き人間

栗が出盛りの9月くらいに、正月に使う甘露煮を仕込むのですが、あの面倒な渋皮が一気に剥けるというのはいいですね。
あとは、味や食感がどうなのかでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2011-02-22 15:39) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
特に味や食感が悪いと言う事はないようですが、試す機会があったら報告したいと思います。
by optimist (2011-03-01 22:10) 

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