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鹿児島湾でレアメタル発見 国内販売量の180年分 [科学系よもやま話<レアアース,レアメタル>]

このニュースにある、鉱床の発見は、4月19日の定例記者発表で報告されたものなのですが、5月22日からの日本地球惑星科学連合大会で発表されるという事で、朝日新聞のニュースになったようです。

4月19日、岡山大学定例記者発表『鹿児島湾奥部海底に有望なレアメタル鉱床を確認』
プレスリリース資料(pdfファイル)』
添付資料(pdfファイル)』

これによれば、2007年6月に岡山大学大学院自然科学研究科が、『独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)(リンク)』所属の無人潜水艇『ハイパードルフィン(リンク)』とその支援母船『なつしま(リンク)』と共に調査した際、鹿児島湾湾奥部にチムニーを伴って200℃近い温度の熱水が活発に湧出する海底温泉(熱水噴出孔)を発見したそうです。
続く8月には『東京大学生産技術研究所海中工学国際研究センター(リンク)』の自律型海中ロボット『ツナサンド(TUNA-SAND:Terrain base Underwater Navigable AUV for Seafloor And Natural resources Development)(リンク)』によって、さらに二カ所からチムニーを伴う熱水噴出孔なども発見、鉱床の形成が起こりつつある場所と考えられ、以降調査が進められてきたのだそうです。

それ以降、東京大学生産技術研究所、九州大学、高知大学、産業技術総合研究所等と共同して、同海域における熱水鉱床形成の可能性について調査を進めてきた中での成果だとか。
 この鉱床は、鹿児島湾湾奥部東側の海底活火山『若尊』の火口内でに広がっているそうで、水深は200m程。この同海域の熱水噴出孔の下部には輝安鉱の塊が多数露出していて、直径1.5km 程度の範囲に厚さ5m程度で分布していると推測され、それを元に算出した輝安鉱を含む鉱体の埋蔵量は1500万トンにも達するのだとか。

輝安鉱(Sb)は、アンチモンの硫化物。この輝安鉱を多量に含む鉱体に含まれるアンチモンの品位は6%、つまりアンチモンとして90万トンです。更に輝安鉱は平均20ppmの金を含有するそうですから、金の埋蔵量も25 トン程度あるそうです。

レアアースについて その3』でも、ご紹介したことがありますが、日本は決して鉱物資源に乏しい国ではありません。それどころか、本って資源大国と言えなくも無いんです。

しかし、その一方で、現在日本で採掘を行なっている鉱山は菱刈金山だけになっています。それは、日本の鉱山では、採算が取れる鉱床が乏しいからだと思います。

今回のアンチモン鉱床は、水深200m、しかも内海という事で、技術的に採掘を阻むものは無いでしょう。では、開発が進むのかと言えばそうではありません。採掘にあたり、毒性のあるアンチモンで鹿児島湾を汚染しないように、海洋汚染を防ぎながら海底から取り出す技術が必要だからです。その上で安価に採掘・精錬できるとなった時、或いは供給が止まり、国内で自給せざるを得なくなった時に、初めて開発が進むことになるでしょう。

このように、実は資源が無いわけじゃない日本、では何故輸入に頼るかと言えば、多くの場合は安いから。
以前も書きましたが、安い理由には、オーストラリアの鉄鉱石のように、とんでもない規模の露天掘りでの採掘している場合もあります。
しかし、その一方で、日本から見たら、考えられない劣悪な環境で、且つ低賃金で働く労働者によって採掘され、排水も十分に処理されないまま下流地域を汚染している結果の安価である場合もあるという事は忘れてはいけないと思います。
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北海道大好き人間

日本で鉱山と言えば、山の奥深くにトンネルを掘り抜くイメージがありますが、外国の露天掘りの映像を見ますと驚かれますね。
何しろ、足元をちょこっと掘るだけで鉱脈にぶち当たるのですから。
レアメタルもですが、「都市鉱山」と言われる使用済み携帯電話等からの回収・再利用がもっと進めばと思います。

by 北海道大好き人間 (2011-05-22 20:06) 

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