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隕石(NWA1934)から発見された新鉱物『Krotite(クロタイト)』 [科学系よもやま話<新鉱物>]

今日、ご紹介するのは隕石から発見された新鉱物『Krotite(クロタイト)』。
Krotite-CAI-reflected.jpg
Discovery of New Mineral, Krotite, in a CAI(リンク)』

この新鉱物『Krotite(クロタイト)』は、写真にあるように、2.75mm×4.5mm。無色透明の結晶の集合体。アフリカの砂漠で回収された8kg程のCV3炭素質コンドライト(Carbonaceous chondrites)、NWA1934から発見されたそうです。

炭素質コンドライト隕石は、化学組成が太陽組成に近く、最も始原的な隕石と考えられていて、太陽系の初期状態を推定するための最適な試料と言われます。その中でも特に、CV3に分類される炭素質コンドライトは、母天体での水質変成や熱変成などの二次的な変成作用をあまり受けていない隕石です。
CV3炭素質コンドライトは、CAI(Ca-Al rich Inclusion)と呼ばれる白色の部分がある場合があります。その名の通り、カルシウムとアルミニウムを多く含む内包物なのですが、高温条件でガスから凝縮してできると考えられています。つまり、出来たばかりの初期の太陽系で、ガスから固まってできたと推測されるんです。

『Krotite(クロタイト)』は、このCAIから発見され、その組成もCaAlというものです。この組成は、材料科学ではよく知られる物だそうで、高い圧力領域で形成される構造のCaAlは、NWA480隕石(CHコンドライト)中のCAIで見つかっていて、こちらも新鉱物として申請中だったはずです。
これに対して『Krotite(クロタイト)』は、低い圧力領域で形成されたと考えられる構造を持ち、初期太陽系の研究で多大な功績を残しているハワイ大学のアレクサンダー N.クロット博士にちなんでその名がつけられたのだとか。

最近は、このように隕石や宇宙から回収された塵から新鉱物が発見され、太陽系の形成過程についての知見を与えてくれます。
本当に小さな結晶から、なんとも壮大な太陽系の形成の歴史が垣間見えるのは、なんとも面白いですね。

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北海道大好き人間

地球外の物質というのも、空気との摩擦による熱やその後の地球の大気によって変化したものもあるのでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2011-05-22 20:13) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
物によっては、そのような変化をした隕石もあるようです。
因みに、このクロタイトの周囲にある付着物も、地球上での二次作用で変質したカルシウムとアルミニウムの水酸化物だと思われるそうですよ。
by optimist (2011-05-23 22:38) 

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