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味を受容する細胞が生まれる仕組みを解き明かす [科学系よもやま話<味覚の話>]

今日は、東大大学院農学生命科学研究科のプレスリリースから『味を受容する細胞が生まれる仕組みを解き明かす―甘・旨・苦味を感知できないマウスの作出から(リンク)』をご紹介します。

尚、この研究論文は、米科学誌『Nature Neuroscience(ネイチャー・ニューロサイエンス)(リンク)』電子版で、発表されています。
Skn-1a (Pou2f3) specifies taste receptor cell lineage(リンク)』
※Full text は、有料です。

この論文では、東大大学院農学生命科学研究科の松本一朗特任准教授(現米モネル化学感覚研究所研究員)や応本真特任助教らが、味細胞と周辺の細胞の違いをもたらす遺伝子を網羅的に解析した結果得られた知見が、発表されています。

甘味・旨味・苦味・酸味・塩味を呈する化合物は、舌にあるそれぞれ別々の味細胞によって受容されます。甘味、苦味、うま味の細胞に限って生じるPOUホメオドメインタンパク質『Skn-1a』を作る遺伝子(Skn-1a/Pou2f3)が働かないよう操作したマウス(Skn-1aノックアウトマウス)を調べたところ、甘・旨・苦味細胞が完全に消失し、これら3種類の味を感知できなくなったそうです。
また、これらの味細胞の活性化に必要な遺伝子群(味覚受容体、Gタンパク質、エフェクター、イオンチャンネルなど)の発現が消失していた一方、消失した味細胞に代わり酸味細胞数が増えたのだとか。

つまり、甘味・旨味・苦味・酸味の4つの味細胞は、1つの共通の前駆細胞から分化していると考えられるんです。そして、『Skn-1a』というたんぱく質が作用するかどうかで、甘味、苦味、うま味を感じる細胞になるか、はたまた酸味を感じる細胞になるかを制御していると推測されるというわけ。

正に、味の細胞系譜の新発見といえますね。
 
味覚は、我々が毎日感じている感覚の一つですが、調べて見ると様々な研究が行われている事が分かります。

味覚とは、生命を維持するために外界から食物を摂取する生物にとって、有効なエネルギー源を判別したり、或いは有害な物質を排除するための機能だと言われています。

これは、摂取される側である植物の進化とも無縁ではありません。そんな味覚の不思議に関しては、明日引き続きご紹介しようと思います。

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北海道大好き人間

いわゆる「甘・酸・辛・苦・渋」についてですね。
仕事柄興味がありますので、続きも期待しております。

by 北海道大好き人間 (2011-05-27 13:35) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
既に全部お読みになった後だと思いますが、ちょっと期待された内容とは違っていたかと思います。
如何でしたでしょうか?
by optimist (2011-05-31 22:40) 

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