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地球は二つの月を持っていた? [科学系よもやま話<宇宙の話>]

8月3日のオンライン版のNatureで発表されているので、かなり新鮮さには欠けますが、地球はかつて二つの月を持っていて、それが衝突して今の月になったという説について、今日は取り上げたいと思います。

Forming the lunar farside highlands by accretion of a companion moon(リンク)』( Nature 476, 69–72 doi:10.1038/nature10289 03 August 2011 )
現在有力とされる月の起源は『ジャイアントインパクト説』です。原始地球に、火星サイズの原始惑星が衝突し、今の地球が形成されると共に、飛び散った破片が集まり月となったという説です。

ただ、月は表と裏でその表情が全く異なります。クレーターの数だけなら地球に引かれた小天体は月の裏側に多く落ちるという考えで説明もつきますが、地殻の厚さや、鉱物の分布にも大きな偏りがある事が近年分ってきました。

そこで提唱された新しい説が、この2つの月説です。

ジャイアントインパクト時に、月にも地球にもならなかった物質が集まり、地球のトロヤ点(月、地球と正三角形を作る地点)に、第2の月として、数千万年ほど存在していたのではないかと言うのです。
そして、やがてこの第2の月は軌道を外れ、大きいほうの月にゆっくりと衝突したと論文では考察されています。

通常の天体間の衝突に比べて非常にゆっくりと衝突した結果、第二の月は、月の地表を這うように覆いつくし、同時に衝突の衝撃は地下のマグマ成分を月の表側に押し出した・・・。

衝突した点は、月の裏側であったため、月の表と裏では岩石の組成や地殻の厚みが異なり、マグマオーシャンが月の表側に広がった理由も説明できるとしています。

なるほど、と思わせる内容です。

まだ、仮説に過ぎませんが、今後月探査が進むにつれ、その真偽が明らかになっていくと思われます。
今後の研究成果が楽しみですね。

尚、このブログにもコメント頂いているHaruka・N さんが既に記事をかいていらっしゃいますので、ご紹介しておきます。
お月様が2つ、あったかもしれない
まだ、あくまで仮定形のお話ですが、
・地球の月は、はじめ2つあった?
月の形成過程のシミュレーション結果によると、
地球はしばらくの間、2つの月を持っていたかもしれないことがわかった。
2つの月ができてから数千万年後に衝突し、今の月の姿になったのかもしれないという。

月の両面で地殻の厚さや鉱物組成、元素組成が大きく異なるのは有名ですが、
2つの月が裏側で衝突して、現在のような月になったからだと。
そんな馬鹿な。と、笑う人もいるかもしれないけれど、
現在の主流とされる、衝突起源説、ジャイアント・インパクトだって、
私が幼い頃は新説だったし、古めの本には載ってなかったんです。





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北海道大好き人間

興味深い記事ですね。
消えてしまったとされる「第二の月」は視直径がどのくらいだったのでしょうか?それによって、皆既日食或いは金環日食だけしか見られなかったのか、はたまた今の月みたいに両方を見ることができたのかという関心もあります。

by 北海道大好き人間 (2011-08-26 08:41) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
この説が正しいとして、未だ生命が誕生前の事でしょうから、その姿を見た生命は居なかったのでしょうね。
おそらく軌道は今の月より近かったでしょうから、第一の月の直径が小さい事もあり、、皆既日食或いは金環日食だけしか見られなかったのか、両方見られたのか簡単には推測できませんね^^;
少なくとも第二の月の視直径は、太陽より遥かに小さかった事だけは伺えます。
by optimist (2011-08-27 00:19) 

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