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北極海海氷の面積 観測史上最小に [科学系よもやま話]

JAXA(宇宙航空研究開発機構)が公開した北極海の氷に関する報告が、ニュースになっていました。
息子が名付け親(の一人)となった(『GCOM-W1『しずく』の認定証』)第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)が、7月3日から継続してきた観測データの内、マイクロ波放射計で捉えた北極海の海氷データを解析した結果、今年の北極海の海氷は、1978年からの観測史上最も小さい面積を記録した事が分かったのだそうです。
北極海海氷の観測データ解析結果について~北極海海氷の面積 観測史上最小に~(リンク)』

衛星観測史上最小だったのは、2007年の事で425万k㎡。ところが今年は、それを大きく下回り、今日現在で、395万k㎡と、400万k㎡を既に割り込んでいるんです。

例年北極海の氷が最小となるのは、下図のように、9月中旬から下旬にかけてと言いますから、今年は過去のデータと比較しても著しく海氷が少なくなることは明らかです。
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※2012年8月24日現在北半球の海氷面積の季節変動(Credit:JAXA)
 

地球温暖化という言葉が叫ばれ、熱波、寒波、異常気象と日々のニュースになる昨今、それでも身近に温暖化の影響を危険な兆候として感じている方が、今の日本にどれほどいるでしょうか?

しかし、北極海に暮らす人々や、動物たちにとっては、このような海氷の異常な現象は、正に死活問題です。そしてサンゴ礁などの海抜数mしかないような国土しか持たない国々にとって、それが1mに満たない海面上昇であったとしても、影響は計り知れません。

それらすべてが二酸化炭素濃度の上昇が原因であるかどうかは、未だ決着を見ていません。しかし、例えば、震災前に東北地方に大きな津波が来ていたという学説を支持していた人より、二酸化炭素濃度の上昇が温暖化の一因とする考えを支持する学者の数は、遥かに多いのです。

東電が津波の危険を過小評価していたと批判するならば、二酸化炭素排出の危険性を過小評価することは、遥かに愚かな事ではないでしょうか?(とはいえ、私自身二酸化炭素量増加=温暖化と確信している訳ではありませんが・・・)

そして、今年我々が、火力発電をフル稼働している事で、どれだけの二酸化炭素が排出されているのでしょうか?また、ガソリンなどの化石燃料を消費する自動車に乗る事で、どれだけの二酸化炭素が排出されているのでしょうか?
そんな事をもっと各人が考えるべきだと、北極海氷の減少というニュースを見ると思わざるを得ません。

嫌な言い方ですが、原発は危険だから停止させるべき、再稼働もさせるべきではないと主張する人々は、電気自動車が技術的に可能で、実際に販売されているのに、二酸化炭素を排出する自動車販売を禁止しなくても構わないのでしょうか?実際に温暖化の影響で苦しんでいる人々が居ても、日本では影響が少ないから、すべての火力発電は停止させ再稼働させるべきではないとは考えないのでしょうか?

今後、省エネルギー社会を構築する、はたまた、原子力や化石燃料に依存しない再生産可能なクリーンエネルギーの比重を高めるというビジョンは、多くの日本人が支持する方向だと思います。
でも、それはどのような速度で達成されるべきなのでしょうか?今現在、火力発電をフル稼働させるのは許容できる事なのでしょうか?そして、原発を一部であってもどのように管理しようとも稼働させる事は絶対に許容できない事なのでしょうか?

目標については過半数の人間が支持していても、そこへの道のりは人それぞれ意見が異なっています。今後、日本はどのような道のりを経て省エネルギー社会、クリーンエネルギー社会を構築していくのか、その意見を摺合せるのは、大変な労力が必要となるでしょう。
願わくば、それが建設的な意見交換によって成されますように。権力闘争に明け暮れている場合なのやら・・・

今回、かなり説教臭い内容となってしまいました。しかし、先日放送された『NHKスペシャル「フローズンプラネット」(リンク)』の第二回、『激変する氷の大自然』を見たり、このようなニュースを耳にしたりすると、どうしても色々と考えてしまい、書かずにはおれませんでした。ご容赦ください。

尚、北極海氷の画像は、『地球観測研究センター(地球が見える)(リンク)』で閲覧することができます。

また、 北極海の海氷密接度の分布画像や海氷面積値情報は、JAXAが米国アラスカ州立大学北極圏研究センター(IARC)に設置しているIARC-JAXA情報システム(IJIS)を利用した『北極海海氷モニターWebページ(リンク)』上で公開されています。

ページ上の画像は、クレジット付与して使用することもできるようですので、 まだ自由研究をやっていないというお子様のテーマに如何でしょう?(って既に月末だから、そんなの終わってるよって人がほとんどでしょうけれど・・・)


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北海道大好き人間

原発(放射能汚染)と火力発電(二酸化炭素の派出による温暖化への影響)、二律背反みたいですね。

>地球温暖化という言葉が叫ばれ、熱波、寒波、異常気象と日々のニュースになる昨今、それでも身近に温暖化の影響を危険な兆候として感じている方が、今の日本にどれほどいるでしょうか?
一昨年と今年の猛暑で、いくらかの人は感じ取っていると思います。
私の個人的な経験での比較ですが、今年の地元の暑さは、20年以上前に私が東京に住んでいた時の暑さと同じくらいかそれ以上です。

>そしてサンゴ礁などの海抜数mしかないような国土しか持たない国々にとって、それが1mに満たない海面上昇であったとしても、影響は計り知れません。
南太平洋の島国・ツバルがまさにその危機に瀕しています。

by 北海道大好き人間 (2012-08-29 20:21) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
私としては、原発と火力発電の二律背反とは考えてる訳でも無いんです。
結局エネルギーをどれだけ使うか、どうやって作るかの問題を議論しなくてはいけないのに、原発は絶対にダメで化石燃料を燃やすのはOKというなら、二酸化炭素を排出している自覚を持って主張して欲しいというのが近いと思います。
金の問題じゃない、安全の問題だというのであれば、全ての化石燃料を使う自動車は廃止しろと、主張するべきだと思うんですけどね・・・。
by optimist (2012-08-30 21:37) 

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