下北八戸沖石炭層生命圏掘削 [科学系よもやま話]
JAMSTEC(海洋研究開発機構)の地球深部探査船「ちきゅう」が、今年の7月26日から八戸沖合で行っていた統合国際深海掘削計画(IODP)第337次研究航海「下北八戸沖石炭層生命圏掘削」において、海底下からの掘削深度が、2,466mに到達。掘削作業を9月9日に完了したそうです。
『下北八戸沖石炭層生命圏掘削 2012 特設ページ(リンク)』
9月下旬まで、掘削孔を用いた地層の物性データの取得等を行う予定だそうですが、、今回の調査結果が楽しみですね。
で、掘削深度2,466mというのが、これまで最も深く掘削していた、米国のジョイデスレゾリューション号の2,111mを超えたという事で、ニュースにもなっていました。
掘削深度がトップだなんだは、本質ではないのですが、人々の関心を集めるという点では良いのかもしれませんね。
さて、何で「ちきゅう」は、八戸沖を掘っているのでしょう?
詳しくは、上でご紹介している特設サイトをご覧になって頂ければわかるのですが、今回調査している八戸沖海底下の地層には、約5000万年前から6500万年前の石炭層が眠っているのだそうです。
それらの一部は、まだ完全な石炭に成りきっていない、未成熟の石炭で褐炭と瀝青炭という資源的価値の低い有機物の層なのだとか。しかし、丁度石炭の熟成過程であるが故に、天然ガス(メタン)が発生し、下北半島八戸沖の海底下に深部の石炭層を根源とする天然ガス・メタンハイドレートなどの炭素循環システムが発達しているのかも知れないのだそうです。
このような、石炭層を根源とする天然ガスに依存して地下微生物が豊富に存在する環境は、海底下の炭素循環や地下生命活動との関連性を探る上で、絶好の調査海域という訳です。
そもそも、メタンハイドレートや油ガス域などの炭素エネルギー資源がどのように生成されるのか?それに、地下の微生物生態系の働きがどう関与しているのか?その多くは謎に包まれたままです。
今回の調査により、これらの謎が解明される糸口となる事を期待しましょう。
バンダイExploring Lab.(エクスプローリング・ラボ) 1/700 地球深部探査船『ちきゅう』【11月予... |
目下、再生可能エネルギーについていろいろと取りざたされていますが、今回の成果が少しでも生かされるといいですね。
by 北海道大好き人間 (2012-09-16 20:22)
北海道大好き人間 さん、こんばんは。
今後、海洋資源も絡み、JAMSTECの研究への関心も高くなるでしょうね。
by optimist (2012-09-16 23:22)