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サーモクロミック分子① [科学系よもやま話<色と光の話>]

サーモクロミズムを発現するサーモクロミック分子として有名なのが、ジエチルジエチレングリコール銅(Ⅱ)錯体です。
組成式[Cu(dieten)2](X)2で表されるこの分子、陰イオンのXがテトラフルオロホウ酸(BF4)イオンの場合は、23℃を境に、過塩素酸(ClO4)イオンの場合は、43℃を境に低温では赤紫色、高温度では濃紫色に可逆的な色変化(サーモクロミズム)を起こすんです。

Diethylethylenediamine+Cu.pngこれは、過塩素酸塩での低温相と高温相の両相の構造解析結果を示した模式図です。低温相では銅原子に対して配位子の窒素原子が平面四配位していますが、高温相では配位子の窒素原子が平面から四面体歪みした配位構造に変化します。
これにより、銅原子のd-d遷移エネルギーが変化して、色が変化するわけです。

d-d遷移って何?なんで構造が変化しただけで色が変化するの?という疑問については、また別の話として、興味のある方はご自身で調べてみて下さい。また、私の別ブログ内の『鉱物の色の原因(光と色の話 第8回)』にちょこっと説明していますので、良かったらご覧ください。

勿論これは一例に過ぎません。このような分子構造が変わるもの以外に、コンフォメーション変化、脱水反応、液晶の転移、分子間相互作用、相転移などさまざまなサーモクロミック分子が知られ、利用されています。
他のタイプについても、又の機会にご紹介しようと思いますが、本日はここまでという事でw

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北海道大好き人間

溶鉱炉の様な高温ならともかく、普段生活している気温の中で自然に金属が変色するって珍しいですね。

そういえばサーモグラフィーって、跳ね返ってくる電波の波長で画面に出てくる色が変わるんでしたっけ?

by 北海道大好き人間 (2014-01-19 14:07) 

optimist

北海道大好き人間 さんこんばんは。
サーモグラフィーですが、跳ね返ってくる電波の波長ではなく、赤外線の放射量を色で表現しているようですよ。
by optimist (2014-01-22 21:43) 

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