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火砕流に閉じ込められた太古の生物達? [科学系よもやま話]

今日ご紹介するのは、英科学誌Nature Communicationsに掲載されたこの論文に関するニュースです。

New evidence suggests pyroclastic flows are responsible for the remarkable preservation of the Jehol biota(リンク)』(Nature Communications 5,Article number: 3151 doi:10.1038/ncomms4151)

中国東北部・遼寧省西部にある易県累層と九仏堂累層と呼ばれる地層では、約1億2000万年前の白亜紀初期に生息していた生き物の化石が多く産出する事がしられています。多種多様な生き物の化石が眠っている化石の宝庫なのだそうですが、それらの化石は火砕流に閉じ込められた生き物達だという内容です。
 
これらの化石群は「熱河生物群」と呼ばれ、太古に消失した湖や針葉樹林に生息していた多種多様な生き物の化石が算出するそうです。その種は、恐竜、翼竜、原始鳥類だけでなく、哺乳類、カメ、トカゲ、淡水魚、カエル、植物や昆虫まで含み、世界でも豊富で幅広い種類の化石が発掘される場所の一つだそうです。その上、その多くは保存状態が非常に良好で、古生物学者にとって貴重なうろこ、羽毛、体毛、皮膚などが残っている場合もあるので、大変貴重です。

なぜこのような、保存状態の良い化石が多数産出するのでしょう?
例えば、保存状態の良い化石が大量に見つかる場所としては、始祖鳥の発見で名高いドイツ南部の『ゾルンホーフェン』も有名です。この辺りは、サンゴに囲まれたラグーンだったそうで、塩分濃度が高い海底付近では酸素の量が少なく、動植物の死骸は分解されることなく保存状態のよい化石となったと考えられています。

それに対して、中国の易県累層とや九仏堂累層では、さんがらイタリアのポンペイ遺跡のように、火砕流によって一種にして周辺に暮らしていた生物達を閉じ込めてしまったと著者らは主張しています。大規模な火砕流によって辺り一帯に生息していた生物が死に絶え、火山灰に埋もれてそのまま保存されたというのです。
 
何故火砕流による成因が疑われるのでしょう?論文では、その根拠として、植物化石の破片には黒ずんだ炭素の筋がみられる事、動物の骨格化石では含気骨の内部が微細な石英の粒で満たされていた事、そしてなにより骨端部に十字の亀裂が見られた事などが挙げられています。

このような骨端部の亀裂は、熱応力によってできる事が知られています。ポンペイ遺跡でみつかる犠牲者の骨にも同じ十字の亀裂が見られるそうです。ポンペイと言えば、ベスビオ火山の噴火で一瞬にして埋もれたイタリアの古代ローマ都市で、当時生活していたそのままが閉じ込められた貴重な遺跡として有名です。亡くなった方は痛ましい限りですが、時がたつと時を止めたまま閉じ込められた遺跡は非常に貴重な物となります。

太古の昔にも同じように作られたタイムカプセルがあったとしても不思議はありませんね。
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タグ:化石
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コメント 2

北海道大好き人間

易県累層&九仏堂累層とポンペイとでは時代の差がありすぎますが、いずれにしても良好な保存条件が重なったということですね。
日本でも、最近では島原の雲仙・普賢岳で火砕流による惨事が起きていますが、それ以外の火山でもこうなる危険性はあるわけです。
あまり考えたくないですが、私の地元・富士山でもこういうことが起きない保証はどこにもありません。

by 北海道大好き人間 (2014-02-18 12:57) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
富士山はいずれ噴火するのは確実だと言われていますが、できれば生きている間に噴火して欲しくないです^^;
by optimist (2014-02-24 21:17) 

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