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半水生に適応した巨大肉食恐竜 [科学系よもやま話]

肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)より大きく、史上最大の肉食恐竜として知られる「スピノサウルス・エジプティアクス(Spinosaurus aegyptiacus)」が、陸上生活と水中生活の両方に適応していたとする研究論文が、11日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載されたとニュースになっていました。

掲載された論文とういうのが、この論文です。
Semiaquatic adaptations in a giant predatory dinosaur(リンク)』(Science (advance online publication) DOI: 10.1126/science.1258750)

以前から、スピノサウルスがワニのように、水中で魚などを採っていたとする説が有力視されていましたが、この論文のように、恐竜が水中でも過ごしていた可能性を示す報告というは初めてなんだそうです。ちょっと意外でした。
因みに、水中(海中)で生活していたプレシオサウルスやフタバスズキリュウなどは、恐竜ではなく、海生爬虫類に分類されます。

無題.png
Fig. S3.Digital skeletal reconstruction and transparent flesh outline of Spinosaurus aegyptiacus.(Semiaquatic adaptations in a giant predatory dinosaur ; DOI: 10.1126/science.1258750))

図中の中央にある赤い点が、復元された骨格から予測された重心位置を示しています。図中で赤く示された部分は、今回新たにモロッコで発見された新基準標本で、橙色がシュトロマーらが発見した部分、黄色で示された部分がモロッコで見つかった遊離した骨化石だそうです。  
そして、緑色はスコミムスなどからの代用部分、色はは近隣の骨からの推定部となります。

これを見ると、重心は、腰よりも前肢側にあり、後肢も前肢に比べて貧弱。ティラノサウルスなどのガッシリした後肢とは対照的ですね。
つまり、スピノサウルスは陸上では俊敏な動きはできず、川の水をかきわけて進み、古代のサメ、ノコギリエイ、ハイギョなどを捕食していたと想像されるというわけです。

パドル状の足や長い尾、幅の狭い腰部などは、水中を容易に移動する助けになっていた可能性が高く、また骨密度が高いことが、水中で浮力を制御する助けになっており、長く突き出た鼻先の上部に鼻孔が位置していることにより、体の一部が水面下にある間も呼吸をしやすかったと考えているそうです。

とはいえ、ニュースの記事でも触れられているように、異論もあるようで、今後スピノサウルスの生態について、様々な議論が行われる事でしょう。
それにしても、太古の生物の姿を想像するのは、本当に楽しいですね。




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北海道大好き人間

生物の進化という観点から見れば、水陸両用の恐竜とかがいてもおかしくはないでしょう。
それに、化石が発掘される陸地は地球全体の1/3程度、残りの2/3にあたる海底には、未発見の化石がいっぱいあるのではないかと思います。

by 北海道大好き人間 (2014-11-18 22:44) 

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