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試験中インフル新薬、「季節性」にタミフル並み効果 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

インフルエンザ治療薬「ペラミビル」(バイオクリスト社、日本では塩野義製薬がライセンス)を、季節性インフルエンザの患者に投与すると、タミフルに匹敵する効果があることが、同社の臨床試験でわかったというニュース。

ちょっと気になったので調べて見ました。ペラミビルというのは、ノイラミニダーゼ阻害剤です。種類が異なりますが、タミフルやリレンザもノイラミニダーゼ阻害剤になります。因みに構造はこんな感じです。
ペラミビル水和物.jpg
まあ、これだけ見てもどう効くのやら分かりませんね^^;

 A型インフルエンザウィルスは、エンベロープ表面には10nm程の長さの2種類の突起がイガグリ状に生えています。それぞれ、ヘマグルチニン(血球凝集素:HA) とノイラミニダーゼ(ニューラミニダーゼ、NA)と呼ばれ、HAは9種類、HAが16種類知られています。従来新型となる危険性が指摘されていたH5N1型のようにHAとNAの種類で分類されます。今話題のメキシコ発の豚インフルエンザはH1N1という具合です。

さて、ノイラミニダーゼ阻害剤というのはこのNA(ノイラミニダーゼ)の働きを文字通り阻害する薬です。ノイラミニダーゼは、感染細胞からインフルエンザウイルスを放出するのに必要ですので、これを阻害することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑制することが出来るわけです。ノイラミニダーゼを持つA型やB型には有効ですが、C型インフルエンザにはNAが無いので効果は期待できません。

A型インフルエンザウイルスは、流行の規模や感染時の被害が大きいため、薬の開発も進んでいる訳ですね。
 

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電池いらないリモコンできた ボタン押す振動で発電 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]



NECエレクトロニクスとベンチャー企業の音力発電(神奈川県藤沢市)が共同開発した、乾電池を使わないリモコンが発表されまっした。
指でリモコンを押す際に生まれる振動を使って発電するそうです。電池切れの心配が無いってのは画期的ですね。

音力発電と言えば、音や空気の振動を電気に変える技術で知られています。テレビ東京の、『ワールドビジネスサテライト[WBS]』でも紹介された事があるので、ご存知の人もいるかと思います。

同じ原理で、発電床®や振力™ライトなんかも開発している会社さん。
足踏みをすると電気を生じる「発電床®」は、廊下のLED誘導灯や非常階段の避難誘導灯への応用として、コクヨオフィスシステム本社に導入されてたりします。
また、首都高を走るクルマの振動エネルギーを、電気エネルギーに変換して発電、イルミネーションを光らせる振力™ライトが、中央環状線の五色桜大橋などに設置されているそうです。

社長さんは、まだ20代。慶応大学環境情報学部を卒業後、同大学院政策メディア研究科所属。2006年9月に株式会社音力発電を設立し田と亜、様々な賞を受賞されています。
どこかのインタビューで、『小学校のとき、理科の実験でモーターと発電機のしくみが逆ということを習ったんです。つまり、「発電すればモーターが回って、モーターが回れば発電する」というもの。だったら音を出すスピーカーでも同じようにできるんじゃないかな、と思ったんです。』と話されていました。

確かに、その通り。しかし、その発想がなかなか出てこないんですよね~。

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採血だけで消化器がん発見 金沢大教授らが判定法開発 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

癌検診が大幅に変わるかも・・・。消化器系のがんを採血だけで発見できる手法を金沢大医学類の金子周一教授(消化器内科)らが、発見したんだそうです。
金沢大学『血液検査で消化器がんを検出する新たな方法を開発(pdfファイル)』

気になる精度は、『がん患者40人と健康な人13人の計53人の血液で調べたところ、約9割の48人でがんの有無を正しく判定できたという。一方、「陽性」と判定した人の約1割で実際には、がんは見つからなかった。 』と言う事は、判定が誤っていたのは5人。がんでないのに、陽性と出たのが約1割ってんだから、多分1人。即ち、がん患者の内40人中36人が血液検査だけでがんだと判定できたって事です。

9割の患者で陽性とでるなんて、かなりの精度ですね。後は、本文中にもありますが、自覚症状の出ないような早期、初期の癌患者で判定した時にも有効かどうか。もし、早期がんに対しても、有効なら癌健診のあり方が変わるかもしれませんね。

この判定法では採血だけ(判定に必要な量は2.5cc)で3~4日で結果が出るのが利点。特別な薬の投与も不要だし、X線による被曝量も気にしないですむのは素晴らしいと思います。

実用化も早くて、金沢大の研究成果を事業化する目的で設立された「株式会社キュービクス」が、遺伝子の異常を判定できる専用の「DNAチップ」を委託製造し、来年末にも自費診療で検査をスタートできるかもしれないそうですよ。



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地熱発電の規制緩和へ [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

現在の日本は大型の発電所か家庭用や工場での太陽光や風力発電でしか電気を作っていません。しかし、もっと中規模・小規模な発電施設が普及すれば、送電の必要もなくなりますから、非常に魅力的だと思います。

その点では、この記事にある地熱発電に関する規制見直しの検討というのは評価できるのではないでしょうか?

さて、地熱発電と言えば、 地熱発電は、地中のマグマだまりで暖められた水蒸気を利用しますが、沸点の低い溶媒を熱交換により蒸気にして、低温でタービンを回すバイナリー発電という方法もあります。
でも、もっと単純に暖かい温泉の排水と川の水などの冷水を用い、その温度差を利用して発電する方法も検討されているんです。

このような、今まで利用されてこなかった、小さなエネルギーを電気に変換することをパワー・ハーベスト技術(Power Harvesting Technology)と呼ぶそうです。このパワー・ハーベスト技術、私の住む神奈川県央地区とは縁が深いんです。

慶應義塾大学では、武藤教授らにより、パワー・ハーベスト技術が研究されていますが、キャンパスは藤沢市にあります。同じく、藤沢市のベンチャー企業『音力発電』が開発している発電床。これは、以前『電池いらないリモコンできた ボタン押す振動で発電』でご紹介しています。
そして、温度差発電。座間市のサイエンスパーク株式会社が慶應義塾大学武藤教授、ジェイアール東日本コンサルタンツ(株)と共同研究開発しているシステムです。

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小型カメラが網膜代わり 眼球裏に電極、脳に情報送る [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

今日ご紹介するのは、大阪大学 大学院 医学系研究科 感覚機能形成学教室(不二門尚教授)の研究グループが成功した小型カメラを使って能に情報を送る装置です。
効果と安全性を確かめ、3年以内にはつえなしで歩ける装置を作りたいそうです。

眼球の裏側に、電極チップを埋め込み、額につけた小型カメラで得た情報を 画像処理装置を通して伝えるんだとか。現在の電極だと、パソコンの画面いっぱいに映し出されたアルファベットが区別できるそうです。

先端医療をテレビを通じて見ることがありますが、米国やドイツで行われている網膜に直接電極を接触させ画像を送る研究に対して、この方法だと網膜を包む膜に電極を埋める点が異なり、網膜と電極を直接接触させない分、安全性が高いんだそう。確かに納得です。

これから色々な方法で、感覚器官の代わりや補助する装置が開発されるのでしょうね。


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iPS細胞から耳有毛細胞再生 難聴原因、マウスで成功 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

今日ご紹介するニュースは、マウスで人工多能性幹細胞(iPS細胞)から耳の有毛細胞を作る事に成功したというもの。

人工多能性幹細胞(iPS細胞)からは、様々な臓器などを作る研究が行われていますが、感覚器の細胞を作るのは難しいとされています。まだまだマウスですが、もし人でも可能となると、ヘッドホン難聴などの治療が可能になるかも知れませんね。

ヘッドホン難聴や音響性難聴と呼ばれる難聴は、ヘッドフォンをつけ大音量で音楽を長時間聴き続けた結果、内耳の蝸牛内の有毛細胞に障害が出てしまい難聴になるものです。音(振動)を電気信号に変換する役割を持つ有毛細胞は、なってしまうと、これまで治療は困難でした。もし、この研究が進み、有毛細胞が再生可能となれば、画期的な治療法となるでしょう。

いずれは、移植を待たなくても自分の細胞から作った臓器を移植したり、特定器官を再生したりすることで、様々な治療が行われる日が来るのかもしれませんね。


唾液を調べ、がん発見 慶大研究所などが新技術開発 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

昨年取り上げたニュースに、消化器系のがんを採血だけで発見できる手法を金沢大医学の教授らが、発見『採血だけで消化器がん発見 金沢大教授らが判定法開発』というのがありました。

今回のニュースは、もっと簡便な癌検査です。なんと唾液検査するだけで、膵臓癌、乳癌、口腔癌などが高確率で発見できるというのですから。
慶応義塾大先端生命科学研究所『口腔がん,乳がん,膵臓がんを唾液検査で発見する(リンク)』

この技術を開発したのは、慶応義塾大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)。米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)と共同開発した技術だそうです。

この技術の核となるのは、唾液中に含まれる糖やアミノ酸濃度を測定し、特定の物質の濃度の高低の組み合わせで癌を発見するという点です。約500種類物質を検出するそうですが、特定の癌患者と健康な人の唾液中の濃度を比べると、その内54物質について、特異的に濃度が変化していた事から、この検出方法が考えられたとか。

検証実験では、膵臓癌の99%、乳癌の95%、口腔癌の80%が、特に年齢・性別・人種に拠らず、見分けられたというんですから驚きです。

唾液検査と血液検査によって、早期に発見し難かった癌が見つけられる日も近そうですね。


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抗ガン剤研究の道照らす、光るサンゴ礁群を発見 オーストラリア [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

ガン細胞の標識剤として蛍光物質を利用するというのは、2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩博士の研究で、広く一般にも知られるようになりました。

以前は、細胞内でリアルタイムで何が起こっているのかを見る技術は殆ど存在しませんでした。それが、蛍光物質を標識剤として着色する事で、特定のタンパク質や細胞の所在を追跡することができるんですから、ガン研究に対する貢献の大きさが分かるというものです。
また、その後の研究で、生体細胞内でのみ発光する標識剤が開発されるなど、改良が進んでいます。これにより、癌細胞がどのように血管の中を移動し、どこで急激に増殖したかや、抗がん剤の効果を直接観察できるようになりました。

さて、初期は、ウミホタルやクラゲの蛍光タンパクを抽出していましたが、この記事にあるようなサンゴから蛍光タンパクを抽出されたのは、1998年ロシア科学アカデミーの分子生物学者セルゲイ・ルキアノフらによります。その中でも重要な発見となったのが(RFP:Red Fluorescence Protein)と呼ばれる赤い蛍光を発するタンパク質の発見です。赤い光は組織の深い部分の観察に役立つからです。それは、なぜでしょう?

分かり易いのは、童謡「手のひらを太陽に」の歌詞にもあるように、手のひらを太陽に透かして見ると、赤く見えるという事です。太陽光に含まれる赤以外の可視光が手のひらに吸収されて、赤い色を感じる長波長側の光が透過するから赤く見える。実は、赤以外の可視光は、血液に吸収されてしまうんです。そのため体の深部まで透過しません。しかし、赤い光は血液による吸収は少ないので、それだけ深い場所まで届くという訳です。他にもレーザーポインターを指に当てて、反対側からみても分かり易いですね。※くれぐれもレーザー光は直視しないで下さいね。

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核酸のように振る舞うタンパク質を明らかに [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

今日ご紹介するのは、独立行政法人理化学研究所と国立大学法人東京大学による研究報告です。
独立行政法人理化学研究所のプレスリリース『核酸のように振る舞うタンパク質を明らかに(pdfファイル』
詳しい内容は、科学雑誌「Nature Structural & Molecular Biology」のオンライン版(8月22日付)に掲載されています。
※フリーで閲覧できるのはAbstractのみ。
A paralog of lysyl-tRNA synthetase aminoacylates a conserved lysine residue in translation elongation factor P

この報告では、遺伝情報の翻訳過程に関するもので、訳因子EF―P と機能不明であった酵素GenXの複合体の立体構造解析した結果、EF―PがGenXからアミノ酸を受け取ることを発見したというもの。

理研生命分子システム基盤研究領域の横山茂之領域長(東京大学大学院理学系研究科 構造生物学社会連携講座兼任教授)らの研究チームは、これまでに遺伝情報の翻訳因子EF―Pの形が、tRNAと似ていることを既に明らかにしていましたが、今回EF―Pと GenXの複合体の立体構造がtRNA・aaRS複合体の構造も酷似していることを発見。つまり、EF―PはtRNAと酷似した反応でアミノ酸を受け取ることを解明しましたというわけ。核酸とタンパク質という、まったく異なる分子でありながら、その形とともに、反応までも酷似していることを解明した例は初めてだそうです。
 

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歩くたんぱく質、撮った 金沢大が顕微鏡開発 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

今日ご紹介するのは、金沢大学がタンパク質が移動する姿を捉えられる顕微鏡を開発したという話です。
金沢大学プレスリリース『理工研究域・安藤教授と古寺助教らのグループ 科学誌Natureに論文掲載(pdfファイル)』
Nature『Video imaging of walking myosin V by high-speed atomic force microscopy(リンク)』

この研究は、金沢大理工研究域数物科学類の安藤教授と古寺助教らの研究グループによるものです。私が在籍時には、学域学類制になる前だったので、安藤教授は理学部の物理学科って聞いた方が馴染みがあります。私の出身学科も理学部化学科から理工研究域物質化学類化学コースなんて長い名前になっちゃって、覚えられません^^;

タンパンク質の構造解析は、X線結晶構造解析や核磁気共鳴(NMR)などで調べられる他、走査型電子顕微鏡(SEM)や、原子間力顕微鏡(AFM)も使われます。この論文で報告されているのはAFMの一種です。SEMは電子を使って観測するので、絶縁物質は表面を薄く金属でコーティングしなければ観察できませんし、試料は真空中に置かれます。それに対してAFMは非常に細い針(プローブ)で試料表面ギリギリをなぞって、針先と試料の原子間に働く力を調べ、画像化する装置です。SEMのような前処理が不要なので、大気中だけでなく液体中でも測定できますし、様々な環境で測定できるのが特徴です。

分子の動きを知るためには、この様々な環境で測定できるAFMは非常にありがたい存在です。しかし、プローブをで分子全体をなぞるので、それなりに時間がかかります。つまり、分子の動きを捉える事はできなかったんです。
また、針が接触して分子を壊したり、分子の働きを阻害してしまうという問題も抱えていました。

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