はやぶさ、次は安心の旅に 14年に後継機打ち上げ [科学系よもやま話<宇宙の話>]
2014年に打ち上げ予定の次期小惑星探査機『はやぶさ2』がニュースになっていました。
地球と火星の間の軌道にある小惑星『1999JU3』へ4年かけて目指し、2020年に地球帰還を目指すそうです。
JAXA 太陽系小天体探査プロジェクトにある『はやぶさ2のページ(リンク)』
ところで、小惑星探査機『はやぶさ』は、トラブルとその後の奇跡的な運用もあり、一躍有名になりました。『はやぶさ』がサンプル回収に成功した小惑星は『イトカワ』ですが、はやぶさ2が目指すのは、小惑星『1999JU3』。でも、そう呼ばれるのも今のうちかもしれません。
ところで、そもそも小惑星は『イトカワ』は、最初から『イトカワ』だった訳ではなく、『1998SF36』と呼ばれる天体でした。それどころか、『イトカワ』は他の天体に、その名が付けられた可能性もあったんです。
小惑星『1998SF36』は、『はやぶさ』による探査対象となったので、『はやぶさ』が打ち上げられてから『イトカワ』と命名されたんです。そして、『はやぶさ』が目指していた小惑星は、そもそも『1998SF36』(いまのイトカワ)ではありませんでした。1994年に小惑星探査計画が本格化した当初、目的地は、ネレウスと呼ばれる小惑星でした。
地球と火星の間の軌道にある小惑星『1999JU3』へ4年かけて目指し、2020年に地球帰還を目指すそうです。
JAXA 太陽系小天体探査プロジェクトにある『はやぶさ2のページ(リンク)』
ところで、小惑星探査機『はやぶさ』は、トラブルとその後の奇跡的な運用もあり、一躍有名になりました。『はやぶさ』がサンプル回収に成功した小惑星は『イトカワ』ですが、はやぶさ2が目指すのは、小惑星『1999JU3』。でも、そう呼ばれるのも今のうちかもしれません。
ところで、そもそも小惑星は『イトカワ』は、最初から『イトカワ』だった訳ではなく、『1998SF36』と呼ばれる天体でした。それどころか、『イトカワ』は他の天体に、その名が付けられた可能性もあったんです。
小惑星『1998SF36』は、『はやぶさ』による探査対象となったので、『はやぶさ』が打ち上げられてから『イトカワ』と命名されたんです。そして、『はやぶさ』が目指していた小惑星は、そもそも『1998SF36』(いまのイトカワ)ではありませんでした。1994年に小惑星探査計画が本格化した当初、目的地は、ネレウスと呼ばれる小惑星でした。
系外惑星グリーゼ581dに「生命存在できる」、仏研究 [科学系よもやま話<宇宙の話>]
昨年、このブログでもご紹介したグリーゼ581d『可住惑星を太陽系外に発見?』についての論文がニュースになっていました。
Astrophysical Journal Letters『Gliese 581d is the First Discovered Terrestrial-mass Exoplanet in the Habitable Zone(リンク)』
フランス国立科学研究センター(CNRS:Centre national de la recherche scientifique)の気候科学者、Robin D. Wordsworth氏らによるものですが、仮定を重ねての結果ですから、どの位正しいのかは分かりません。でも、条件さえ整えば、現在得られているグリーゼ581dのデータからも、地球のような生命体が生存するための十分な水分と温暖な気候を持つ可能性はあるようです。
Astrophysical Journal Letters『Gliese 581d is the First Discovered Terrestrial-mass Exoplanet in the Habitable Zone(リンク)』
フランス国立科学研究センター(CNRS:Centre national de la recherche scientifique)の気候科学者、Robin D. Wordsworth氏らによるものですが、仮定を重ねての結果ですから、どの位正しいのかは分かりません。でも、条件さえ整えば、現在得られているグリーゼ581dのデータからも、地球のような生命体が生存するための十分な水分と温暖な気候を持つ可能性はあるようです。
冷たい第2の地球、土星衛星タイタンの窒素大気の起源を解明 [科学系よもやま話<宇宙の話>]
少々新鮮味み乏しくなってしまいましたが、今日ご紹介するのは、東京大学 大学院新領域創成科学研究科のプレスリリースです。
『冷たい第2の地球、土星衛星タイタンの窒素大気の起源を解明-40億年前の太陽系に起きた天変地異(リンク)』
土星の衛星タイタンは、太陽系で地球以外に唯一厚い窒素大気を持つ天体だと考えられています。
Credit:NASA/JPL/SSI
その地表には-180℃前後と冷たく、液体メタン(メタンの沸点-162℃、融点-183℃)の湖や川が存在し、地球では水の循環しているのに対して、タイタンではメタンが蒸発や凝縮、降雨などにより循環しているのだそうです。
Credit:NASA/JPL/USGS
このようなメタン循環が可能となっているのは、タイタンに厚い窒素大気がある(地表で1.5気圧)からなのですが、タイタンの表層環境が、いつどのように形成されたのかは謎とされていたそうです。
この発表では、地球ど同じく窒素を主成分とするタイタンの大気は、今から40億年前におきた巨大隕石の重爆撃イベントという、太陽系全体を巻き込んだ天変地異によって形成されたことしています。
この研究論文は、英科学誌『Nature Geoscience(ネイチャー・ジオサイエンス)』に掲載されています。
『Replacement and late formation of atmospheric N2 on undifferentiated Titan by impacts(リンク)』
※Full text は、有料です。
『冷たい第2の地球、土星衛星タイタンの窒素大気の起源を解明-40億年前の太陽系に起きた天変地異(リンク)』
土星の衛星タイタンは、太陽系で地球以外に唯一厚い窒素大気を持つ天体だと考えられています。
Credit:NASA/JPL/SSI
その地表には-180℃前後と冷たく、液体メタン(メタンの沸点-162℃、融点-183℃)の湖や川が存在し、地球では水の循環しているのに対して、タイタンではメタンが蒸発や凝縮、降雨などにより循環しているのだそうです。
Credit:NASA/JPL/USGS
このようなメタン循環が可能となっているのは、タイタンに厚い窒素大気がある(地表で1.5気圧)からなのですが、タイタンの表層環境が、いつどのように形成されたのかは謎とされていたそうです。
この発表では、地球ど同じく窒素を主成分とするタイタンの大気は、今から40億年前におきた巨大隕石の重爆撃イベントという、太陽系全体を巻き込んだ天変地異によって形成されたことしています。
この研究論文は、英科学誌『Nature Geoscience(ネイチャー・ジオサイエンス)』に掲載されています。
『Replacement and late formation of atmospheric N2 on undifferentiated Titan by impacts(リンク)』
※Full text は、有料です。
浮遊惑星という新たな系外惑星が多く存在していることを発見 [科学系よもやま話<宇宙の話>]
今日は、名古屋大学太陽地球環境研究所のプレスリリースから。
『浮遊惑星という新たな系外惑星が多く存在していることを発見(リンク)』
これによれば、 主星の周りを回っていない『浮遊惑星』が、我々の銀河系内に数千億個も存在すると予想されるそうです。
主系列星に属さないはぐれ星と言えば、『褐色矮星』や『準褐色矮星』という存在が知られています。これらの星は、核融合を起こすには質量が小さすぎるために主系列星になることができなかったと考えられる天体です。
※褐色矮星については、国立天文台 アストロ・トピックス (446)『褐色矮星の人口調査~恒星になりそこなった星たちはどのくらい生まれたの?~(リンク)』で紹介されていますので、興味があればご覧下さい。
星雲から直接誕生したとされる『褐色矮星』とは異なり、『浮遊惑星』は、他の主系列星の周囲に形成される原始惑星系円盤から誕生した後で弾き跳ばされてできた星だといいます。
このような星が多数存在しているかもしれないとなれば、母星を失った(或いは家を飛び出た)惑星は珍しいものではない事になります。惑星の形成過程の謎がまた一つ・・・。
この研究は、科学雑誌Natureに掲載されています。
『Unbound or distant planetary mass population detected by gravitational microlensing(リンク)』 (Nature 473, 349–352 (19 May 2011))
※Full text は、有料です。
『浮遊惑星という新たな系外惑星が多く存在していることを発見(リンク)』
これによれば、 主星の周りを回っていない『浮遊惑星』が、我々の銀河系内に数千億個も存在すると予想されるそうです。
主系列星に属さないはぐれ星と言えば、『褐色矮星』や『準褐色矮星』という存在が知られています。これらの星は、核融合を起こすには質量が小さすぎるために主系列星になることができなかったと考えられる天体です。
※褐色矮星については、国立天文台 アストロ・トピックス (446)『褐色矮星の人口調査~恒星になりそこなった星たちはどのくらい生まれたの?~(リンク)』で紹介されていますので、興味があればご覧下さい。
星雲から直接誕生したとされる『褐色矮星』とは異なり、『浮遊惑星』は、他の主系列星の周囲に形成される原始惑星系円盤から誕生した後で弾き跳ばされてできた星だといいます。
このような星が多数存在しているかもしれないとなれば、母星を失った(或いは家を飛び出た)惑星は珍しいものではない事になります。惑星の形成過程の謎がまた一つ・・・。
この研究は、科学雑誌Natureに掲載されています。
『Unbound or distant planetary mass population detected by gravitational microlensing(リンク)』 (Nature 473, 349–352 (19 May 2011))
※Full text は、有料です。
月内部は予想以上に水分が多くて地球に似ていた!? [科学系よもやま話<宇宙の話>]
今日ご紹介するのは、月に関する、驚きのニュースです。
なんと、月内部に、地球のマントルと同程度の水分を含む部分があるかもしれないという論文が科学誌サイエンス電子版(Science Express)にに掲載されたんです。
著者らは、月に水がある証拠を2008年に初めて発表したチームですが、新たな研究成果として、月内部は、地球の上部マントルとかなり似ている可能性がある事が分かったというのです。
NASAのアポロ17号が月から持ち帰った月の、メルト包有物(オレンジソイル)の結晶を粉砕して、それに含まれる水の量を求めたところ、従来の測定結果の100倍以上の値を得たんだとか。これが本当なら、月の内部には大量の水が含まれているのかも!?
『Inside of Moon Wetter, More Like Earth Than Expected(リンク)』
なんと、月内部に、地球のマントルと同程度の水分を含む部分があるかもしれないという論文が科学誌サイエンス電子版(Science Express)にに掲載されたんです。
著者らは、月に水がある証拠を2008年に初めて発表したチームですが、新たな研究成果として、月内部は、地球の上部マントルとかなり似ている可能性がある事が分かったというのです。
NASAのアポロ17号が月から持ち帰った月の、メルト包有物(オレンジソイル)の結晶を粉砕して、それに含まれる水の量を求めたところ、従来の測定結果の100倍以上の値を得たんだとか。これが本当なら、月の内部には大量の水が含まれているのかも!?
『Inside of Moon Wetter, More Like Earth Than Expected(リンク)』
タグ:月
ソユーズ宇宙船(27S)の打ち上げライブ中継 [科学系よもやま話<宇宙の話>]
赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)の科学観測終了 [科学系よもやま話<宇宙の話>]
2006年2月22日に打上げられた赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)。先日、電力異常が報告されていましたが、その影響で科学観測を再開することが困難な状態であると判断されました。
『赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)の科学観測終了について(リンク)』
目標寿命は3年でしたから、十分な観測運用により赤外線天文学に関する多くの成果をあげての勇退。致し方ないとは思いますが、日本の衛星がまた一つ運用終了となるのは少し寂しい気もします。
現在は、電力異常による影響で、日陰と日照のたびに電源のONとOFFを繰り返す状態となっているとの事。今後は電力異常の原因を調査するとともに、確実な停波に向けた運用を行うそうです。
『赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)の科学観測終了について(リンク)』
目標寿命は3年でしたから、十分な観測運用により赤外線天文学に関する多くの成果をあげての勇退。致し方ないとは思いますが、日本の衛星がまた一つ運用終了となるのは少し寂しい気もします。
現在は、電力異常による影響で、日陰と日照のたびに電源のONとOFFを繰り返す状態となっているとの事。今後は電力異常の原因を調査するとともに、確実な停波に向けた運用を行うそうです。
日本天文学会創立100周年10種シート |
タグ:JAXA
「きぼう」からの小型衛星放出実証ミッションに係る搭載小型衛星の選定結果について [科学系よもやま話<宇宙の話>]
国際宇宙ステーションの「きぼう」モジュールからの小型衛星放出実証ミッションに選定された小型衛星が発表になりました。
『 「きぼう」からの小型衛星放出実証ミッションに係る搭載小型衛星の選定結果について(pdfファイル)』
このミッションは、国際宇宙ステーションの「きぼう」モジュールからの小型衛星放出機構を軌道上で実証する物だそうです。
これまでのロケットによる打ち上げの他に、ISSへの荷物と一緒に小型衛星を輸送し、ISSから直接放出(ロボットアームで放出機構を掴み、放出方向に向け、小型
衛星を放出)するという、新たな小型衛星打上げ機会が増えるのは楽しみですね。
そのためにも、まずは最初の衛星放出が成功する事を祈ります。
『 「きぼう」からの小型衛星放出実証ミッションに係る搭載小型衛星の選定結果について(pdfファイル)』
このミッションは、国際宇宙ステーションの「きぼう」モジュールからの小型衛星放出機構を軌道上で実証する物だそうです。
これまでのロケットによる打ち上げの他に、ISSへの荷物と一緒に小型衛星を輸送し、ISSから直接放出(ロボットアームで放出機構を掴み、放出方向に向け、小型
衛星を放出)するという、新たな小型衛星打上げ機会が増えるのは楽しみですね。
そのためにも、まずは最初の衛星放出が成功する事を祈ります。
タグ:JAXA
地下には塩分含んだ海がある?土星の衛星エンケラドス [科学系よもやま話<宇宙の話>]
土星の衛星の1つである、Enceladus(エンケラドス)については、これまでもご紹介した事があります(『土星の衛星エンケラドス』)。
地球のマントルのように、エンケラドスの氷の下には液体の海があるのかもしれないんです。しかも、賛否はありますが、その海は塩化ナトリウムを含み、二酸化炭素も溶け込んでいる可能性も指摘されているんです。
このような、氷の下には塩分を含んだ海が横たわっている可能性があるとする論文が、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載され、ニュースになっていました。
『A salt-water reservoir as the source of a compositionally stratified plume on Enceladus(リンク)』
エンケラドスからは、水蒸気と氷粒子が間欠泉のように噴出していることが明らかになり、氷の下には海が広がっている可能性が指摘されましたが、大気温度がマイナス273度と極寒の中、液体の海を持つ事に懐疑的な意見もあります。
ですが、この論文では、やはり液体の海を持つとされています。
地球のマントルのように、エンケラドスの氷の下には液体の海があるのかもしれないんです。しかも、賛否はありますが、その海は塩化ナトリウムを含み、二酸化炭素も溶け込んでいる可能性も指摘されているんです。
このような、氷の下には塩分を含んだ海が横たわっている可能性があるとする論文が、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載され、ニュースになっていました。
『A salt-water reservoir as the source of a compositionally stratified plume on Enceladus(リンク)』
エンケラドスからは、水蒸気と氷粒子が間欠泉のように噴出していることが明らかになり、氷の下には海が広がっている可能性が指摘されましたが、大気温度がマイナス273度と極寒の中、液体の海を持つ事に懐疑的な意見もあります。
ですが、この論文では、やはり液体の海を持つとされています。
タグ:エンケラドス
木星探査機ジュノー打ち上げ [科学系よもやま話<宇宙の話>]
さて、今更ではありますが、日本時間2011年8月6日未明に、無事打ち上げられた、NASA(米航空宇宙局)の木星探査機『Juno:ジュノー』についてのニュースです。
暫く旅行していて、リアルタイムでの更新とはなりませんでしたが、やはりこのニュースは取り上げない訳にはいきません。
『Juno』が木星に到達するのは、2016年の予定。1年間かけて大気の組成や温度、磁場、重力の様子などを観察する事になっています。
一番下のリンク先の記事にもありますが、『Juno』には、木星に因み、ローマ神話の神ジュピター、探査機の名前にもなったその妻ジュノー、そしてガリレオ衛星の発見などで有名な17世紀イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイのレゴ(LEGO)フィギュアが搭載されているのだとか。
こういった、遊び心は楽しくなります。
暫く旅行していて、リアルタイムでの更新とはなりませんでしたが、やはりこのニュースは取り上げない訳にはいきません。
『Juno』が木星に到達するのは、2016年の予定。1年間かけて大気の組成や温度、磁場、重力の様子などを観察する事になっています。
一番下のリンク先の記事にもありますが、『Juno』には、木星に因み、ローマ神話の神ジュピター、探査機の名前にもなったその妻ジュノー、そしてガリレオ衛星の発見などで有名な17世紀イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイのレゴ(LEGO)フィギュアが搭載されているのだとか。
こういった、遊び心は楽しくなります。