恐竜の鋭い嗅覚と夜目について・・・ [科学系よもやま話<生命の起源・進化>]
今日は恐竜に関するニュースを二報、ご紹介します。
一方は、カナダ・カルガリー大などの研究チームが、『英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)』で発表した論文。
『Evolution of olfaction in non-avian theropod dinosaurs and birds(リンク)』
もう一方は、アメリカ・カリフォルニア大デービス校)などの研究チームが、『サイエンス(Science)』で発表した論文です。
『Nocturnality in Dinosaurs Inferred from Scleral Ring and Orbit Morphology(リンク)』
どちらも、恐竜(や絶滅鳥類、現生鳥類、或いはトカゲ)の化石の特定部位を比較しています。前者は、嗅球と呼ばれる嗅覚に関係する脳の部位をCTで比較して、その嗅覚について考察し、後者は、強膜輪と呼ばれる目の周囲にあるリング状の骨と眼窩大きさと比較することで、暗視能力について考察しているのです。
『Evolution of olfaction in non-avian theropod dinosaurs and birds』では、獣脚類の小型肉食恐竜から連なると考えら得れる鳥類への系譜の中で、初期の鳥類の嗅覚が鈍いとされる説に対する反証が成されています。CTによる恐竜、絶滅鳥類、現生鳥類の頭骨計157サンプルの比較から根拠を示しています。
嗅球の大きさの比較から、現生鳥類やほ乳類では、嗅球が大きいほど嗅覚が鋭いことが分かっています(まあ例外も多数ありますが・・・)。これに対し、約9500万年前のバンビラプトル(Bambiraptor)という小型獣脚類の嗅球が大きく、現在嗅覚に優れたヒメコンドルやアホウドリと同程度だというのです。
そして、現生鳥類の間でも嗅覚に大きな開きがあり、比較的原始的な鳥であるアヒルやフラミンゴの嗅球は比較的大きく、カラス、フィンチ、オウムなどの嗅覚は小さい事から、鳥類は恐竜から鋭い嗅覚を受け継ぎ、その後さらに発達させたと主張しています。小さい嗅覚のカラスなどは、その後の進化の過程で知能が高くなるのと引き換えに、嗅覚が鈍くなったと推測しています。
そして、『Nocturnality in Dinosaurs Inferred from Scleral Ring and Orbit Morphology』では、強膜輪と眼窩の大きさと比較することで、恐竜の暗視能力の根拠としてします。
著者らによれば、昼行性動物の眼窩は強膜輪に比べて小さく、夜行性動物の眼窩は強膜輪に比べてはるかに大きいことが分かったそうです。
そして、初期の鳥である翼竜とされるプテロサウルスの化石では、眼窩は強膜輪に比べて小さく昼行性と推測されました。一方で、小型肉食恐竜ベロキラプトルは、眼窩は強膜輪に比べて大きく、夜行性と考えられるそうです。
鳥類でも、一般に鳥目と呼ばれるように、猛禽類の鷹などが夜目が利かない一方で、フクロウなどの夜行性猛禽類も居ます。となれば、恐竜の中でも夜目の利く、或いは嗅覚が鋭い夜行性の種が居ても、不思議はなさそうです。
それにしても何千年も前の化石を元に、その生態を調べるというのは、実に面白そうです。
一方は、カナダ・カルガリー大などの研究チームが、『英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)』で発表した論文。
『Evolution of olfaction in non-avian theropod dinosaurs and birds(リンク)』
もう一方は、アメリカ・カリフォルニア大デービス校)などの研究チームが、『サイエンス(Science)』で発表した論文です。
『Nocturnality in Dinosaurs Inferred from Scleral Ring and Orbit Morphology(リンク)』
どちらも、恐竜(や絶滅鳥類、現生鳥類、或いはトカゲ)の化石の特定部位を比較しています。前者は、嗅球と呼ばれる嗅覚に関係する脳の部位をCTで比較して、その嗅覚について考察し、後者は、強膜輪と呼ばれる目の周囲にあるリング状の骨と眼窩大きさと比較することで、暗視能力について考察しているのです。
『Evolution of olfaction in non-avian theropod dinosaurs and birds』では、獣脚類の小型肉食恐竜から連なると考えら得れる鳥類への系譜の中で、初期の鳥類の嗅覚が鈍いとされる説に対する反証が成されています。CTによる恐竜、絶滅鳥類、現生鳥類の頭骨計157サンプルの比較から根拠を示しています。
嗅球の大きさの比較から、現生鳥類やほ乳類では、嗅球が大きいほど嗅覚が鋭いことが分かっています(まあ例外も多数ありますが・・・)。これに対し、約9500万年前のバンビラプトル(Bambiraptor)という小型獣脚類の嗅球が大きく、現在嗅覚に優れたヒメコンドルやアホウドリと同程度だというのです。
そして、現生鳥類の間でも嗅覚に大きな開きがあり、比較的原始的な鳥であるアヒルやフラミンゴの嗅球は比較的大きく、カラス、フィンチ、オウムなどの嗅覚は小さい事から、鳥類は恐竜から鋭い嗅覚を受け継ぎ、その後さらに発達させたと主張しています。小さい嗅覚のカラスなどは、その後の進化の過程で知能が高くなるのと引き換えに、嗅覚が鈍くなったと推測しています。
そして、『Nocturnality in Dinosaurs Inferred from Scleral Ring and Orbit Morphology』では、強膜輪と眼窩の大きさと比較することで、恐竜の暗視能力の根拠としてします。
著者らによれば、昼行性動物の眼窩は強膜輪に比べて小さく、夜行性動物の眼窩は強膜輪に比べてはるかに大きいことが分かったそうです。
そして、初期の鳥である翼竜とされるプテロサウルスの化石では、眼窩は強膜輪に比べて小さく昼行性と推測されました。一方で、小型肉食恐竜ベロキラプトルは、眼窩は強膜輪に比べて大きく、夜行性と考えられるそうです。
鳥類でも、一般に鳥目と呼ばれるように、猛禽類の鷹などが夜目が利かない一方で、フクロウなどの夜行性猛禽類も居ます。となれば、恐竜の中でも夜目の利く、或いは嗅覚が鋭い夜行性の種が居ても、不思議はなさそうです。
それにしても何千年も前の化石を元に、その生態を調べるというのは、実に面白そうです。
ペイントザダイナソイーモデル トリケラトプス ペイントザダイナソー (Favorite/フェバリ... |
そう言われてみますと、視覚と嗅覚の両方が発達している野生動物は少ないですね。
でも、化石からそんなことがわかるということも凄いと思います。
by 北海道大好き人間 (2011-04-21 00:27)
北海道大好き人間 さん、こんばんは。
まあ、特定の感覚器を発達させると、他の感覚器に割くエネルギーや脳の容量が少なくなるという事かもしれませんね。
それとはちょっと違いますが、目を閉じた方が、耳から入る音に集中できたり、テレビを見ながらだと味覚が鈍ったりするのもありますね。
by optimist (2011-04-25 22:13)