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カリブ海にすむハコクラゲ、Tripedalia cystophora [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

今日ご紹介するのは、カリブ海にすむ「ハコクラゲ」、tripedalia cystophora(ミツデリッポウクラゲ)が持つ視覚系についてのニュースです。
朝日新聞のリンクを載せましたが、普段はNatureやScienceの論文についての記事を目にするのですが、今回はCurrent Biologyに掲載された論文。しかも、日本の研究者によるものでもない。確かに内容は面白いのですが、何故あえて取り上げたのでしょう?

Current Biology, 28 April 2011『Box Jellyfish Use Terrestrial Visual Cues for Navigation(リンク)』
※Full Textは有料です。

元々、ハコクラゲには4種類の機能の異なる視覚系を持つ事が分かっていたそうですが、詳しくは解明されていなかったんだそうです。論文によれば、ハコクラゲが持つ視覚系の内、「上部レンズ眼(ULE)」と呼ばれる目は、水中でクラゲの姿勢によらず、上を向く仕組みがあり、その構造から、8メートル程度までなら、色と形を認識することができ、林の茂り具合を認識できると考えられるそうです。
つまり、林の茂り具合を見て、太陽光が多くあたる場所を選んで移動、より多くのプランクトンを捕食している。ふわふわ漂いながら、手近なプランクトンをただ捕まえている訳じゃないんですね。
 
クラゲのような生物が、このような上部レンズ眼の他光を感知するための視覚系など、4種類の視覚系を駆使(というより、機能分担さ)しているというのですから、驚きですね。

とはいえ、クラゲやイソギンチャクなどの腔腸動物は、散在神経系を持つので、人間のように神経系統を統括する脳と呼べる物はありません。体中を網目状の神経網が走っているのですが、そこに視覚系からの信号が伝わった時に「あっ、あそこに行けば餌があるぞ、だから移動しよう」などと考えている訳じゃないはず。

クラゲが、視覚系(或いは光受容体)や平衡胞(内耳に相当する機関で、重力や力のかかる向きを検知する)を持っているにしても、その情報の処理のされ方は、我々とは全く異なるというのも、考えてみると不思議としか言いようがありません。


タグ:ハコクラゲ
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北海道大好き人間

わずか1cmの体の中に4つの視覚系があるなんて、凄いですよね。
よく下等生物のことを「単細胞」等と言いますが、どうしてどうして、多細胞生物より優れているのではないでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2011-05-22 19:42) 

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