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恐竜博2011(国立科学博物館)<感想編> [一般公開・講演・特別展等紹介]

上野の国立科学博物館で開催中の『恐竜博2011(リンク)』に行って来ました。三連休中だったので、人が多いこと・・・^^;

展示は、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の年代順に進み、各年代に生きた恐竜たちが対決するかのように向かいあって展示されています。
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最初の部屋(三畳紀のアンデス)に展示されている骨格標本は、最初期の大型植物食恐竜Plateosaurus(プラテオサウルス:平らなトカゲ)。手前左側の小さい標本は、Eoraptor(エオラプトル:夜明けの泥棒)です。手前右にはEodromaeus(エオドロマエウス:夜明けの走者)が配置されています。
エオドロマエウスは、今年ニュースにもなった南米アルゼンチンのアンデス山脈で発見された新種です。エオラプトルも、同じ地域から最古の恐竜の化石として発見されていて、従来は肉食恐竜と考えられてきたのですが、エオドロマエウスと比較した結果、四足歩行の草食恐竜の仲間に分類すべきだとされた種なんだとか。

次の部屋では、右手にCamarasaurus(カマラサウルス:空洞を持つトカゲ)、
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左手ではAllosaurus(アロサウルス:異なるトカゲ) Fragillis(フラギリス:脆いもの)とHesperosaurus(へスペロサウルス)が対決する様が、展示されています。
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これらは、ジュラ紀の北アメリカ大陸で栄えていた恐竜達。
因みに、このアロサウルスは実物化石で、以前は入り口の吹き抜けホール(現在は入り口が地下に移動、ホールには何もありません)に常設展示されていたシンボル的存在。子どもの頃、国立科学博物館といえば、このアロサウルスというイメージがありました。残念ながら、2004年以降収蔵品扱いなので、このような特別展などでしか目にする事はできません・・・。

アロサウルスの手前には、始祖鳥立体骨格も展示されています。この標本は、最近の研究結果に合わせ、足の親指の爪の向きを後ろ向きから前向きになっています。
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ところで、へスペロサウルスは馴染みが薄いと思いますが、原始的なステゴサウルスと考えられている種だそうです。
えっ?ステゴサウルスと見分けがつかない?背中の骨板を見て下さい。ステゴサウルスの骨板と違い、2列じゃなくて1列ですし、丸い形をしているのが違いだそうです。
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へスペロサウルスの前に展示されているステゴサウルスの骨板の写真を載せますので、見比べてみてください。隣には骨板を樹脂封入して切断した断面も展示されています。
 
後半には、これまでに発見されたArchaeopteryx lithographica(始祖鳥)11点の標本のレプリカが並んでいます。最も保存状態が良いとされる「サーモポリス標本(Thermopolis Specimen)」の実物化石は、7月11日までの期間限定公開だったので、今展示されているのは、全てレプリカ。ちょっと残念ですね。
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続く、ジュラ紀→白亜紀エリアの目玉の一つは、中国・遼寧省から発見された羽毛恐竜Anchiornis huxley(アンキオルニス)。
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2010年に、アンキオルニスの羽毛から、メラニン色素を含む物質が確認され「全身の色が世界で初めてわかった」と報じられました。その実物化石が、日本初公開されています。※アンキオルニスは、一番最後のシアター手前にも別標本が展示されています。
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羽毛恐竜は他にも展示されていて、中でも面白いのは、3本の長い尾羽を持つEpidexipterix hui(エピデキシプテリクス)。
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また、ここでの対決展示は、Raptorex kriegsteini(ラプトレックス)とPsittacosaurus(プシッタコサウルス)。
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ラプトレックスは、2000年に話題となった新種のティラノサウルス類です。この化石の発見により、ティラノサウルスの短い前肢が、大型化に伴う現象だという説に疑問が投げかけれる事となったんです。
小型のティラノサウルス類と考えられるラプトレックスは、体が小さいのに前肢が短い。つまり、前肢の短縮化は小型種の段階で始まっていたのかもしれないというのです。会場でも、ティラノサウルスとラプトレックス前肢が比較されていますので、是非ご覧下さい。

さて、次はいよいよ、白亜紀末期。この展示の目玉ともいえるティラノサウルスとトリケラトプスの対決シーン。
まずは、トリケラトプス。これは、最新の研究に基づいた、手の甲を外側に向けた前肢で復元された、初めての全身骨格だそうです。
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対するは、待ち伏せ姿勢のティラノサウルス、バッキー。そういえば、私が行った際には、入り口でBattle Spiritsのカード、暴竜ティラノ・バッキー カードなるものを配っていました(Battle Spiritsなるものは良く知りませんが、カードは子どもが喜んでいました)。
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更に、K-T境界層などの恐竜絶滅に関する展示などを経て、先日このブログでもご紹介した(『恐竜の前足の指と鳥類の翼の指は同じもの』)恐竜の指と鳥類の指が共に第1-2-3指であることを証明した、東北大縛田村教授の研究や、インドで発見された白亜紀後期のコプロライト(糞化石)などの展示がある最先端ラボコーナー。
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因みにこの糞化石中からイネ科植物のプラントオパール(植物珪酸体)が確認された事で、イネ科植物の起源と系統の解明が進んだのだそうです。
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奥には、恐竜の子育てについてのMaiasaura(マイアサウラ)を使った展示がありました。
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マイアサウラとは、「良い母親トカゲ」という意味。子育てを本格的に行なっていたとされる恐竜です。この標本は、以前アロサウルスと共にホールに展示されていたもの。
その左隣には、Nigersaurus(ニジェールサウルス:ニジェールのトカゲ)。
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恐竜博2009で公開されていた標本です。相変わらずのユーモラスな顔^^;
なんでも、恐竜博2009で公開された後、そのユーモラスでインパクトがある顔のためか、人気急上昇なんだとか・・・。

余談ですが、館内の案内板には、宮西達也さんの「おまえうまそうだなシリーズのイラストが使われています。ショップでは、関連グッズも販売されていますよ。
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長々とご紹介しましたが、他にも日本初公開となる化石展示も多く、見所満載です。是非一度訪れてみてください。


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北海道大好き人間

学研の科学マンガに「ひみつシリーズ」というものがありますが(今でもあるのでしょうか?)、小学校1年の時、最初に読んだのが「恐竜のひみつ」でした。それに出ていた恐竜が数多く展示されているので懐かしいです。

by 北海道大好き人間 (2011-07-22 20:58) 

cyaz

optimistさん、こんばんは^^
拙ブログにコメント、ありがとうございましたm(__)m

常設展のリピーターズパスの件、知らなかったので参考になりました。おそらく年2回ぐらいは利用すると思いますので、次の機会に利用してみたいと思います。
よい情報を、ありがとうございました。
by cyaz (2011-07-22 23:39) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんにちは。
私も実家に「ひみつシリーズ」がそろっていて、かなり読み込んだ記憶があります。
あれは、良いシリーズ本でしたね~。
by optimist (2011-07-23 12:04) 

optimist

cyaz さん、こんにちは。
リピーターズパスは、他にもレストランやミュージアムショップなどで提示で割引などの特典が受けられるので、お勧めですよ。
※特別展内のショップなどでは特典はありません
by optimist (2011-07-23 12:06) 

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