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「酸素は地球にいつどのように登場したのか-酸素大気形成のタイミングとメカニズムを解明-」 [科学系よもやま話<宇宙の話>]

今日ご紹介するのは、この報告です。
酸素は地球にいつどのように登場したのか-酸素大気形成のタイミングとメカニズムを解明(リンク)』
東京大学大学院新領域創成科学研究科などによる地層の堆積物の分析から、酸素が地球上に急激に増加した時期を正確に特定したというのです。

尚、この研究成果は英国科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に掲載されています。
Osmium evidence for synchronicity between a rise in atmospheric oxygen and Palaeoproterozoic deglaciation(リンク)』(Nature Communications 2,Article number: 502 doi:10.1038/ncomms1507)

いまでこそ、地球の大気の1/5を占める酸素ですが、原始大気には殆ど含まれていなかったと考えられています。

この研究によれば、急激に酸素濃度が増加したと考えられていた24億年前から20億年前と言う時期を、およそ23億年前であると正確に特定したとしています。
この根拠となるデータは、カナダで採取された、この年代の海底の地層の成分分析結果によります。
地層中に含まれるオスミウム濃度を調べた結果、約23億年前の大規模な氷河期の地層と、その後の温暖な気候の時期の地層との境界で、オスミウム濃度が急激に変化している事が分かったと言うのです。

オスミウムは、大気中の酸素の濃度が高いとイオン化して水に溶けやすくなります。そのため、酸素濃度が高くなれば、川から海に運ばれて海底の地層に堆積する性質があるそうです。
今回、約23億年前の大規模な氷河期が終わり、温暖な気候の時期になった時期にオスミウム濃度が上昇していたことから、温暖化で氷が溶けることによって地表にあった栄養源が海に運ばれ、海中で光合成を行う特殊なバクテリアが繁殖し、大量の酸素を放出したと推測しています。

これら地球上の大気組成の変化とその原因を探る事で、太陽系外地球型惑星の生命-大気-気候の相互作用の理解も進むそうですから、今後の研究成果に注目ですね。


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コメント 2

北海道大好き人間

素朴な疑問ですが、酸素がないと、物は燃えませんよね?
となると、23億年前に火山などの噴火で溶岩が地上に出た時には、どうなってしまうのでしょうか?
まあ、その時代には動物はもとより植物もあったのかどうか疑問ですが。

by 北海道大好き人間 (2011-10-15 02:04) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
23億年前は、地表に樹木は無かったと考えられていますから、その場合、山火事などは起きなかったでしょうね。
因みに溶岩の場合は、燃えているわけではなく溶けているので、地表に出た場合はやはり赤く見えたことでしょう。
ただ、還元的な環境であれば鉄分などが酸化されずに冷えて固まるので、できる鉱物も違ったのかもしれませんね。
by optimist (2011-11-05 19:52) 

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