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あかり+すばる+スピッツァー、連係プレーで惑星誕生の謎に迫る [科学系よもやま話]

今日ご紹介するのは、先週、すばる望遠鏡の『観測成果(リンク)』にアップされたHD 165014という恒星系についての報告です。

すばる望遠鏡、赤外線天文衛星「あかり」、そしてスピッツァー宇宙望遠鏡の3つの望遠鏡による観測で、いて座の方向にある恒星HD 165014周囲に大量のチリの存在が確認されました。これらのチリは、惑星の材料となる微惑星同士が衝突して蒔き散らされたと考えられ、その濃度は太陽系の1000倍以上だそうです。

宇宙航空研究開発機構および東京大学の研究者を中心とする研究チームは、HD165014で、極めて活発な惑星系形成活動が進行している可能性があると発表しました。HD165014の周囲の塵は、主に結晶質のケイ酸塩鉱物でできているということがスペクトル分析から特定されているので、地球のような岩石質惑星が作られる途上かもしれないんだそうです。

現在考えられている惑星形成過程は、原始惑星系円盤の中で、もともと星間空間に存在していた小さな塵が集まって微惑星に成長。それら微惑星同士が衝突・合体することで、地球のような岩石質惑星が作られると考えられています。更に恒星の周囲では、微惑星同士が衝突・合体する際に生成された大量の破片によって、塵の円盤が二次的に作られるとも考えられ、この二次的な円盤を、惑星の材料のデブリ (残骸)でできた、デブリ円盤と呼ぶそうです。

デブリ円盤中のちりは、中心星からの光を吸収して温まり、赤外線を放射しますが、特に中間赤外線で光る温かい塵は、中心星の近くの地球のような岩石質惑星が作られる領域に存在するので、赤外線天文衛星「あかり」で捉える事ができるんだとか。赤外線天文衛星「あかり」によって、いて座の方向にある恒星HD165014に、強い中間赤外線を発するデブリ円盤が発見された事から、すばる望遠鏡や米国のスピッツァー宇宙望遠鏡を使って、より詳細な観測が行われました。

その結果、HD165014の周囲に豊富に存在し赤外線を発する塵が、1マイクロメートル程度以下の結晶質のケイ酸塩鉱物であると特定されたんです。宇宙空間で一般的に見られるケイ酸塩鉱物の塵は非晶質で、これが結晶化するためには1000℃程度の高温環境にさらされる必要があることが知られています。つまり、これらのチリは、微惑星同士の激しい衝突・合体によって高温度に晒された可能性があると考えられています。

先日の、『太陽系外惑星の移動を捉えた!』のように、太陽系外惑星の探査や、惑星形成メカニズムの解明は、今ホットな分野で、日々様々な成果が報告されています。きっと、何処かにあるであろう地球そっくりな太陽系外惑星。それが発見される日も近いのかもしれませんね。

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北海道大好き人間

つまるところ、今の太陽系の原始的姿が見られるということなのでしょうか?
そういえば、26日の部分月食は、(満月と太陽はちょうど正反対の位置にあるので)いて座の方向で見られますね。
by 北海道大好き人間 (2010-06-23 15:21) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
部分月食、天気が気になりますね。子ども達と眺めるには、曜日と時間が丁度良いので、是非晴れ間が欲しいです。
by optimist (2010-06-23 22:27) 

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