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匂いの好みはフェロモンにより制御される [科学系よもやま話<香りの話>]

前回まで、香り米とダダチャ豆の香り成分について、お話しましたが、今日ご紹介するのも、匂いに関係したお話です。

人間の匂いの好みについて、様々な報告を目にします。曰く、『免疫系をつかさどる主要組織適合複合体(MHC)遺伝子のタイプが、異なる人ほど、その体臭を好ましいと思う』、『母は子どもの臭いを、子どもは父の臭いを嫌う傾向がある』等々・・・。

今日ご紹介する東京大学のプレスリリースも匂いに関する物ですが、人間ではなく線虫の匂いの好みについてです。この論文は、Scienceの9月24日号(Vol 329, Issue 5999)で報告されました。
匂いの好みはフェロモンにより制御される(リンク)』

その内容は、線虫の一種である、C.エレガンスの匂いの好みが周囲の仲間の数で変化するというもの。仲間の数=フェロモン量で匂いの嗜好性が変わるんだそうです。
このような反応を示す理由は次のように考察されていました。

C.エレガンスは本来、餌の匂いを嗜好します。これは、生存に有利に働きます。 しかし、その場所で繁殖し、個体数が増えることで、周囲のフェロモンの量が増えると、この嗜好性に変化が現れ、餌に集まるのではなく、各個体がより広い範囲に拡散しようとする傾向が現れるそうです。
つまり、この性質により、将来的餌が枯渇するのを防ぎ、生存領域を拡大することで、種全体にとって利益となるというわけ。

自らの思考によらず、嗜好によって最適な行動をとるわけです。面白いですね。
タグ:東京大学
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コメント 4

yablinsky

人間も一箇所にとどまる傾向の強い人と、旅に出たがる傾向の人がいます。とどまる種類は農業で人類を繁栄させ、旅に出たがる人は人類を拡散させてきたのでしょうね。そういう意味では、これも嗜好であり、人間にもそうした傾向があるのでしょう。そして現在、身の回りには宇宙に行きたい人もたくさんいますよね。

by yablinsky (2010-11-06 07:47) 

北海道大好き人間

私の場合、寿司屋の、それも厨房の換気扇の下を通った時のにおいが、今は再開発で高層マンションに変わってしまった母の実家のにおい(寿司屋ではないのですが、すぐ隣にありました)に非常に近いので、そこを通ると、今でもそのことを思い出します。
ただそれも、昔ながらの寿司屋であって、いわゆる回転寿司ではダメです。

これは、においだけでなく「音」にも言えそうですね。
by 北海道大好き人間 (2010-11-06 13:15) 

optimist

yablinsky さん、こんばんは。
私は、休日家に居るより、外に出たいタイプですが、遠くまで行く気にはならない、近距離移動型?です。
by optimist (2010-11-08 23:05) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
思い出の音や匂いってありますよね。記憶と直結している匂いとか。
by optimist (2010-11-08 23:07) 

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