SSブログ

反水素原子の閉じ込めに成功 [科学系よもやま話<新薬・新技術>]

マックスウェルの悪魔を使った、情報エンジンについて、前回ご紹介しました。今日は、それ以上にSFでは有名な、反物質につてのニュースを取り上げます。

日本理化学研究所などが参加している、8カ国からなる国際研究グループが、欧州合同原子核研究所(CERN:European Organisation for Nuclear Research)の反陽子減速器を使って行った実験で、38個の極低温の反水素原子を 八重極磁場という特殊な磁場分布を持つ磁気瓶の中に、閉じ込めることに成功したというのです。

因みに朝日のニュースでは、「理化学研究所などでつくる国際研究グループ」とされ、国際ニュースのAFPBB Newsでは、「欧州合同原子核研究所の研究チームが」とされていたのが、印象的でした^^;

理化学研究所プレスリリース『動きがのろい冷反水素原子を38個も磁気瓶に閉じ込める (pdfファイル)』

マックスウェルの悪魔以上に、言葉だけは聴いたことがある、反物質。それが、いよいよ実際の実験でも手が届く所にきたと考えると、すごい世界になってきたな~という気がします。
 
今回の実験で使われた、磁気瓶は、反水素原子の生成・捕捉のために、5年もかけて開発されたもので、八重極磁場コイルとミラーコイルを組み合わせたものだそうです。その内部には、何重にも円筒電極を置いて、必要な電場と磁場をかけられるそうです。
この電場と磁場を調整することで、反陽子や陽電子を捕捉したり、そっと混合したりできるのだとか。このようにして混合された反陽子と反電子から、さまざまな衝突過程を経て反水素原子が生成します。できた反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので、電場にはほとんど反応しないのですが、この特殊な磁気瓶にトラップできるのだそうです。

その後、磁気瓶の磁場をゼロにすると、反水素原子が放出され、内部の円筒電極にぶつかって消滅します。この時放出される、π中間子など粒子を観測することで、実際に反水素原子が捕捉できていたかを確認しています。

実際には、『磁気瓶の磁場をゼロにしてからの時間』,『磁場軸方向の消滅位置』を、磁気瓶の周囲に配した3枚の検出器で計測されたそうです。

スタートレックシリーズをはじめ、様々なSFで使われている反物質エンジンや対消滅エンジンに使われる反物質。それが、こうして実際の論文で目にするようになり、とうとう僅か38個を0.2秒とはいえ、捕捉する事もできるようなったなんて、本当に凄い世の中になってきましたね。




nice!(9)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 9

コメント 4

北海道大好き人間

今、You Tubeで宇宙戦艦ヤマトのシリーズを見ていますが、「さらば~」に出てくるテレサが反物質の世界に生きているのです。
ラストで古代と雪だけが残ったヤマトと共に白色彗星帝国を葬るのですが、どういうことが起きたのか、その部分の描写がありません(遠くで光って、爆発したことがわかるだけ)。

なお、「さらば」と似た様なストーリーで、テレビ版の「2」とは、テレサの設定が違います。

by 北海道大好き人間 (2010-11-27 23:07) 

モッズパンツ

       ____         / ̄ ̄ ̄\
       / ___ \      /  ___ ヽ  
    /  |´・ω・`|  \   /  |´・ω・`| \ みんな~
   /      ̄ ̄ ̄    \  / _,   ̄ ̄⊂二二) 暗黒物質と反物質
   |  i          ヽ、_ヽl |        |    探しに行くよ~
  └二二⊃        l  ∪  |         |
     |   ,、_,    ノ    |   ,、   |  
     ヽ_二コ/   /     ヽ  / \  /    
   _____/__/     __ヽノ____


by モッズパンツ (2010-11-28 00:03) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
確か華々しく散ったはずのヤマトなのに、シレッと続編が出て・・・って話でしたっけ?
我が家には宇宙船間ヤマトのレーザーディスクがあるのですが、全く見てないな~^^;
by optimist (2010-12-01 00:43) 

optimist

モッズパンツ さん、こんばんは。
素敵なアスキーアート、ありがとうございます。
by optimist (2010-12-01 00:46) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。