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IceCube プロジェクト [科学系よもやま話]

今日ご紹介するのは、南極大陸に建設中だった、アイスキューブ(IceCube)が完成したというニュースです。当初2009年完成と聞いていましたが、それよりは遅れての完成だったようですね。

このアイスキューブについては、以下のサイトや資料が分かり易いと思います。
千葉大 IceCube プロジェクト(リンク)』
IceCube とは(一般公開用パンフレット)(pdfファイル)』

さて、南極点にあるアムンゼン・スコット基地に建設されたアイスキューブ(IceCube)は、ニュートリノ観測を目的とした検出器です。

ニュートリノ観測といえば、カミオカンデやスーパーカミオカンデが思い浮かぶかもしれません。
実は、スーパーカミオカンデの前にカミオカンデがあったように、アイスキューブ(IceCube)の前には、AMANDA(南極ミュオン・ニュートリノ検知配列:Antarctic Muon and Neutrino Detector Array)と呼ばれる検出器がありました。
AMANDAは、IceCubeの数十分の1の規模でしたが、南極氷河を利用したニュートリノ検出に初めて成功。これによって後継機のIceCube建設へと続いているんです。
 
でもIceCubeは、スーパーカミオカンデと何が違うのでしょう?

簡単に言えば、ターゲットとしているニュートリノのエネルギーが全く違うんです。
スーパーカミオカンデの検出volumeが5MeVなのに対して、IceCubeは100GeV以上という高いエネルギーのニュートリノを観測する装置です。

この高いエネルギーのニュートリノは、地球に飛来する数が少ないと予想されていますが、その代わりにチェレンコフ光はより強いものになります。
という事は、かすかな光を捉えるために光電子増倍管を沢山用意するという手法ではなく、とにかくより広い範囲でとらえることが重要となるわけです。

それだけの広い施設をどう作るか?という検討の結果、二つの方法が計画されました。そのうちの一つが、南極の氷をニュートリノ衝突標的とするアイスキューブ(IceCube)というわけです。
※因みにもう一つは、『アンタレス(ANTARES)(リンク)』で、こちらは海を利用した検出器です。

広大なニュートリノ衝突標的と紹介しましたが、その総容量は1平方キロ!?
5160個の光検出器モジュール(DOM:Digital Optical Module)が、深さ1400mから2400mに配置されています。
100本近い縦穴が120m間隔で掘られ、その中にあるケーブルに、DOMがビーズのように何十個も一列につなげられてるんですよ。面白いでしょう?

さて、先日ご紹介したXMASS実験もそうですが、来年はダークマターとダークエネルギーがキーワードになるかもしれませんね。


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北海道大好き人間

素人考えですが、オーロラに象徴される様に南極(北極)は磁場が強いので、こういう粒子を集めるのに適しているということもあるのでしょうか?
北極の場合は、分厚い氷の上であっても、その下は海ですので、こういう施設を建設するのはムリでしょうけれども。

by 北海道大好き人間 (2010-12-29 03:48) 

optimist

北海道大好き人間さん、こんにちは。
IceCubeの場合は、観測対象のニュートリノは磁場にトラップされるものではないので、安価に透明な氷で装置を作るという目的で極地にあるようです。
ただ、ご指摘の通り、磁場などの影響から、極地におかれる装置も多いと思います。
by optimist (2010-12-31 10:10) 

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