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オオコノハムシ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

見れば見るほど、葉っぱにしか見えないコノハムシ。有名ですから、ご存知の方がほとんどだと思います。
今日は、コノハムシの仲間では最大のオオコノハムシについて、ご紹介したいと思います。
オオコノハムシ.JPG
撮影者:optimist 神奈川県立生命の星・地球博物館収蔵

ナナフシ目に分類されるコノハムシですが、その仲間はアジアの熱帯地方で何種か確認されています。その中で最大となるのが、マレー半島に住む写真のオオコノハムシ(Phyllium giganteum)。前羽に葉脈ソックリの筋があり、平たい体は折り重なった葉っぱにしか見えません。体だけでなく、足も平たい葉っぱのように見える、実に奇妙な生き物です。ところで、このような容姿をしているのは、メスだけだそうです。オスはここまで葉っぱに似た形はしていないんだとか。でもメスが葉っぱそっくりに擬態できる代わりに飛行能力を失ったのに対して、オスは飛べるそうです。

メスだけが、あの素晴らしい擬態能力を持っているオオコノハムシですが、メスにはもう一つ特徴があります。なんと、メスだけで単為生殖しちゃうんです。まあ、昆虫の世界ではそれ程珍しくない事ではありますが・・・。

このオオコノハムシ。現地マレーシアでも、野性の個体数は激減しているそうです。そのため飼育農園と言われるバタフライファームで繁殖され、売られているんだとか。
実際、マレーシアではお土産品として、オオコノハムシの標本が売られています。と言っても、ナナフシ目は全て植物検疫法により輸入禁止ですから、生きたまま日本に持ち込むことは出来ません。
このような輸入禁止の昆虫などは、農林水産省植物防疫所の『生きた昆虫・微生物などの輸入について(リンク)』で検索可能です。

逃げ出した場合に、生態系に大きな影響を与えかねないからこその規制なのですが、問題もあります。私には、法律の不備だとしか思えないのですが、 輸入は禁止でも飼育には規制されません。「輸入は植物防疫法で禁止だけど、外来生物法やワシントン条約の規制対象じゃないから飼育するだけなら禁止じゃない。これって、変ですよね?

個人的にはメスのコノハムシが、日本の生態系を脅かす危険は少ないと思います。しかし、在来種でない以上、少なくともきちんと管理した上で飼育される必要はあると思うんです。せめて、植物防疫法で輸入が禁止されている種を国内で飼育する場合には、登録が必要など規制があってしかるべきだと思います。

何処の世界にも、悪意からではなくても、意図的に放虫するような人は居るのですから・・・。


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茶猫

あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願します!!

このような姿になるのは、メスだけだったとは。。。
まったくもって知りませんでした。
大分前ですが、滋賀から頂いた産直野菜にかたつむりがくっついていて、そのまま外に放そうかと思ったのですが、放す前に調べてみたら、琵琶湖近辺にしかいないマイマイぽっかったので、そのまま飼育してしまいました。(^^;
日本国内の話とは言え、場所が如何せん離れていたから、生態系のことを少し考えてしまいましたよ。

by 茶猫 (2011-01-05 12:33) 

北海道大好き人間

>輸入は禁止でも飼育には規制されません。
いわゆる「縦割り行政」の弊害ですね。
でも、外国から輸入する木材とかに付着していたら、知らず知らずのうちに持ち込まれていると思いますよ、多分。

by 北海道大好き人間 (2011-01-05 20:31) 

optimist

茶猫 さん、あけましておめでとうございます。
外来種って、人間の活動が世界的に活発な現在、不可避かもしれませんが、それでもできる限りは避けたいものですね。
せめて、自分の手での拡散は・・・。
最近だと、更に遺伝子組み換え植物(ナタネ油用のアブラナなど)の野生化も懸念されてたりしますね。
by optimist (2011-01-10 00:40) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
ご指摘の通り、完全な持ち込み対策は無理だと思います。
人や物の移動がこれだけ多い以上、どうしようも無いでしょうね。後は、地道な駆除と啓発活動しか対策は無さそうです。

人それぞれの正義って奴で、あえて持ち込んで放す方も居ますし・・・。
by optimist (2011-01-10 00:43) 

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