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ホテイエソ [不思議な生き物・奇天烈生物紹介]

ホテイエソは発光器官を持つ深海魚です。発光器官を持つ深海魚としては、チョウチンアンコウやダルマザメが、よく知られています。しかし、これらの深海魚は発光器官を獲物の誘引に使用していると考えられています。ピカピカ光って、餌だよ~とおびき寄せた魚をパクッと食べるわけです。

ホテイエソ0001.JPG
写真は名古屋港水族館に展示されているホテイエソ

これに対して、ワニトカゲギス目に属するホテイエソやホウキボシエソの仲間は、ちょっと違った使いかたをします。彼らは周囲の探索用照明として、さながらサーチライトのように、発光器官を使います。そのため眼の直下から後部に大型の発光器が並んでいるんです。因みに、このような餌となる生き物を照らし出すという発光器官の使い方は、一般に知られていないだけで、生物発光の捕食における用途として、決して珍しいという事は無いそうです。

ところで、普通に考えると、光を出したら、発光した魚の方が餌や敵から発見され易くなりますよね。ところが、彼らが発光させるのは赤い光です。先日も少しご紹介しましたが、海水は赤い波長の光を特に吸収するので、深海には赤い波長の光は届きません。そのため深海に住む生き物の多くは、赤い光を認識できないそうです。
深海に住む生物を水族館等で展示する場合、赤い照明を使っているのを見た事がありませんか?あれは、赤い波長の光を深海魚が認識できないから、ストレスを与えずにすむからです。まあ真っ暗でも魚にとっては、構わないのですが、人間にも見えなくなっちゃうので、展示の際は人間は認識できるけど深海魚には見えない(或いはその感度が著しく低い)赤い光を使うというわけ。

この水族館での深海生物展示と同じ事をホテイエソはしています。つまり、赤い光を出す発光器官を持ち、自分だけは赤い波長の光も認識できる目を持っているんです。赤い照明で周囲を照らして、自分だけが餌や敵の位置を把握する。さながら赤外線暗視スコープを装着した兵士のようですね。

まあ、折角獲得した発光器官ですから、捕食のためだけではなく、異性とのコミュニケーションにも使われているようですが・・・。

そんな珍しいホテイエソは、名古屋港水族館の他にも、この7月、東海大学海洋科学博物館「海のはくぶつかん」に新設された『駿河湾の深海生物』に、液浸標本が展示されています。でも、生きて光っている姿も見てみたいですね。
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タグ:深海魚
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コメント 3

北海道大好き人間

赤外線センサーを搭載した魚ですか…、面白そうですね。
そういえば車のライトも、青系のHIDバルブだと明るく見えますが、あれもこれと一緒なのでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2011-01-10 00:08) 

optimist

私は普段車を運転しないので、青系のHIDバルブが明るく見えるというのは知りませんでした。
照明って、明るさを表す照度、光色はを表す色温度(k:ケルビン)、光源による色の見え方を評価する演色性(Ra:アール)などの指標があり、同じ、明るさ(照度)でも、人間が感じる明るさには差があるようです。
家庭用照明を選んだ時に調べた感じだと、蛍光灯でも白色と電球色を比べると白色光のほうが明るいと感じるそうです(色や波長によって明るさの感じ方が違うわけです)。
また、同じ照度でも演色性が良い方が明るく感じるそうです。
照明の世界も、奥が深そうです^^;
by optimist (2011-01-10 01:22) 

北海道大好き人間

>蛍光灯でも白色と電球色を比べると白色光のほうが明るいと感じるそうです(色や波長によって明るさの感じ方が違うわけです)。
確かにそうです。ただ、白色蛍光灯(特に青白い光の昼光色)ですと、特に冬場は寒々しく感じます(夏は涼しく感じますが)。
そういうこともあり、ウチの蛍光灯は、(建物が和風ということもあるのですが)非常口の誘導灯を除いて切れた順に電球色のものへと全て入れ替えました。それ以前の問題として、寒い時期は点灯直後の蛍光灯は暗く感じます。
秋葉原に行きますと、食品ショーケース用とか熱帯魚用とか、いろいろな種類の蛍光灯があります。値段も、普通の蛍光灯の倍以上はします。
白熱電球も、順次、電球色の蛍光ボールに切り替えていますが、密閉型の器具や明るさが変えられる調光機能がある器具には使えない等の制約があるのが難です。
LED電球は、光がまっすぐにしか当たらず、真下(真正面)以外は暗く感じるので、今のところは導入していません。
メーカー各社も、白熱電球みたいなLED電球を廉価で提供して欲しいものです。

by 北海道大好き人間 (2011-01-10 22:01) 

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