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Hubble Snaps Image of Space Oddity [科学系よもやま話]

今日と明日は、今年に入ってからNASAが公開したハッブル宇宙望遠鏡の画像をご紹介します。

先ず最初は、2011年1月10日に公開されたこの画像です。
Hubble Zooms in on a Space Oddity『heic1102 - Photo Release(リンク)』
heic1102a.jpg
Credit:NASA, ESA, William Keel (University of Alabama, Tuscaloosa), and the Galaxy Zoo team
この不思議な緑色の雲は、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された『ハニーの天体(Hanny's Voorwerp)』。

地球から6億5000万光年の距離にあると推測されるこの天体は、その姿だけでなく、色々と不思議な天体なんです

この雲の中では、最も若いもので、たったの数百万年(宇宙規模では一瞬)前に形成されたばかりという恒星が、幅数千光年という(宇宙規模では狭い)範囲で大量に生まれているそうです。でも、これらの若い星の放つ光は、周囲のガスに阻まれて、これまで気が付かなかったんだとか。

緑色に光っているのは、内部の恒星によるものではなく、大質量ブラックホールからの放射により緑色に光っているガスだと推測されています。
 
この雲は、写真上部に写っているIC 2497と呼ばれる渦巻銀河が、約10億年前に別の銀河と衝突した際に出来たガスの帯の一部と考えられています。
そして、その帯の一部(=ハニーの天体)を緑色に光らせた原因とされる大質量ブラックホールは、この衝突で出来たもので、領域で星が生まれているのも、この大質量ブラックホールから噴出物とガスとの反応によるものと考えられています。20万年前に活動を停止したため、その残滓としてハニーの天体が輝いているそうですよ。

ここで、10億年前とか20万年前とされているのは、現在見えている状況になるまでの時間であり、実際にはその光が届くのに6億年以上経過しているので、実際に銀河が衝突したのは16億年前だし、ブラックホールが活動を停止したのも6億年以上も前なんです。なんだか不思議ですね。

ところで、『ハニーの天体(Hanny's Voorwerp)』は、学者ではない一般人(オランダ人教師)のHanny van Arkel氏が、2007年に発見したことに由来します。ハニー氏は、宇宙地図作成を目指すプロジェクトであるSDSS(スローン・デジタル・スカイ・サーベイ)に登録された銀河を分類するボランティア参加型のGalaxy Zoo(銀河の動物園)プロジェクトの作業中に発見したんだそうですよ。



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北海道大好き人間

日食の記事でも書いていますが、こういう記事を読んでいると、我々なんてホントにちっぽけな存在だということを認識させられます。

by 北海道大好き人間 (2011-01-16 01:05) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
本当に仰るとおりですね。
宇宙規模の話を聞くと、あまりのスケールの違いに唖然とするばかりです。
by optimist (2011-01-19 22:16) 

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