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In Deep Galaxy Surveys, Astronomers Get a Boost -- From Gravity [科学系よもやま話]

今日ご紹介するのは、2011年1月12日に公開されたハッブル宇宙望遠鏡によるこの画像です。

『In Deep Galaxy Surveys, Astronomers Get a Boost -- From Gravity(リンク)』
509791main1_hs-2011-04-b670.jpg
Credit:NASA/ESA/S. Wyithe (University of Melbourne), H. Yan (Ohio State University), R. Windhorst (Arizona State University), and S. Mao (Jodrell Bank Center for Astrophysics, and National Astronomical Observatories of China)
これは、Hubble Ultra Deep Fieldのカラー合成画像です。手前の銀河の重力レンズ重力レンズ効果により、遠方の銀河=より古い時代の銀河の明るさが増光されるとう現象について報告され、緑の○はz > ∼8の赤方偏移が予測される銀河で、より高い赤方偏移候補は赤○で示されています。

現在主流の説では、宇宙は誕生からしばらく星のない『暗黒時代』が続き、その後、星や銀河の形成が始まる『宇宙の夜明け』を迎えたと考えられています。宇宙が『宇宙の夜明け』を迎えようとする、中性水素が再電離しつつあった時期を表す銀河が、赤方偏移がz > ∼7の高赤方偏移銀河と言われています。

詳細な報告は、米科学雑誌Natureの最新号に投稿されていました。
Nature 469, 181-184 (12 January 2011) 『A distortion of very-high-redshift galaxy number counts by gravitational lensing(リンク)』
※Full textは有料です。

重力レンズとは何でしょう?
リンク先では、イラストを使って説明しています。
509785main_hs-2011-04-a-print.jpg
Illustration credit::NASA, ESA, and A. Feild (STScI)

この研究では、見かけ上明るさを増しているために、通常観測できない程遠い銀河を観測できるとしています。一方で、この明るさの変化を考慮しないと、観測結果の解析に重大な間違いを与える懸念もあるんです。今回の報告でも、これらの遠方銀河は、間にある銀河の重力レンズ効果を考慮する必要があると指摘しています。

重力レンズ効果を使った観測は、まだまだ最近はじまったばかりの分野です。今後どのような成果が出るのか、楽しみですね。

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北海道大好き人間

いつぞやの南十字星の拡大版と言ったところでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2011-01-17 14:32) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
手前の銀河の重力で、より遠くの銀河の光が歪められる重力レンズは、最近良く耳にします。
ちょっと南十字星ように、銀河の大規模構造を手作りでというのは難しそうですね^^;
代わりというわけではありませんが、そのうちスローン・デジタル・スカイ・サーベイ プロジェクトによる最新の宇宙全天画像をご紹介しようと思います。
by optimist (2011-01-19 22:14) 

アヨアン・イゴカー

見えない銀河が重力レンズ効果によって見える、というのは面白いですね。仕組みを聞けばなるほどそうだろうと思いますが、学者が気づくまでには時間が掛かる。発見とか発明というものはこうしたものなのでしょうね。
by アヨアン・イゴカー (2011-01-22 11:16) 

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