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「大絶滅」生き延びた恐竜 70万年後の骨、米で発見 [科学系よもやま話<生命の起源・進化>]

今日ご紹介するのは、白亜紀末恐竜大絶滅を70万年ほど生き延びた恐竜がいたというニュースです。

この論文は、アメリカ地質学会の専門誌『Geology(リンク)』に投稿されたものです。『Direct U-Pb dating of Cretaceous and Paleocene dinosaur bones, San Juan Basin, New Mexico』(Geology; February 2011; v. 39; no. 2; p. 159-162)
※Full Textは有料です。

この手の報告は、従来もありました。つまり、隕石衝突を起源とするイリジウムを多量に含むK―T境界以降の地層からも恐竜の化石を発見したというものです。
しかし、多くの科学者は、それを再堆積によるものとしています。

著者らは、この反論として、米西部ニューメキシコ州で見つかったアラモサウルスと呼ばれる草食恐竜の大腿骨を使って年代測定を行なっています。その結果が、6480万年前だった事から、再堆積によるものではなく、隕石衝突後まで生きていた証拠だと結論づけていました。

でも、これって、微妙・・・。
実際には、誤差があるので、K―T境界は6550万年±30万年。今回の化石の年代測定では6480万年±90万年。誤差を最大にとれば、逆転しちゃいます。
というか、化石年代値はU―Pb法で求め、対して比較しているK―T境界の年代値はAr―Ar法によるもの。いや、それ以前にK―T境界の年代値でさえ、各地の年代測定結果が、100万年位の誤差だから約6500万年前に世界中に(巨大隕石由来の)イリジウムの塵がばら撒かれたって論法だったはず。
それなのに、6480万年±90万年だから隕石衝突後だって主張するのは、随分虫が良い主張と感じます。
例えば、これが500万年位違うってなら1%近い誤差ですから、なる程と思いますが、僅か70万年の違い。それも測定方法が異なる2つの年代測定での比較と言われると・・・。

更に、発掘場所がニューメキシコ州のサンファン砂漠というのも気になります。
だって、K―T境界を作ったとされる巨大隕石落下場所は、今の定説ではユカタン半島に落下したとされています。ユカタン半島に巨大隕石が落ちて、(大陸移動はあるにせよ)そこから4000km程しか離れてないニューメキシコで恐竜が生き残っていたというのは・・・?って感じます。

でも、だから恐竜が大量絶滅後に生存していたはずが無いと言うつもりもありません。

そもそも、我々人類を含む哺乳類や鳥類、魚類など多くの種が、今尚地球上に溢れているのですから、哺乳類の祖先が生き延びられて、恐竜だけが死んだというのも変な話です。一部には生き残った種が存在しても不思議ではないでしょう。

それに大前提になっている隕石衝突による恐竜絶滅だって、まだ異論もあり今後どうなるかは分かりません。この論文は隕石衝突より後に恐竜が居たという物ですから、そもそも隕石衝突後にも恐竜は生き残っており、その後環境変化など、他の要因で絶滅したという可能性だって残っています。

何れにしても、恐竜絶滅は、多くの人々の興味が尽きないテーマです。今後も様々な論文を目にする事になるでしょう。それが楽しみです♪

年代測定については、以前もう一つのブログ『楽観主義者の鉱物図鑑』の方で、ちろっと書いていますので、良かったらご覧下さい。
『年代測定についての考察 その1』 『年代測定についての考察 その2

タグ:恐竜
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コメント 2

北海道大好き人間

言われてみれば、確かにその通りですね。
恐竜が絶滅するならば、同じ変温動物もしくは爬虫類が絶滅していても不思議ではないですよね。

by 北海道大好き人間 (2011-02-04 21:11) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
なぜ恐竜は現代に生き残らなかったのかというのは、未だ分からない謎と言えると思います。
隕石が落ちたのは、ほぼ間違いないと私も思いますが、その後どういう理由で絶滅に至ったのか。そして恐竜は鳥に進化したもの以外、何故生き残らなかったのか?もしかして生き残っているのか?
など、何れ解明される日が来るのが楽しみです。
by optimist (2011-02-06 00:20) 

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