ピロリ菌ゲノムからわかった遺伝子誕生の新しいしくみ [科学系よもやま話]
今日ご紹介するのは、胃癌や胃潰瘍などの原因ともされるピロリ菌から、生物のゲノムの進化についての発見がされたというお話です。
プレスリリース『ピロリ菌ゲノムからわかった遺伝子誕生の新しいしくみ(リンク)』
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻 小林 一三教授らによる論文は、アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)で発表されました。
『Birth and death of genes linked to chromosomal inversion(pdfファイル)』
小林一三教授らは、ピロリ菌日本株のゲノムを解読しました。これを、世界各地の株と比較したところ、ある遺伝子がヨーロッパ株では1つなのに日本株で重複している事が分かりました。つまりヨーロッパ株では1つの部分が、日本株では2つに増えていたのです。
そして、ゲノム全体を比べてみると、遺伝子の重複が起こった部分を付け根として、日本株では一部が反転した(逆位)形になっていたんです。ここから、DNAの逆位に伴ってDNAの重複が起きるのではなか?と著者らは推測しています。
更に比較すると、同じしくみによって、別の遺伝子では崩壊が起きていることも分かったそうです。
遺伝子の誕生と崩壊の仕組みについては、未だ解明されていません。今回、ゲノムの逆位(反転)にともなって遺伝子が重複する事が分かったように、今後、様々な発見が期待できそうです。
それにしても、近年のコンピューターの発達による高速演算処理、ゲノムの抽出・分析精度の向上に裏付けられた、ゲノム解析は凄い勢いで進んでいます。一般の我々が知らない(気にしていない)だけで、世界中でゲノム情報が凄い勢いで蓄積されているんです。
今後は、それらをデータベースとした比較解析で、生命の進化について、どんな発見があるのか?そして、どんな応用が可能なのか?楽しみな分、倫理的問題での論争も予想されます。
※この研究は、1月13日発行のNatureのResearch Highlightsでも紹介されるています。
Nature Volume:469,Page:135 (13 January 2011)『Molecular evolution: The birth of a gene(リンク)』
※こちらは有料です。
プレスリリース『ピロリ菌ゲノムからわかった遺伝子誕生の新しいしくみ(リンク)』
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻 小林 一三教授らによる論文は、アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)で発表されました。
『Birth and death of genes linked to chromosomal inversion(pdfファイル)』
小林一三教授らは、ピロリ菌日本株のゲノムを解読しました。これを、世界各地の株と比較したところ、ある遺伝子がヨーロッパ株では1つなのに日本株で重複している事が分かりました。つまりヨーロッパ株では1つの部分が、日本株では2つに増えていたのです。
そして、ゲノム全体を比べてみると、遺伝子の重複が起こった部分を付け根として、日本株では一部が反転した(逆位)形になっていたんです。ここから、DNAの逆位に伴ってDNAの重複が起きるのではなか?と著者らは推測しています。
更に比較すると、同じしくみによって、別の遺伝子では崩壊が起きていることも分かったそうです。
遺伝子の誕生と崩壊の仕組みについては、未だ解明されていません。今回、ゲノムの逆位(反転)にともなって遺伝子が重複する事が分かったように、今後、様々な発見が期待できそうです。
それにしても、近年のコンピューターの発達による高速演算処理、ゲノムの抽出・分析精度の向上に裏付けられた、ゲノム解析は凄い勢いで進んでいます。一般の我々が知らない(気にしていない)だけで、世界中でゲノム情報が凄い勢いで蓄積されているんです。
今後は、それらをデータベースとした比較解析で、生命の進化について、どんな発見があるのか?そして、どんな応用が可能なのか?楽しみな分、倫理的問題での論争も予想されます。
※この研究は、1月13日発行のNatureのResearch Highlightsでも紹介されるています。
Nature Volume:469,Page:135 (13 January 2011)『Molecular evolution: The birth of a gene(リンク)』
※こちらは有料です。
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早い話が「突然変異」ですね?
>楽しみな分、倫理的問題での論争も予想されます。
クローン技術と根は同じですから、論争になるのは確実でしょう。
by 北海道大好き人間 (2011-02-19 00:29)
日本株のピロリ菌と言うところで、もしや、自分の胃の中にいたのも、そうだった可能性も。と、思ってしまいました。
(2度の投薬で、ようやくいなくなりましたが)
日本人は年代があがると、保菌者の率がアップしますし、それだけサンプルが豊富だったとか?
by Haruka・N (2011-02-19 20:45)
北海道大好き人間 さん、こんにちは。
この研究自体は、遺伝コードの解読から派生していますが、最近流行の様々な機能を持たせた微生物や植物、はては動物となると倫理的な問題はついてまわりますよね。
Haruka・N さん、こんにちは。
ピロリ菌、胃がんや胃潰瘍の原因にもなると言われて、随分取り上げられた時期がありますよね。
仰るように年齢で保菌率が顕著に違うようですね。
by optimist (2011-02-20 10:02)