ＤＮＡ、宇宙に存在か 南極隕石にアデニンとグアニン

今日ご紹介するのは、米科学アカデミー紀要（ＰＮＡＳ：Ｐｒｏｃｅｅｄｉｎｇｓ ｏｆ ｔｈｅ Ｎａｔｉｏｎａｌ Ａｃａｄｅｍｙ ｏｆ Ｓｃｉｅｎｃｅｓ）で発表されたこの論文。
『Ｃａｒｂｏｎａｃｅｏｕｓ ｍｅｔｅｏｒｉｔｅｓ ｃｏｎｔａｉｎ ａ ｗｉｄｅ ｒａｎｇｅ ｏｆ ｅｘｔｒａｔｅｒｒｅｓｔｒｉａｌ ｎｕｃｌｅｏｂａｓｅｓ（ｐｄｆファイル）』（PNAS 2011 ; published ahead of print August 11, 2011, doi:10.1073/pnas.1106493108 ）

南極などで見つかった炭素質コンドライト１２個を分析した結果、アデニン、グアニンなどと共に、生体内の筋肉組織に含まれるヒポキサンチンとキサンチンが見つかったと言うのです。

Ａｒｔｉｓｔ ｃｏｎｃｅｐｔ ｃｒｅｄｉｔ：ＮＡＳＡ'ｓ Ｇｏｄｄａｒｄ Ｓｐａｃｅ Ｆｌｉｇｈｔ Ｃｅｎｔｅｒ/Ｃｈｒｉｓ Ｓｍｉｔｈ

これまでも隕石からアミノ酸などを発見したとする論文は出ていましたが、反論として地球上で後天的に汚染された結果に過ぎないという主張がされてきました。
しかし、今回の隕石１２個のうち９個は南極大陸で発見されたもので、生命による汚染の可能性が極めて少ないと著者らは考えているようです。
更に、アミノ酸と同時に、３種類の核酸塩基（プリン、６，８-ジアミノプリン、２，６-ジアミノプリン）も発見した事も、汚染を否定する根拠となっています。

これらの分子はアミノ酸から合成可能ですが、地球上の生物が合成することは稀なのです。更にこれらの物質は、炭素質コンドライﾄの内部に広く分布していた事、採取地点の土壌や氷からは有意な濃度で検出されてない事などから、アデニンやグアニンも含め、地球外由来と考えられると言うのです。

尚、この報告については、ＮＡＳＡのＷｅｂ　Ｓｉｔｅ上でも解説されています。
ＮＡＳＡ Ｒｅｓｅａｒｃｈｅｒｓ『ＤＮＡ Ｂｕｉｌｄｉｎｇ Ｂｌｏｃｋｓ Ｃａｎ Ｂｅ Ｍａｄｅ ｉｎ Ｓｐａｃｅ（リンク）』
　この論文の主張が認められれば、宇宙空間で核酸塩基が合成可能という事になり、ＤＮＡのもととなる物質は隕石によって宇宙からもたらされた可能性も・・・。
そうなれば、生命の起源に対する考えが一変する訳です。

勿論、宇宙でアミノ酸合成が可能なのであれば、地球上で合成される事も可能。であるなら、生命は完全に地球上だけで発生したという可能性も、勿論あるわけですが・・・。

ところで、このような生命の素を宇宙に求める考えは、パン・スペルミア説と呼ばれ、これまでにも何度かご紹介してきました。
『パンスペルミア説』
『地球外生命体の化石について』
『南極で発見の隕石からアンモニアの発生を確認』

生命が地球上で誕生したのでなければ、或いはＤＮＡの材料は地球外にも豊富にあるのであれば、太陽系内に地球外生命が存在しても全く不思議ではなくなります。
今後の研究成果が楽しみですね♪

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タグ：NASA パン・スペルミア説 隕石 パンスペルミア説

コメント 4

DNAとまったく異なる遺伝子をもつ生物もいるかも

by kakasisannpo (2011-08-18 21:14) 

kakasisannpo さん、こんばんは。
そうですね、塩基成分がアデニン、チミン、グアニン、シトシンの４種類という地球産の生命とはまったく別の塩基を基にした生命が居るとしたら・・・。
そう考えるとワクワクしますね。
by optimist (2011-08-18 22:56) 

地球上の生物の方が突然変異だという極論も導けそうですね。

by 北海道大好き人間 (2011-08-19 15:37) 

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
実際に、生命の起源がどうなのかは勿論まだ分かっていないわけですが、それだけに、もしかしたら、今までとは全く違う結論になる事だってあるんですよね。
それだけに地球だけが傍流でという事だってあっておかしくないと考えると面白いです。
by optimist (2011-08-21 21:42)