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生命の起源・・・『化学進化』は海底地下でおこった? [科学系よもやま話<生命の起源・進化>]

今日ご紹介するのは、生命の起源にも通じる、発表についてです。

Stability of amino acids and their oligomerization under high-pressure conditions: implications for prebiotic chemistry(リンク)』
NIMSプレスリリース『生命の起源:『化学進化』は海底地下でおこった!(リンク)』
東北大学のプレスリリース『生命の起源:『化学進化』は海底地下でおこった!(pdfファイル)』

この報告によれば、東北大学大学院理学研究科とNIMS(物質・材料研究機構)の共同研究により、高温高圧条件でアミノ酸の重合実験を行った結果、タンパク質の元となるペプチドが単純なアミノ酸から作り出されることが明らかになったのだそうです。

そもそも、生命がどのように誕生したのかについて、現在でもその答えは出ていません。それどころか、生命の材料とも言える高分子有機物がどのように生成されたのか、はたまた高分子有機物の材料となるアミノ酸などがどのようにもたらされたのかさえ、結論は出ていないのが現状です。

今回の研究成果は、アミノ酸から高分子有機物の一つであるペプチドが、高温高圧条件下という原始地球の海底地下に近いと考えられる環境で生成可能である事を明らかにしています。
つまりアミノ酸から高分子有機物への化学進化が、初期地球に海が出現した後、海底地下に単純な有機物が濃集し、海底堆積物が圧密・脱水される過程で進んだという仮説を支持する結果が得られたという訳です。
 
近年、アミノ酸が地球上で合成されたのではなく(或いは、合成された場合でも)、宇宙から隕石に付着して地球にもたらされたとする仮説も注目されています。
このブログでも、以前ご紹介した事がありますが、実際に、南極から採取された隕石から、アミノ酸が検出したという報告もされているんです『DNA、宇宙に存在か 南極隕石にアデニンとグアニン』。

このようにして、宇宙から舞い降りたアミノ酸(或いは、この論文で提示しているような、隕石衝突時に生成したアンモニアやアミノ酸)が太古の海底に濃縮、堆積物が海底下で圧密・脱水され、より複雑な有機物へ進化し、ついには生命が誕生した・・・そう考えると、なんだかワクワクします。

勿論、生命の起源については諸説あり、未だ議論が続いている状況です。
また、この論文でも、ペプチドやタンパク質から、生命誕生までの過程については、まだ分かっていないと書かれています。
今後の研究が楽しみですね。

更に、2つめのリンク記事にあるように、そもそも生命のゆりかごと形容される海自体も、宇宙から彗星としてもらたらせたのではという可能性も指摘されているのも、興味をそそられます。
(2011.10.10加筆)
※こちらのニュースについては、『地球の海、彗星が起源の可能性』に詳しく解説したので、良かったらご覧ください。



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北海道大好き人間

宇宙戦艦ヤマト完結編(1983年公開)の「アクエリアス」が現実味を帯びてきたわけですね。
この映画では、アクエリアスが創生期の地球付近を通過し、重力の干渉によって地球に水がもたらされたとあります。
YouTubeには、全編が投稿されていますので、さわりの部分だけでも御覧いただければと思います。

by 北海道大好き人間 (2011-10-08 14:05) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
我が家には、宇宙戦艦ヤマトのLD-BOXがあったりします^^;
ちょうどタイムリーな世代なので、勿論完結編も観てますよw
まあ、科学的には、水だけが濁流のように地球に降り注ぐ事は無いでしょうが、絵的には迫力があって良いですよね♪
海の起源、彗星由来というニュースについては、11日の記事に詳しく書いたので、良かったらご覧ください。
by optimist (2011-10-10 23:36) 

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