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潰瘍性大腸炎に関連する遺伝子型 [科学系よもやま話]

潰瘍性大腸炎は、遺伝的な要因が発症に関与しているそうです。これも、オーダーメイド医療実現化プロジェクトの成果の一つだそうです。

理化学研究所ゲノム医科学研究センター基盤技術開発グループの報告によれば、日本人の潰瘍性大腸炎患者1384例と、対照群3057例のDNAを用いた解析の結果、3つの遺伝子(FCGR2A遺伝子,染色体13番の13q12領域、SLC26A3遺伝子)が潰瘍性大腸炎の発症と関連する事が分かっているそうです。

理化学研究所 プレスリリース(2009)『難病の潰瘍性大腸炎の発症に関連する3つの遺伝子を発見(pdfファイル)』

この成果は、米科学雑誌『Nature Genetics』に掲載されています。
A genome-wide association study identifies three new susceptibility loci for ulcerative colitis in the Japanese population(リンク)』
 
3つの遺伝子(FCGR2A遺伝子,染色体13番の13q12領域、SLC26A3遺伝子)のリスク多型を持つ人では、それぞれ潰瘍性大腸炎のリスクが増大するそうです。
それぞれ、FCGR2A遺伝子で1.6倍、13q12領域で1.35倍、SLC26A3遺伝子で1.3倍と、潰瘍性大腸炎発症のリスクが高くなっているんだとか。

特に、FCGR2A遺伝子では、131番目のアミノ酸をアルギニンからヒスチジンに変える一塩基多型(SNP)との間に強い関連が見られ、このアミノ酸置換により免疫グロブリン IgGへの結合が強くなるため、FCGR2A遺伝子のヒスチジン型の人では、腸管免疫細胞の活動性が亢進し、大腸の炎症が起こりやすくなると推測されています。

潰瘍性大腸炎の発症にはHLA遺伝子やFCGR2A遺伝子による免疫能の個人差が大きく関わっている事から、これらの遺伝子が腸管粘膜での免疫調節機構で、どのような役割を担っているのか、また、複数の潰瘍性大腸炎関連遺伝子がどのように組み合わさって機能しているのかを調べることで、炎症性腸疾患の病態解明が進むと期待されるそうです。
これらの研究により、潰瘍性大腸炎に対する新たな治療法の道が開かれれば良いですね。

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北海道大好き人間

家系によって、長生きするとか短命になるとか、特定の病気が続くとか多種多様にありますが、それらを少し筒取り除ければいいのでは?と思いますが、逆に少子高齢化に拍車をかける結果にもなりそうですね。

by 北海道大好き人間 (2011-10-12 16:49) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
医学が進むほど、平均寿命は延びるわけですが、少子高齢化も同時に進むと、今のような年金や健康保険の制度では立ち行かなくなる事は明らかですね。
かといって、勿論長生きが悪だなんて事はありません。
なんとか、健康に日々の糧を得ながら長生きするという世の中になってもらいたいものです。
by optimist (2011-10-15 23:49) 

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