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前立腺がんの発症に関連する新たな5つの遺伝子多型を発見 [科学系よもやま話]

今日ご紹介するのは、久々オーダーメイド医療実現化プロジェクトの成果の一つ。これをもって、ひとまずーダーメイド医療実現化プロジェクト関連ネタを終わりにします。
前立腺がんの発症に関連する新たな5つの遺伝子多型を発見(pdfファイル)』

独立行政法人理化学研究所の発表によると、日本人の前立腺がんと関連がある5つの一塩基多型(SNP:Single Nucleotide Polymorphism)を発見したそうです。
これは、日本人4584名の前立腺がん罹患者群と8801名の対照群について、ゲノムワイドSNP関連解析を実施した成果だそうですよ。

この成果は、米科学雑誌『Nature Genetics』に掲載されています。
Genome-wide association study identifies five new susceptibility loci for prostate cancer in the Japanese population(リンク)』
 
前立腺がんは、世界で最も発症頻度が高いがんの1つなのだそうです。日本だと肺がんや胃がんが多いイメージがありますが、生活習慣の欧米化や人口の超高齢化に伴い、その罹患者数は急激に増加しているのだとか。

これまでに、欧米での研究で、これまでに前立腺がんの発症に関連する多数の遺伝子やSNPが発見されいて、前立腺がんの発症に、遺伝的素因が関係している事が知られています。
この研究では、これまで欧米人で前立腺がんとの関連が報告されている31個のSNPのうち、日本人の前立腺がんと関連が認められたのは、8番染色体長腕(8q24)の複数のSNPを含む19個で、最大のオッズ比は1.75倍。一方、残りの12個のSNPは、日本人の前立腺がんとの関連は確認できなかったそうです。

加えて、今回新たに5つのSNPが日本人における前立腺がん発症と強い関連があることも報告されています。この5つのSNPは、以下の通り。
・5番染色体短腕の5p15領域(オッズ比1.26倍)
・性ホルモンの産生やメタボリック症候群と関係のあるGPRC6A/RFX6遺伝子(オッズ比1.22倍)
・13番染色体長腕の13q22領域(オッズ比1.15倍)
・機能が不明のC2orf43遺伝子(オッズ比1.15倍)
・転写因子であるFOXP4遺伝子(オッズ比1.15倍)

人種や民族間での前立腺発がんの遺伝的素因が違うというのは、非常に面白く感じます。やはり、日本人のオーダーメイド医療を考えるなら、日本人のサンプルを増やして研究するのが良さそうですね。
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北海道大好き人間

ここでは触れていませんが、大腸ガンも増えているみたいですね。
「お国柄」があるのでしょうけれども、人体に影響を与えない有効な治療法が確立されるといいですね。

by 北海道大好き人間 (2011-10-24 02:41) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
様々な病気の予防・治療が進むと、結局最後は癌というのも理由にはありそうですが、日本人の場合は、これほど油を摂取するようになったのは最近なので、大腸がんになりやすいという話は聞いた事がありますね。
重粒子線治療など、先進治療法もいくつかありますが、今後の発展にも期待したいです。
by optimist (2011-11-05 20:16) 

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