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小型恐竜ミクロラプトルの羽毛は玉虫色? [科学系よもやま話]

1億3000万年前の白亜紀前期に生息していたとされる小型の羽毛恐竜「Microraptor(ミクロラプトル)」の体色に関する論文が、アメリカの科学雑誌Sienceで発表されています。
Reconstruction of Microraptor and the Evolution of Iridescent Plumage(リンク)』(DOI: 10.1126/science.1213780 )
F4_small.gif
※図は、論文中のFig. 4にあるミクロラプトルの想像図です。

羽毛恐竜であるミクロラプトルの羽毛を分析した結果、羽毛のメラノソーム(色素顆粒)がシート状に密に並んでいることがわかったそうです。このようなメラノソームの微細構造を取る場合、現生鳥類では、干渉色により玉虫色の光沢を持つため、ミクロラプトルも虹色に輝く黒い羽毛を纏っていたと推測する内容でした。 

このような化石中の分子構造や配列を分析する事で体色を知るという試みは、、『始祖鳥の羽は黒かった?』でも取り上げたばかりです。

そこでも申し上げましたが、一概に真っ黒な羽毛に覆われていたとするのは、考え物です。
模様があったり、黒一色では無いかもしれませんよね。

それに、そもそも全く黒くない可能性だってあるはずです。分かりやすい例をあげると、現生鳥類のオオルリやクジャクの色素を調べたところで黒です。後世の学者が同様の研究をしたら、黒かったとする発表をするかもしれません。

このような鳥の色については、『鳥便り(リンク)』というSiteの「鳥へぇ」で詳しく解説されているので、一度ご覧になってみると面白いと思います。
』の項目です。

簡単に言えばオオルリの青は、黒い羽の上にある微小な気泡やケラチン繊維による散乱によるものです。青い光が散乱され、それ以外の波長の光は黒に吸収されるため、あのような鮮やかな光沢のある青に見えるのです。
また、クジャクの羽は干渉色ですが、綺麗な模様になっています。

このように、我々が知るオオルリは青いし、クジャクは見事な模様の羽を持っています。そして、これらの鳥の羽毛は、微細構造により本来の黒い色素とは異なる発色をします。つまり、必ずしも見かけの体色と一致する訳では無いのです。

とはいえ、少なくともミクロラプトルの羽にメラノソームの微細構造がみられる事から、構造色をもっていた可能性があるのは確かなようです。
勿論、本当にミクロラプトルが七色の光沢を放つ黒い羽毛や,
青味がかった黒い羽毛に覆われていたかもしれませんが、干渉色はクジャクののうに模様に見えたかもしれませんし、オオルリのようなもっと鮮やかな青い光沢を持つ羽だったかもしれません。

いずれにしても、絶滅生物の体色や習性など、誰も目の当たりにした事が無い事を推測するのは、楽しいですね♪



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北海道大好き人間

古代に生きた動物の体の色を想像するのって案外面白いかも知れません。
逆に、本文でも書いていますが、今生きている動物が化石となって発掘された時、未来の科学者がどんな色だったと予想するのも面白そうです。

by 北海道大好き人間 (2012-03-11 16:51) 

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