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サーモクロミック分子② [科学系よもやま話<色と光の話>]

前回は、サーモクロミズムの中でも分子構造の変化に伴うものを、ジエチルジエチレングリコール銅(Ⅱ)錯体を例に、ご紹介しました。
今回は、コレステリック液晶のサーモクロミズムについてご紹介します。

そもそも液晶は、読んで字の如く、液体の流動性と結晶の異方性を合わせ持つことから、液+晶=液晶なんです。
簡単に言えば、分子が整然と秩序だって並んだ結晶の特徴と、これが自由に動く液体の特徴を合せ持っています。

まあ、最近は、液晶=液晶ディスプレイみないな使われ方もしますが、液晶自体はディスプレイ以外にも多くの分野で使われている材料です。

そんな液晶の中でも、コレステリック液晶は、分子配列がらせん構造を示します。そして、らせんの周期に対応した構造色を呈します。液晶によっては温度によって、この螺旋周期が変化するので、温度によって色が変化するという訳です。

なんて説明しながら、「不斉炭素って何?」「分子配列がらせん構造になるの?」とか、「らせん周期によって色がつくのはなんで?」とか、疑問が浮かぶ人も多そうだな~と思ったりもします。
が、これを簡潔に説明する能力が私にはありません。ごめんなさい。そんな疑問を持たれた方は、是非ご自身で調べてみて下さい。

と、放り出しても良いのですが、一応頑張って説明してみますw

不斉炭素原子と言うのは、4本の手に全て異なる原子や原子団が付いている炭素原子です。このような構造は、鏡に映した像と、どう回転させても重ねることができません。この鏡像を光学異性体と呼びます。

光学異性体のどちらか一方だけからなる物質は、分子が集まる時に特徴的な配列となる事が知られています。
光学的に同じ分子が集まる時、安定的に密に充填しようとすると、分子が一方向に少しずつ回転しながら並ぶらせん配置が最も有利となります。例外は分子の対称性が良い場合で、その場合は立方体や六角柱といった、よりコンパクトな配置となります。しかし、コレステリック液晶のように、炭素に結合した原子団のサイズが大きく異なる場合、最も有利なのが、少しずつ分子の向きが違っている層が重なったらせん構造なんです。

そして、らせん構造の周期構造を持っているため、光学的な周期(らせんの周期を屈折率で割ったもの)と等しい波長の光を反射します。構造色と呼ばれるものです。つまり、らせんの周期が可視領域の400ナノメートル弱~約800ナノメートルの時、それぞれの波長の光を反射するので、色が付いて見えるというわけ。
因みに、この反射光は、らせんの巻きと同じ向きの円偏光となっているので、左円偏光板と右円偏光板を透過してみると、どちらか一方では色が見えなくなります。

因みにコレステリック液晶は、コレステロールの仲間で最初に見つかったので、この名が付いたのですが、最初の発見はこの構造色によるものでした。ある種のコレステロールが、温度によって様々な色が付いて見からだそうですよ。

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北海道大好き人間

やはり難しいですね。
画像付きの解説でないと素人には理解できないのではないでしょうか?

by 北海道大好き人間 (2014-01-21 10:55) 

optimist

北海道大好き人間 さんこんばんは。
おっしゃる通りです^^;
解説用の図を書こうと最初はおもっていたのですが、文章の何倍も時間がかかってしまうので、挫折しました。
まあ、気になる人は自分で調べた方が、身に付きますから、これで良い事にしますw

by optimist (2014-01-22 21:44) 

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