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土星のオーロラ [科学系よもやま話]

11月24日に、アメリカ航空宇宙局(NASA)が、土星探査機『カッシーニ』によって撮影された、土星のオーロラの画像と動画を公開しました。
※プレスリリースはコチラ
Northern Aurora in Motion.jpg
Credits: NASA/JPL/

土星にもオーロラが発生する事は、以前からハッブル宇宙望遠鏡やパイオニア11号、或いは土星探査機『カッシーニ』の観測から、知られていました。
Saturn's Ultraviolet Aurora.jpg
Credits: J.T. Trauger (Jet Propulsion Laboratory) and NASA.

今回は、カッシーニの狭角カメラを使って土星の北半球を対象に2009年10月5日から10月8日にかけて、81時間もの間撮影された500枚以上の静止画像を元に作られたものだそうです。今までの紫外線と赤外線による観測と違って、可視光を使った観測なので、実際に土星近辺で私達が見られる風景なんですよ。最も時間的は随分早回しですけどね・・・^^;

因みに、オーロラは、地球以外の惑星でも観測されています。でも月では起こりません。何故でしょう?
 
オーロラは、磁場と大気と太陽風があれば発生します。太陽風の荷電粒子が惑星の磁場に捉えられ、最終的に大気上層の粒子(大気)と衝突。この衝突でエネルギーを得た(励起された)粒子の放電による発光現象です。

つまり、地球や土星や木星には磁気圏があります。そして、地球には窒素、酸素、アルゴンを主成分とする、土星や木星には水素やヘリウムを主成分とする大気が存在します。
だから、これらの惑星の磁極付近でオーロラが発生するという訳です。

ところで火星や金星でもオーロラのような発光現象が確認されています。ただ、この2つの惑星の場合、オーロラと言って良いのか疑問です。というのも火星も金星も大気はあっても磁気圏を持っていません(磁気圏の話はまたそのうちにご紹介しますね)。

2006年6月、ESAのマーズ・エクスプレス(MEX:Mars Express)が発見した火星のオーロラは、火星全体の磁場による現象ではなく、主に南半球の地殻に所々存在している強い磁場によるものと分析されています。
また、NASAのパイオニア・ビーナス衛星の観測から、金星の夜側で、微弱な紫外域の発光が観測されていますが、こちらも原因は良く分かっていないながら、地磁気緯度帯で起こるオーロラとは別の現象だと言えるでしょう。

逆に水星の場合は、磁気圏があるけど、高密度の大気が存在しないので、荷電粒子が磁極付近に集まってきても励起して発行するガス物質が十分に存在しないので、オーロラは発生しないんですよ。

オーロラに関してWeb上で見られる資料として、私がお勧めするのがコレ。名古屋大学の太陽地球環境研究所(STE研)のHPです。
ここの『あなたのなぜ?に答える 50のなぜ』から『オーロラ50のなぜ』と『惑星50のなぜ』を読めば、概略は理解できちゃいます。内容も子供でも分かり易いように書かれていると思います。
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コメント 2

北海道大好き人間

オーロラなんて、地球でしか見られないとばっかり思っていたので驚きです!
リンク先にも後で行ってみたいと思います。
by 北海道大好き人間 (2009-11-27 23:48) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
意外に、他惑星のオーロラ写真があって、結構ビックリしますよね~。
リンク先は、どれも簡潔に話がまとめられていて、面白いと思います。話も最近のデータで作られている物が多く、結構知らない話があったりして、私も勉強になってます。
by optimist (2009-11-28 21:26) 

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