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宇宙実験で広がる未来への可能性~「きぼう」日本実験棟での実験の成果~ [科学系よもやま話]

先週、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のWeb Siteの特集が更新されました。
宇宙実験で広がる未来への可能性~「きぼう」日本実験棟での実験の成果~(リンク)』

既に読まれた方もいらっしゃるかも知れませんが、今回の特集記事は、国際宇宙ステーションの日本実験棟『きぼう』の実験性成果についてです。どの記事も大変わかりやすく、面白いものですので、是非時間がある時に読んでみてください。

参考までに、以下で、各テーマについて、簡単に説明します。
 
「重力に隠された物質の謎に迫る」・・・微小重力下での結晶成長などを調べることで、新素材を作る基礎研究の成果を報告されていました。

「宇宙で見えてきた生命の新しい力」・・・発生生物学に関する知見として、カエルが水中から陸上に上がったときに、最も大きく変化した臓器である腎臓の細胞が宇宙でどう機能するのかについての報告がありました。
私たちの遺伝子には、重力によって安定しているものがあります。重力で非常に活性化するもの、逆に減少するものなど、宇宙と地上で同じ細胞を比較することで、これらの働きを調べようという物です。

「タンパク質の真の姿を知れば社会に役立つ」・・・タンパク質の結晶生成実験について、報告されていました。低重力下の宇宙では、対流や沈降が起きないため、タンパク質の分子同士がきれいにそろって並びます。その結果、地上より高質の結晶ができ、タンパク質の構造解析に役立つというお話でした。

「健康管理と病気の予防に役立つ宇宙医学」・・・「薬を用いた骨量減少予防研究」など、微小重力下の宇宙で人が暮らすための医学的研究が報告されていました。また、軌道上の宇宙飛行士の心電波形を24時間連続記録したり、飛行士の宇宙放射線被曝線量モニターや、皮膚や鼻の粘膜に付着する真菌研究も行われるそうです。宇宙で人間が活動する上で重要な研究だと思います。

「激動する宇宙がX線で見えてくる」・・・最近流行の可視光以外の光を使った天体観測の一つ、X線観察装置とその成果について報告されていました。実は、ISSには、MAXIというⅩ線を発生する高エネルギー天体を、全天観測する装置が取り付けられているんです。
全天のⅩ線天体画像も既に公開され、世界初の「変動するⅩ線源カタログ」として整理し発表する予定だそうですよ。
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コメント 4

北海道大好き人間

やはり「無重力状態」を土台にした実験が多いですね。
あと考えられるのは、宇宙空間における物質の変化ですね。
太陽光線をまともに受けるわけですから、それだけでも大きく変わると思います。
また、地球上では考えられない新物質が生成されるかも知れません。
by 北海道大好き人間 (2010-07-07 00:40) 

yablinsky

いろいろ結果が出ているのですね。安心しました。
テレビで報道されるのは教育目的の子供だましの実験ばかりです。地道な研究成果もあることも報道して欲しいものです。
by yablinsky (2010-07-07 17:55) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
ISSの運用も、昨今の経済動向の影響を受け、色々と大変なようですから、成果を出して予算を獲得したいところでしょう。
個人的には、低重力を生かした新素材の開発というのは興味があります。
by optimist (2010-07-10 00:13) 

optimist

yablinsky さん、こんばんは。
一昔前なら、このような成果はメディアが取り上げてくれないと、本当に一部の人だけが知るに過ぎませんでした。
でも、インターネットのおかげて、一般の我々に向け、直接最前線の研究者から情報が得られるというのは、本当に素晴らしいと思います。
by optimist (2010-07-10 00:17) 

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