SSブログ

真菌症 [科学系よもやま話]

昨日ご紹介した、日本国初のガッティ型の高病原性クリプトコックス症患者についてのニュースを見て、真菌症について改めて調べてみたので、ちょとご紹介しようと思います。

まず、真菌についての、おさらいから。
ごっちゃにしている人も多いと思いますが、真菌は細菌とは違います。キノコやカビ(糸状菌)、酵母は、全て真菌で、これらが菌類です。菌という名は付いていますが、細菌や変形菌(粘菌)は学問的には菌類では無いんです。五界で分類すると、菌類は菌界、細菌はモネラ界、変形菌(粘菌)プロチスタ界に属する全く別の生物なんですよ。
国立科学博物館 特別展 『菌類のふしぎ』(リンク)』
国立科学博物館 『変形菌!ってなぁに? きのこやカビと較べてみよう』(感想編)(リンク)』

そして、食用となるキノコや、日本酒・焼酎・醤油・味噌を作る際に活躍する麹黴、ブルーチーズは青黴、パンはパン酵母と我々の生活に欠く事ができないのが真菌です。
一方で真菌による病気もあります。しかし、現在認識されている真菌約8万種(推定種数は150万種もあるそうです)の中で、病原性真菌は400種程度と、ほんの一握りなんですよ。どちらかというと、私達人間の良き相棒なのかもしれません。この辺りは、漫画『もやしもん』で詳しく紹介されています。

さて、真菌を原因としたアレルギーや、カビ毒、キノコ中毒は直接真菌が引き起こす病気ではありません。これに対して、真菌感染症(真菌症)は、病原性真菌が直接原因となる病気です。

我々に一番馴染みがある病原性真菌といえば、白癬菌でしょう。足の皮膚で繁殖すると足白癬(=水虫)と呼ばれ、部位によって爪白癬、体部白癬(=たむし)・股部白癬(=いんきんたむし)となりますが、全て白癬菌が原因菌です。他によく聞くところでは、性病として知られる膣カンジダ症の原因菌となる、カンジダ属でしょうか。

しかし水虫は、表在性真菌症と呼ばれ命に関わる物ではありません。怖いのは、深在性真菌症と呼ばれる真菌症です。因みにカンジダ症、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、接合菌が4大深在性真菌症だそうです。特にカンジダ・アルビカンスなどのカンジダ属はヒトの常在菌として、口腔、腸管、膣、皮膚などに存在します。これを完全に取り除くことは難しいので、抵抗力が落ちた時に、起因菌となって真菌症を発症するから厄介なんだとか。

でも健康体なら心配いりません。病原性真菌のくせに常在菌となったカンジダ属の真菌は、宿主である人に寄生していますが、普段は悪させず、逆に新しい寄生体を排除してくれます。勿論免疫力が低下するとカンジダ症を発症する可能性はあるわけですが・・・。もしかしたら、将来白癬菌だって、人との折り合いをつけ、常在菌化するなんて事もあるかもしれませんね。

参考文献:第 49 回 東邦大学薬学部公開講座 =薬と健康の知識= より、「真菌感染症」-からだにつくカビを退治する-
タグ:真菌
nice!(7)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 7

コメント 2

北海道大好き人間

カンジタ菌は性交渉で広がることが多いので、気をつけたいですね。

細菌は、特に食中毒の元になりやすいのですが、最も発生しやすいのは梅雨の6月ではなく9月なのです。
梅雨時は誰しもが注意するのですが、暑さが和らいだ秋口に油断してしまうのです。
もっとも、今夏は9月になっても猛暑が続きそうですが、お彼岸の頃に食中毒のニュースがあちこちで聞かれると思います。
by 北海道大好き人間 (2010-08-30 22:59) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
食中毒は怖いですよね。
特に飲食系のお仕事だと気を使われて大変でしょう。
by optimist (2010-09-02 00:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。